捨てられた苗から、米1俵。二宮金次郎の「積小為大」

二宮金次郎が、壁に貼った範囲表と丸をつけたカレンダーの前で、ワークを積んで1つずつ進めている

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

まなぶ君の定期テストのページで、範囲表の前でワークを1つずつ進めている人。二宮金次郎です。大人になってからの名前は二宮尊徳(そんとく)。

薪を背負って本を読む像を、小学校で見たことがあるかもしれません。今日は、あの像の「中身」の話です。

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14歳で父を、16歳で母を亡くす

金次郎は1787年、相模国の栢山(かやま)村、今の神奈川県小田原市に生まれました。

家はもともと田畑を持つ農家でしたが、近くの酒匂川(さかわがわ)が大水であふれ、田畑が石と砂に埋まってしまいます。14歳で父を、16歳で母を亡くし、弟たちとも別れて、伯父の家に引き取られました。

持っているものは、ほとんど何もありませんでした。

油がないなら、菜の花を植える

夕焼けの空の下、一面の菜の花畑で、二宮金次郎が種をまきながら、思いついたとばかりにニッと笑っている。「灯りは 自作する」の文字。

伯父の家で、金次郎は夜に本を読んでいました。すると伯父に「油がもったいない」と叱られます。灯りの油はお金がかかるからです。

金次郎はどうしたか。空き地に菜の花の種をまいて育て、とれた菜種を油に替えてもらいました。自分の油なら文句は言われない。

塾長 小池

「できない理由」を、自分の手で1つずつ消していく。金次郎はずっとこのやり方です。

捨てられた苗から、米1俵

梅雨の朝、田んぼのそばで、二宮金次郎がひとかかえの捨てられた稲の苗を胸にだき、荒れた空き地を見つめて期待に目を輝かせている。「この苗、 秋にどうなる?」の文字。

田植えのあと、田んぼのわきには、あまって捨てられた稲の苗が落ちています。金次郎はそれを拾い集め、使われていない荒れ地に植えました。

予想してみよう:秋に、どれくらいとれた?

塾長 小池

捨てられた苗です。ひとつかみ? それとも茶わん1杯くらい?

答えを見る

答えは、米1俵(約60kg)。捨てられるはずの苗と、だれも使っていない土地から、1俵の米が生まれました。

金次郎はここで気づきます。小さなものでも、積み重ねれば大きくなる。これが積小為大(せきしょういだい)、「小を積みて、大と為す」です。

600もの村を立て直す

金次郎は少しずつ土地を買い戻し、20代で家を立て直しました。その腕を見こまれて、小田原藩の家老の家の借金の整理をまかされ、みごとに立て直します。

そのあとは、あちこちの荒れた村に呼ばれるようになりました。やったことはいつも同じ。村の収入を調べ、使えるお金の範囲を決め、できることを1つずつ積み上げる。立て直しにかかわった村は600をこえるといわれます。

あの像、実は座りはじめている

学校の中庭で、座って本を読む少年の石像のとなりで、二宮金次郎が同じポーズで座り、いたずらっぽく笑って本を広げている。「あれ、 歩いてない!」の文字。

薪を背負って歩きながら本を読む金次郎の像は、明治から昭和のはじめに全国の小学校に建てられました。

ところが最近、座って本を読む金次郎の像が作られるようになっています。歩きながら本を読むのは、今でいう「歩きスマホ」と同じで危ないから、という理由もあるそうです。

塾長 小池

金次郎が今の中学生なら、たぶん座って、範囲表を見ながらワークを進めていると思います。まなぶ君のバナーの金次郎は、そういう絵にしました。

やってみよう:範囲表を「1粒ずつ」に割る

部屋の勉強机で、男子中学生がカレンダーに1日ぶんの勉強を書き込み、その横で二宮金次郎が指でさして応援している。「範囲表を 1粒ずつに」の文字。

定期テストの範囲表は、見ただけだと大きくて重たい。金次郎のやり方で、小さく割ってみましょう。

  1. テスト範囲表を出して、教科ごとに単元を全部書き出す
  2. テストの日までの日数を数える
  3. 1日にやる単元を1つか2つだけ決めて、カレンダーに書く
  4. 終わった単元に丸をつける

たとえば
テストまで14日、範囲が5教科で21単元なら、1日1〜2単元。1日目は「数学 正負の数の加法」だけ。小さい。でも14日後には21単元ぜんぶに丸がつきます。

もっと深く:コテンラジオで聞く

夕方、車の後部座席で館山中の制服を着た中学生がイヤホンで歴史のポッドキャストを聞き、頭の上に鎧の武士や着物の女性、城の場面が浮かんで、目を輝かせている挿絵

コテンラジオ(COTEN RADIO)は、歴史が大好きな深井龍之介ふかいりゅうのすけさん・ヤンヤンさんと、歴史が苦手な樋口さんの3人が、1人の人物を何回にも分けてじっくり語る歴史のポッドキャストです。教科書では1行で終わる出来事の裏にある、人間くさい話が聞けます。

二宮金次郎のシリーズは、コテンラジオにはまだありません。代わりに「お金の歴史編」(全7回)を勧めます。金次郎が村を立て直すときに向き合ったのは、借金と収入、つまりお金でした。そのお金がどう生まれ、銀行や株式会社がどうできたのかを7回で聞けます。2回目「お金の誕生」の副題は「おもってたんと違う!」。毎日使っているお金の正体を、考えたことがない人ほど面白く聞けます。全7回と短いので、1日1回でも1週間で聞き終わります。

まずは1回目だけ聞いてみてください。おもしろければ、次の回が勝手に聞きたくなります。

聞くなら Voicy(アプリでもブラウザでも聞けます)がおすすめです。YouTube のように次のおすすめ動画が画面に出てこないので、気が散らずに話だけを追えます。ほかのアプリで聞くなら、Apple Podcasts/Spotifyでも聞けます。

音だけなので、通学の車の中や、寝る前の時間にそのまま聞けます。画面を見なくていいのが、ラジオのいいところです。

定期テストは、積小為大

定期テストの点数は、1日で決まるものではありません。1単元、1問、1回の見直し。その小さな1つずつの合計です。

捨てられた苗から1俵の米をとった金次郎のように、今日の1単元を積んでください。テストの日、それが大きな1俵になっています。

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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