平均は真ん中じゃない:自分がどの位置に行きたいかを決めよう

中学校の教室で、60点と赤で書かれた返ってきたテストの答案を胸の前に持ち、ほっとした顔で息をつく制服の中学生。「平均より上なら安心?」「平均のワナ」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

テストが返ってきたとき、まず平均点を見て「平均よりちょっと上だから、まあいいか」。 順位を見て「真ん中くらいだから、普通」。

そうやって、平均や真ん中と比べて安心していませんか。

今日は、その「平均と比べる」という見方が、世の中を見るときにどれだけズレるかという話をします。数字をたくさん出しますが、怖がらせたいわけではありません。最後まで読むと、今からなら十分に届くという話になります。

目次

平均は「真ん中」じゃない

まず、日本の世帯(家族ごと)の1年間の所得を見てみます。横が所得、縦がその所得の世帯の割合です。

世帯の所得の分布のグラフ。いちばん多いのは100万〜200万円の層で、中央値は405万円、平均は524万円。平均以下の世帯が62.2%。
出典:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」図9。1000万円以上は、1000万〜2000万円以上の11階級を合計した。平均は524万2千円。
数字で見る
所得世帯の割合
100万円未満6.9%
100〜200万円14.6%
200〜300万円14.5%
300〜400万円12.9%
400〜500万円10.7%
500〜600万円8.5%
600〜700万円6.4%
700〜800万円5.8%
800〜900万円4.6%
900〜1000万円3.7%
1000〜1100万円2.6%
1100〜1200万円2.3%
1200〜1300万円1.8%
1300〜1400万円1.0%
1400〜1500万円0.8%
1500〜1600万円0.7%
1600〜1700万円0.3%
1700〜1800万円0.3%
1800〜1900万円0.3%
1900〜2000万円0.2%
2000万円以上1.3%
出典:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」図9。各階級は「〜万円未満」。

平均は524万円。でも、ちょうど真ん中の世帯(中央値)は405万円で、いちばん多いのは100万〜200万円の層です。そして、平均以下の世帯が6割以上(62.2%)あります。

なぜこうなるか。ほんの一部の、とても稼ぐ世帯が平均を引っぱり上げるからです。クラスのテストで、1人だけ満点近い子がいると、平均点がぐっと上がるのと同じ。

つまり「平均」は、みんなの真ん中の姿ではありません。平均だけ見ていると、世の中の本当の形を見誤ります。

30代で、世の中は二つに分かれ始める

30代の同窓会の会場で、グラスを持った大人が、すっかり違う姿になった昔の同級生たちを見て目を丸くしている。「10年後の同窓会では?」の文字。

年齢が上がるほど、両端に分かれる

次は、働いている人(会社などに雇われている人。正社員でない人も含む)の1年間の収入です。20代後半と、30代後半を並べます。

20代後半は真ん中に固まり、35〜39歳では両端が厚くなる。

25〜29歳の雇用者の年収の分布。300万〜399万円がいちばん多く27.8%。200万円未満15.8%、700万円以上1.5%。
35〜39歳の雇用者の年収の分布。200万円未満がいちばん多く20.8%、700万円以上が10.5%。

出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」第45表(雇用者、正社員でない人を含む、男女計)。縦軸の目盛りは2枚でそろえた。中央値は階級から推計した値。
20〜24歳は学生のアルバイトなども含むため、働き始めたあとの25〜29歳と比べています(20〜24歳を合わせた20代全体では、200万円未満が26.7%)。

数字で見る
年収20〜24歳25〜29歳30〜34歳35〜39歳
200万円未満40.7%15.8%18.3%20.8%
200〜299万円34.6%27.0%19.4%17.1%
300〜399万円17.5%27.8%20.3%16.1%
400〜499万円4.5%18.0%17.6%15.1%
500〜599万円1.0%6.6%12.3%11.8%
600〜699万円0.2%2.3%5.6%7.6%
700万円以上0.1%1.5%5.5%10.5%
出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」第45表(雇用者、正社員でない人を含む、男女計)。収入がわからない人がいるので、合計は100%より少し小さい。

25〜29歳と35〜39歳を比べてください。

  • 200万円未満:15.8% → 20.8%
  • 700万円以上:1.5% → 10.5%

20代の後半は、多くの人が200万〜400万円くらいにまとまっています。ところが10年たつと、下の層も上の層も両方増える。真ん中がへって、両端に分かれていきます。

この数字には正社員でない働き方の人も入っていて、男女でも大きく違います(35〜39歳の200万円未満は、男性6.1%、女性38.7%)。それでも「年齢が上がると、みんな同じように少しずつ上がっていく」わけではないことは、はっきり分かります。

分かれ方は、学歴で違う

では、どこで分かれるのか。同じ調査で、35〜44歳の人の年収を最終学歴ごとに見ると、こうなります。

中学卒(35〜44歳)の年収の分布。200万円未満が34.9%、700万円以上が4.3%。
高校卒(35〜44歳)の年収の分布。200万円未満が28.6%、700万円以上が5.6%。
大学卒(35〜44歳)の年収の分布。200万円未満が14.2%、700万円以上が18.9%。
大学院卒(35〜44歳)の年収の分布。200万円未満が6.4%、700万円以上が47.7%。

出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」第43表(有業者、35〜44歳、男女計)。短大・高専・専門学校は省いた。縦軸の目盛りは4枚でそろえた。中央値は階級から推計した値。

数字で見る
年収中学卒高校卒大学卒大学院卒
200万円未満34.9%28.6%14.2%6.4%
200〜299万円18.2%19.7%10.7%4.4%
300〜399万円17.6%16.2%13.1%6.3%
400〜499万円12.2%13.5%15.5%9.0%
500〜599万円6.2%8.4%14.3%12.1%
600〜699万円3.1%5.4%11.9%13.6%
700万円以上4.3%5.6%18.9%47.7%
出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」第43表(有業者、35〜44歳、男女計)。短大・高専・専門学校は省いた。収入がわからない人がいるので、合計は100%より少し小さい。

大学を出た人は、200万円未満が14.2%、700万円以上が18.9%。高校を出た人は、200万円未満が28.6%、700万円以上が5.6%。大学院まで行くと、700万円以上が半分近くになります。

もっと若い25〜34歳でも、200万円未満は高校卒で28.9%、大学卒で9.6%。3倍の差があります。

一生のあいだに受け取る給料(生涯賃金)で見ると、男性で大学・大学院卒が2億7,210万円、高校卒が2億1,370万円。差はおよそ5,800万円です(労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2020」表21-1、退職金を含まない)。

もちろん、学歴で一人ひとりの将来が決まるわけではありません。どんな仕事を選ぶか、どう働くかでも大きく変わります。ただ、全体の傾向としてはこうなっている、という事実は知っておいてください。

小池ははっきり言います。「真ん中くらいでいいや」と納得していると、30代で分かれ道の下側にいる可能性が高くなります。 真ん中の層そのものが、年齢とともに細くなっていくからです。

勉強時間も、二つに分かれている

夜、自分の部屋の机で、スマホを伏せて置き、問題集に向かって集中して書き込む制服姿の中学生。「家での勉強、何分?」の文字。

ここからが、皆さんに直接かかわる話です。

分かれているのは大人の収入だけではありません。中学生の勉強時間も、二つに分かれています。

東京大学とベネッセの調査(2026年の発表)によると、宿題以外の家庭学習が「0分」という子が、11年で10ポイント前後増えて、4〜5割になりました。学習時間そのものも、どの学校段階でも約2割減っています(東京大学社会科学研究所×ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査」2026年6月30日発表)。

一方で、しっかりやっている子もいます。全国の中学3年生で、学校の授業以外に平日どれくらい勉強しているかを聞いた結果がこれです。

平日の勉強時間中3割合
3時間以上9.3%
2時間以上3時間以上を含む31.8%
出典:国立教育政策研究所・文部科学省「令和6年度 全国学力・学習状況調査 報告書 質問調査抜粋版」p.47

平日に3時間以上やる中3は、全国で1割もいません。2時間以上でも3割ちょっと。

これを逆から読んでください。平日2時間やれば、全国の中3の上位3割に入れる。3時間やれば上位1割。

周りの4〜5割が、宿題以外は家で0分。だからこそ、チャンスです。今から毎日2時間を積み上げる人は、それだけで上の側に抜けていけます。才能の話ではありません。量の話です。

皆さんはどの位置に行きたい?

では、皆さんはどの位置に行きたいですか。

テストの偏差値で言うと、上位何%かの目安はこうなります。

正規分布の山の図。偏差値55で上位31%、60で上位16%、63で上位10%、65で上位7%。55より右を薄い青、63より右を濃い青で塗っている。
正規分布を仮定した理論値。実際のテストの分布とは少しずれる。
偏差値上位何%か
5531%
6016%
6310%
657%
正規分布を仮定した理論値。実際のテストの分布とは少しずれる。

偏差値55で、ほぼ上位3割。偏差値63で上位1割。

小池が皆さんに持ってほしいのは、せめて上位3割を目指す気概です。真ん中(偏差値50)で安心しない。上位3割に入れたら、次は上位1割を狙う。

まなぶ君の「現在地」のページでは、自分がいまどの位置にいるかと、同じ学年の上位層がどんな1週間を過ごしているかが見られます。上位1割の同級生は、1週間に何をどれだけやっているのか。自分と並べてみると、次に何を足せばいいかが見えてきます。

自分の位置は、自分で決める

中学生が真ん中で2つの扉の前に立ち、腕を組んで考えている。左の扉の向こうは狭く散らかった暗い部屋で、大人になった自分がカップラーメンを食べながらスマホを見て寝転がっている。右の扉の向こうは広く明るい家で、大人になった自分が友達や家族と笑って過ごしている。「どっちの自分?」の文字。

最後に、いちばん伝えたいことです。

勉強や成績は、皆さん自身のことです。親や先生にとやかく言われてやるものではないし、周りがとやかく言うことでもない。小池は、そう思っています。

だから、どの位置を目指すかも、自分で決めてください。

  • 平均は真ん中じゃない。平均と比べて安心しない
  • 大人の世界は、30代で二つに分かれ始める
  • 勉強時間も分かれている。平日2時間で上位3割、3時間で上位1割
  • 周りの4〜5割が家で0分の今なら、届く

今日の平均点と比べるのは、もうやめましょう。比べる相手は、行きたい位置です。

今から始めれば、十分に間に合います。

ランゲージ・ラボラトリー 小池

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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