仕事選びは親の影響を受けている:よく見える業界は、強く見えすぎる

夕方の家のダイニングで、制服の中学生が首をかしげて考えこみ、奥では先生の親がテストの採点をしている。「親が先生なら子も先生」「仕事選びは親の影響」「親以外の大人に話を聞く」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

将来の仕事選びや、何を大事にするかという価値観は、親の影響をかなり受けています。今回はその話を書きます。

目次

親が先生なら子も先生、親が薬剤師なら子も医療系

町の薬局のカウンター越しに、白衣で薬をそろえる母の姿を、目を丸くして夢中で見つめる小学生。「毎日見ている仕事がある」の文字。

周りを見ていると、よくあります。

  • 親が先生だと、子どもも先生になりがち
  • 親が薬剤師だと、子どもも医療系を目指しがち

なんでそうなるのか、はっきりとは分かりません。たぶん、ずっと見てきているからイメージが湧きやすいんだと思います。毎日その仕事をしている姿を見ている。どんな一日なのか、どんなことで喜んで、どんなことで疲れているのか、なんとなく分かる。

それに、親がその仕事を選んでいるということは、そこへの思いもそれなりにあるはずです。それが家の中の会話や空気を通して、子どもにも伝わっていく。

よく見える業界は、強く見えすぎる

夕暮れの商店街で、明かりのついた一軒の店の前に立ち、暗いままのほかの店を振り返って途方にくれる制服の中学生。「見えない仕事とは比べられない」の文字。

でも、それって客観的ではないと思うんですよね。

親の仕事は、よく見えます。よく見えすぎる。だから、その業界だけが強く見えてしまう。

ほかの仕事が劣っているわけではありません。ただ見えていないだけです。見えている1つと、見えていない残り全部を比べて、見えている1つを選んでいる。それは比べたうちに入りません。

それを自覚しておく必要があるのかどうかは、正直わかりません。ただ、知っておいて損はないと思っています。

小池自身も、親の影響を受けている

自分の塾の建物の前で、照れくさそうに頭をかいて笑う塾長の小池。「親と同じ小さな商売」の文字。

偉そうに書きましたが、小池自身もそこから抜け出しているわけではありません。

小池の親は、スモールビジネスをやっている個人経営者でした。小さいころからそれを見てきたので、自分にとってはそれがよく見えた。そして今、自分も塾という小さな商売をやっています。思いきり親の影響を受けています。

ただ、一度だけ違う道を通りました。大学を出てリクルートに入り、4年弱、営業をやりました。

大企業への憧れはありました。パソコンで働く。スーツを着て働く。40階の超かっこいいオフィスで、夜景を見ながら働く。そういう姿に憧れていました。

大企業で分かった、良いところと合わないところ

高層ビルの40階のオフィスで、窓の外の夜景に背を向け、調整の書類の山を前にむっとして眉をひそめるスーツ姿の若いころの小池。「40階の夜景は飽きる」の文字。

やってみて分かったのは、そういう見た目の部分は、やっぱり飽きるということです。本質的な価値はそこではありませんでした。

小池には、自分で何でも考えて、自分で決めて、自分の理想とするものを顧客に届けたいという思いがありました。でも大企業だと、いかんせん所詮は歯車です。他の部署との調整のようなことが煩わしく感じたし、何よりスピードがないと思いました。

一方で、大企業の良さもはっきりありました。新聞に載るような仕事に関われる。日本のトップの超大手企業を、新卒1〜2年目で担当できる。小池も、サイバーエージェントを担当していました。

これは経験として本当に良かったし、今の仕事選びの価値観にも生きています。

大事なのは、親の仕事とは違うものを一度ちゃんと見たから、自分に合うもの、合わないものが分かったということです。もし見ないまま親と同じ道に進んでいたら、たぶん同じ場所にいたとしても、選んだ理由はもっと薄かったと思います。

職場体験で分かった気になるのは、危ない

海の見えるホテルの和室で、たたんだ布団を抱えて運ぶのに夢中で得意げなジャージ姿の中学生。「これで仕事が分かった?」の文字。

じゃあ、ほかの仕事をどうやって見るか。中学生だと、まず思い浮かぶのは職場体験だと思います。

でも小池は、職場体験はあまり当てにならないと思っています。スーパーで品出しをする、ケーキ屋さんで手伝う。2〜3時間、長くても半日。仕事の一部をただ担うだけです。本当に面白い部分をやるかも分からないし、本当に辛い部分をやるかも分からない。

小池は白浜中だったので、職場体験は白浜のホテルに行きました。やったのは、掃除と、布団を下ろすこと。

それはホテルの経営ではなく、清掃の仕事をちょっとやっただけです。お客さんとのやり取りもしていない。じゃらんのようなサイトにどう出して、どうPRするかもやっていない。そもそも、このホテルを他のホテルとどう差別化するか、というコンセプトの話にも触れていません。

それなのに、職場体験に行って知ったような気になるのは、結構危ないと思っています。「お菓子をくれて優しかった」のような、表面的な感想で終わっている子が多い気がします。

親以外の大人に、仕事の話を聞く

小さなカフェのカウンターで、店主の話を聞いてはっと目を見開き、メモを取る手が止まる制服の中学生。「いちばん辛いのはどこですか」の文字。

小池のおすすめは、親以外の大人に仕事の話を聞くことです。

お父さんの友達でも、塾の先生でも、塾の先生の友達でも、何でもいいです。その中で、魅力的だと思える人の仕事の話を聞く。

もちろん、いい質問をしないといけません。「仕事は楽しいですか」では、表面的な答えしか返ってきません。たとえば、こんな質問です。

  • その仕事で、いちばん面白いのはどこですか
  • いちばん辛いのはどこですか
  • なぜ、その仕事を選んだんですか
  • お客さんに選ばれるために、何を工夫していますか

職場体験でやる品出しや掃除の、その奥にある部分。そこを聞けると、仕事の見え方が変わります。

親と同じ道を選んでもいい

夕日の北条海岸の遊歩道で、カバンを肩に遠くを見て、これからに胸をふくらませる制服の中学生。「比べてから選んだ道」の文字。

最後に。親と同じ道を選ぶのが悪いわけではありません。小池自身がそうです。

ただ、選ぶ前に、ほかの仕事もちゃんと見ておく。よく見えている1つだけで決めない。

比べてから選んだのなら、それは親の道ではなく、自分で選んだ道です。

ランゲージ・ラボラトリー 小池

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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