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ランゲージ・ラボラトリーの小池です。
就職活動で、会社の説明会を予約しようとすると「満席」と出る。ところが、別の大学の友達が同じ日に同じページを開くと、席が空いている。
これが学歴フィルター。人気企業ほど、面接で人柄を見てもらう前に、大学名で最初に足切りされている。都市伝説ではなく、ニュースになった事件と調査の数字で裏付けがあります。
この記事では、その証拠と、「じゃあ中学生の今、何をすればいいのか」を書きます。


就職活動は、だいたいこの順で進みます。
学歴フィルターは、このいちばん最初の段階で、大学名によって人数を絞ることです。説明会の予約が取れない、書類が通らない。面接まで進めないので、どんなに話がうまくても、その力を見せる場に立てません。
2018年には、それが画面にそのまま出てしまった例がSNSで広まりました。帝京大学で登録していると、説明会はぜんぶ「満席」。登録を早稲田大学に書きかえただけで、同じ日の説明会が「受付中」に変わった、という投稿です。2万回以上リツイートされました。




2021年12月6日、就活サイト大手のマイナビが、首都圏の大学生約16,000人に送ったメールの件名に「大東亜以下」と書かれていました。
「大東亜」は、大東文化大学・東海大学・亜細亜大学の頭文字。大学を難易度でグループ分けするときの呼び名です。つまり、学生を大学名で「大東亜以下」とそれ以外に分けて、別々のメールを送っていたことになります。


マイナビは2つのグループに分けていたことを認めた上で、「便宜的に分けただけで、学歴で有利・不利をつけてはいない」と説明しました。それでも、就活の裏側で大学名によって学生が分けられていることが、外から見える形で出てきた事件でした。


企業の人事責任者に聞いた調査(HR総研、2017年)では、「ターゲット大学を設定している」と答えた企業は全体の39%。従業員1001人以上の大企業に限ると、56%。半分を超えます。
ターゲット大学とは、「この大学の学生を優先して採る」と会社が決めている大学のこと。数は「1〜10校」が67%でした。大企業の半分以上が、最初から10校前後に狙いを絞っている、ということです。


学生の側からも数字が出ています。
面白いのは最後の数字。フィルターで優先される側の学生にも、はっきり見えている。それくらい、あからさまだということです。


理由は単純で、席が少なく、応募が多すぎるから。
就職評論家の石渡嶺司さんによると、人気企業100社が採用する人数は、全部合わせても年に1.3万〜3.5万人。大学を卒業して就職する人は約55万人なので、その6%強にすぎません。一方で、旧帝大と早慶だけで1学年の定員が約4万人。人気企業の席は、上位の大学の学生だけでも埋まってしまう計算です。
人事部の数人で、何万人もの応募を全部読んで全員と話すことはできません。だから最初は大学名で、ざっくり絞る。
実際の採用を見ると、はっきりしています。総合商社5社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)の2024年卒の就職者数は、次のとおり(大学通信調べ)。
| 大学 | 総合商社5社への就職者数 |
|---|---|
| 慶應義塾大 | 122人 |
| 早稲田大 | 96人 |
| 東京大 | 70人 |
| 京都大 | 38人 |
| 大阪大 | 31人 |
有名企業400社への実就職率でも、慶應義塾大は46.7%、早稲田大は39.3%(大学通信、2025年)。慶應を出ると、約半分が有名企業400社に入る。




「うちは学歴で選びません」という会社もあります。有名なのはソニー。1991年に、大学名を書かずに受けられる「学歴不問採用」を始めました。
それでも、その後の入社者を見ると、難関大学の出身者が中心のままだったと報じられています(J-CAST、2016年)。大学名を隠しても、筆記テストや面接で残る人の多くは、結局、難関大学の学生だった。


偏差値の高い大学の学生ほど、企業の適性検査の点数も高い傾向があります。大学名は、中学・高校でどれだけ勉強を積み上げてきたかの目印として使われている、ということです。






では、どの大学から先が「切られる側」なのか。その前に、そもそも求人の多くが学歴を条件にしています。転職サイトdodaの求人約1.5万件を見ると、学歴を問う求人が6割。学歴不問は4割です。

学歴不問の求人には、清掃、レジ、飲食店のホールなど、だれでもすぐに始められる仕事が多く入っています。どれも、セルフレジや配膳ロボットに置きかわり始めている仕事です。
大卒以上を条件にする求人は44%。さらに「六大学以上」「旧帝大・早慶クラス」と、大学名で線を引く求人も、合わせて1割を超えます。

大学の難易度と、入りやすい会社の関係を、小池が就活の経験と各社の採用実績から整理すると、次の形になります。

目安はMARCH以上。ここまで来れば、学歴フィルターで落とされることはほとんどありません。偏差値でいうと60、同級生の上位1割。安房高校なら、学年の上位2割に入るイメージです。
国立大学なら安心、とは限りません。地方の国立大学は、その地域での就職が中心になります。たとえば秋田大学の就職先を見ると、秋田県の公立学校、秋田市役所、秋田県庁、秋田銀行、大学の附属病院と、地元の名前が並びます。

地元で働きたいなら、これは強みです。一方で、東京の会社で働きたいなら、首都圏の大学のほうが有利。就活は説明会も面接も現地に行くのが基本で、地方から通うと、情報も交通費も足りなくなります。










入口の差は、そのまま給料の差になって残ります。社員の口コミサイトOpenWorkが出身大学ごとに想定年収を出したランキングでは、30歳の時点で東京大学が763万円、慶應義塾大学が687万円、早稲田大学が625万円。45歳になると、東京大学は1,155万円、一橋大学は1,190万円まで上がります。


「入るのは簡単なのに、就職に強い大学はどこですか」と聞かれることがあります。残念ながら、そんな大学はありません。難関大学ほど、就職も年収も上に来る。表のとおりです。
小池も就活で東大生と一緒になりましたが、知識の量、行動力、大学時代にやってきたことの厚みが違いました。人気企業が欲しがるのは、こういう人たちです。






学歴フィルターには批判もあります。「優秀な学生を取りこぼすので、企業にとっても合理的でない」という記事も出ています(ダイヤモンド・オンライン、2024年)。小池も、大学名だけで人の価値が決まるとは思っていません。
ただ、ルールに文句を言っても、ルールは変わらない。社会に出るときに、この仕組みはほぼ確実に残っています。
学歴は、人の中身そのものではなく、中身を見てもらう場に立つための切符。切符があれば、面接で人柄や熱意を見てもらえる。切符がないと、その場にすら呼ばれない。行きたい会社が人気企業なら、切符を持っているほうが圧倒的に有利です。
もちろん、学歴がすべてではありません。地元の企業、公務員、資格の仕事、自分で起業する道もある。ただ、「超難関の人気企業に行きたい」と少しでも思うなら、入口には大学名の壁があると知っておいてください。






大学の難易度は、高校3年間でどれだけ勉強するかで決まります。そして、どの高校に行くかで、周りの環境も、大学受験のスタート地点も変わります。つまり、切符の準備は、もう中学から始まっている。
就職は10年近く先の話です。でも、10年先に選べる道の数は、今の勉強で増やせます。
選べる人生を、今の勉強で。
ランゲージ・ラボラトリー 小池










ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて