ケアレスミス(凡ミス)を防ぐ【算数/数学】

ミスる人とミスらない人の違いは何

ケアレスミス(凡ミス)が多い、という悩みは良く耳にする悩みだ。ケアレスミスをする子の答案にはミスをする理由が書いてある。

いくつか具体例をあげよう。

  • 途中式がない
  • 0と6が区別がつかない
  • 図がない
  • 書き込みながら考えていない
  • 計算用紙にストーリーがない
  • 選択肢をつぶしていない
  • 重要なところに線をひいていない
  • 計算用紙に規則性がない
  • 条件を満たしているかチェックしていない
  • 見た目チェックしてない(例. 算数の角度)
  • 物理的に考えてありえない答え
    (例.おばあちゃん時速9000kmで歩く)

いくつか具体例をあげたが共通点は見えるだろうか?雑、適当、意味を考えない、過程がない、勉強と現実世界がつながってない。そんなところだろうか。

ケアレスミスとは、本当はわかっているのに、不注意で間違えることを指します。ところが実際の答案を見ると、ほとんどは不注意が原因ではありません。この記事では、ミスの原因の見つけ方と防ぎ方を、中学生の実際の答案5つで解説します。

目次

ケアレスミスとは?ほとんどはケアレスじゃない

ケアレスミスの中身を比べた手描きの図解。本当のケアレスミス(答案用紙に写しまちがえた)は小さく、わかっていないミス(5×0.3=15、時速4000km)が大きい。見出しは「ケアレスミスの多くは、わかっていないだけ」。

皆がケアレスミスって呼んでいるものは、ほとんどケアレスミスじゃないと思っています。

辞書的には、ケアレス=注意力不足。

本当は理解していて、解く能力があるという思いが裏側に隠れている感じがしますが、本当にそうですか?

理解していなかったり、能力がなくて間違えていることがほとんどです。

まずケアレスミスにすぎない。本当は自分は解けるのに…という慢心をなくしましょう。

「うちの子はケアレスミスが多いんですよね。」という発言には、本当はわかっている。ただのミスにすぎない。点数以上にウチの子はできる。でもそんな事はない。ケアレスミスは注意力不足ではなく、わかってないからだ。

時速4000kmのおばあちゃんが生まれるのは時速の意味がわかっていないからだ。5×0.3=15となるのは、0.3の意味がわかっていないからだ。これはケアレスミスじゃない。

問題用紙に解答が正しく出せているのに、答案用紙に転記するときに写しまちがえた。こういうのがケアレスミス。

えっ?でも後で解き直したら解けたんですけど…

それは、✕って結果がでたからAという回答は違う。だからBを回答としよう、ってやっているケース。

そして、✕という結果がでたから、これはミスしやすいから普段より丁寧に途中式を書いてやろう、など2回目だから解けているだけです。

最初に一撃でとけなきゃ意味ないですよね。

なぜケアレスミスが永遠になくならないのか?

自分の部屋の机で、返ってきた数学のテストを両手で持った男子中学生が、前と同じところで間違えたことに気づいて悔しそうに歯を食いしばっているイラスト。「また同じところで×」の文字。

なぜ間違えたかを細かく掘り下げていないので、永久に同じミスを繰り返します。

問題ごとにミスの原因と、対策は異なります。

例えば、忘れ物が多いとしましょう。私はうっかりしている性格だからさ。と言ってしまえばそれまでです。

忘れ物なんてみんなします。

塾のプリントを忘れる。塾のバッグから出して復習するから。→出したら、塾バックにすぐに戻すことで防げる。

夜寝る前に歯列矯正の器具をつけるのを忘れる。→歯磨きの後に矯正器具をつける流れだから、そのときに思い出しやすいように歯磨きのそばにおいておく。さらに寝室の扉に「矯正つける」って書いて貼っておくとか。

忘れ物も、物によって対策は変わります。

ケアレスミスをどうすれば防げるのか?

小数点のつけ忘れを防ぐ手順の手描き図解。3×1.3は、3×約1=約3と先に見積もると、39はおかしいと気づき、3.9が正しいと分かる。見出しは「先に、およその答えを出す」。

ではどうすれば防げるか?

  1. 過程を書き込む
  2. 図を書く
  3. 規則的にノートを使う(上から下とか)
  4. 見た目チェックをする
  5. 文章、式、数字の意味を考える

例. 小数点をつけ忘れる

3×1.3=39

というミスをふせぐには、3×約1=約3と考えると、39という答えがおかしいと気がつく。同様に、

289×47=

という問題も、約300×約50=約15000よりちょっと少ないぐらい。とおよその答えを考えてから計算する。

頭の中で処理しすぎない

塾の教室で、女子中学生が計算用紙に途中式を上から下へ1行ずつ書きながら、夢中になって問題を解いているイラスト。「頭より紙を信じる」の文字。

人はミスをする。ミスだらけだ。買い物にいっても買い忘れをする。そんなのしょっちゅうある。
(僕もよく忘れる)

だから買い物リストをメモして、自分の頭を信じずに、メモを信じて買い物をする。めんどくさいからといってメモしないで買い物に行くと、3回に1回は買い忘れる。

0と6を見間違えるなら、6の書き方をかえる。

角度がおかしいのに気が付かないなら最後に見た目でチェックする(3秒で終わる)

なぜミスるのか?計算用紙の使い方が悪いのか?計算式がタテに書いていないからか。ミスではなく、実はわかっていないのか。例えば、このプリントを見てください。

1人目の子が解いた二次方程式のプリント。途中式をほとんど書かず答えだけ書いている

学年1位にもなったことのある頭のいい子がといたプリントです。プライバシーに配慮して名前は伏せ、1人目の子と呼びます。一方、こちらは2人目の子の解いたプリントです。

2人目の子が解いた同じ二次方程式のプリント。途中式を書いて解き、全問正解

2人目の子も、中学は違いますが学年1位になっています。(何度か)2人とも、能力は差がないと思います。でも、このプリントの結果は1人目の子が80点、2人目の子が100点でした。テストの振り返りをすると、「○○がミスって」という反省の多いこと多いこと。ミスをいかに無くすかは、どんな科目でも重要です。完全にミスをなくせたとしたら、5教科で20点ぐらい点数をあげることはできるんじゃないですか?人によっては。というわけで、ミスを防ぐには

  1. 途中式を書く
  2. 図に全部情報を書き込んで、図をみて考える

というお話でした。原因を考えれば、対策がわかる。ミスも実力のうちだ。自分の能力を過信せずに、謙虚に丁寧に行こう。

ケアレスミスを防ぐには、問題用紙を見よ(実際の答案5例)

塾の教室で、塾長が中学生の男子と一緒にテストの問題用紙の書き込みを指さしながら見直し、男子がどこで間違えたかに気づいて目を見開いているイラスト。「原因は紙の上に」の文字。

さあ、ここからは実際の生徒のテストのときの問題用紙と、ミスの事例をもとに考えていきましょう。

どうやって分析するか、対策を考えるか一緒に練習していきます。

事例1:単なる引き算のミス?

中2の4月の実力テスト。x=-2、y=5のとき2x+3yで、-4+15を9と計算したミス
中2 4月の実力テストより

どこで間違えているかわかりますよね?-4+15が本当は11なのに、9になっちゃっているんですね。あー、単なる計算ミス。もったいない!

でほとんどの場合は、話が終わると思うのですが、問題は逆算による確かめ算が習慣化していないことにあります。

引き算って難しいんで、よく間違えるんですよ。小1で習うから引き算は簡単

…ではなく、引き算は難しいんです。

だから、逆算による確かめ算をします。(小学校で習ってますよ。)

9+4して、13・・・あれ?15にならないな。

・・・

あっ、そっか11が答えか!

って足し算に直して確かめます。脳内で1~2秒でできる作業を怠っているのです。

対策としては、引き算はミスりやすいので、逆算による確かめ算をすることでしょう。

事例2:解き直したら解けるのに…

(-7/18)÷(-2/9)の計算で、約分と符号を同時に処理して間違えた答案

いやー、これ見てどう思います?危ないニオイがプンプンしますね~。

何が危ないか

同じ答案に「マイナスの処理に気をとられた」「情報が多くてわかりにくい」と書き込み

約分しなきゃ、マイナスをミスらないように処理しなきゃ、と2つのことを同時にやるわけです。約分するさいに、-9/2と-2/9が2つ目に入るので、どちらを今使っているかを記憶しておかなければなりません。すると、脳みそが処理することがもう1こ増えて、3このことを同時に処理しています。

ワーキングメモリ(作業記憶)が大きいタイプの子は、これでもミスなく処理できます。勉強を通じてワーキングメモリを広げることは重要なことです。でも、ワーキングメモリが小さいと思うなら、同時に複数処理しなくていいようにしていく必要があります。

良い例

良い例。まず符号を処理し、次に÷の後ろを逆数になおしてから約分する途中式

こうやって、

  • まずは符号を処理(-÷-→+)
  • ÷の後ろを逆数になおす
  • そして約分

1つずつ処理していくことでミスがなくせるでしょう。

この問題のミスの原因は、自分のワーキングメモリの能力を超える処理をしようとした(同時に3つのことをやろうとした。)

短期的対策は、途中式を書くことで1つずつ処理していくこと。

(長期的対策として、あえて途中式を省いてワーキングメモリを鍛えていき、同時に3つ処理することができるようにするのもあり)

事例3:最初に書いた答えのほうがあってたのに…

代金が2000円より少ない関係を表す不等式で、<の下に=を書き足してしまった答案

これは、たぶんミスというより理解していないんじゃないですかね?

  • 20より少ない(未満)→20を含まない
  • 20以下→20を含む

ですが、≦の書き方を見るに、最初は「<」と書いて、やっぱ違うかもって不安になって「=」を下に付け足したように見えます。(イコールだけ不自然に下にあるので)

意味を考えないで表面的に丸暗記しているので、どっちかわからなくなっちゃうのかなと思います。

x<20・x=20・x≦20の意味を数直線で比べ、20以下は20を含むと整理した図

こう考えればいいのかなと思います。

本人の話も聞いて、本当のところはどうだったか確かめる必要がありますが、問題用紙だけ見るに疑われるのは理解していない説です。

事例4:えっ?だって、この場合は成り立ちますよ…

2つの自然数m、nの計算結果のうち、いつでも自然数になるものを選ぶ問題の答案

おそらく本人はこう考えたんだと思います。頭の中で↓

m=3、n=2を当てはめると、m+n・m-n・m×n・m÷nがどれも成り立つと考えた書き込み

でも、2、3だったときに成り立たないですよね?

m=2、n=3を当てはめると2-3=-1で自然数にならないと確かめた書き込み

数字を当てはめて、実験して解くのはあっているのですが、書いていないことがマズイとおもいます。

脳内で処理するとつかれるんですよ、脳みそが。

だから、試行回数1になっていて、他の選択肢が浮かばないんです。

3、2なら成り立つけど、2、3だと成り立たないよな?と他の手を考えられていないことがマズイです。

将棋で言えば、あそこに歩を打てばよさそうっ!っていう一見いい手を思いついたときに、それやるとどうなるかを考えずに、パッと思いついた手に飛びついてしまっている感じ。

それを防ぐには、脳みそに負担をかけないように、書きながら考えることでしょうね。

事例5:えっp²じゃないんですか?

練習試合3試合の得点が1点、p点、p点のときの平均を、(1+p²)/3と答えた誤答

p²ってことはp×pなので、例えばp=3だとすると、3²=9点になっちゃいますね。pが2個ある!二乗だ!って飛びついちゃったんだと思うんですけど、確かめ算ですね。

p=3だとすると、1+3²だと合計が10点になっちゃって変だな。本当は7点になんなきゃいけないのに。というところでしょう。事例4、事例1と共通点を感じます。

もう1つ気になることが…

pに3を入れて式を立て、文字に戻すと(1+p+p)/3になると示した書き込み

普段、塾でこういう指導をしているんですよね。「文字式はみんなミスるから。難しいから。1数字を設定。2式たてて、3文字に戻す。」

それをやっていないんですよね。

ミスの共通点とミスの深堀り

家のダイニングで、女子中学生がすぐ思いついた答えを書いたあとで違っていたと分かり、しょんぼり肩を落としているイラスト。「すぐ浮かんだ答えに注意」の文字。

パッと思いついたことに飛びついちゃう

事例4(自然数mとn)、事例5(平均の文字式)に共通しますね。

ボールとバットで合計1100円です。バットはボールより1000円高い。ボールはいくら?

正解は、100円

ではないですよ。

パッと思いついたことに飛びついちゃダメです。

アドバイスされたことを実はやっていない

  • 事例1(逆算による確かめ算)→小学校で先生に説明されると思いますがやっていないかと思います。
  • 事例5(数字→文字)
  • (全体的に)脳内で処理するな!書きながら考えよ!

を実行していない感じがします。

まとめ

家のリビングのテーブルで、男子中学生と母親が返ってきたテストを並べてミスの原因を話し合い、原因が分かってほっとした笑顔になっているイラスト。「1問ずつ原因を探す」の文字。

ケアレスミスが多いと感じたら、なぜその問題を間違えたのか一問一問深堀りして原因と対策を考えていく必要があります。

  • どうしても自分で見ていてもよくわからない
  • 自分なりに分析したけどそれがあっているのか不安

という場合には、実物を持ってきて相談に来てください。アドバイスしますよ!

塾生ももちろんですし、塾生でない方も体験のさいにミスが多くてこの問題のミスの対処はどうすればいいんですか?って問題用紙を見せていただければ相談に乗れます。

本来、本人にこう感じたけどどう?って本人の感覚と照らし合わせるべきですが、今回は頂いた問題用紙のみから想像して分析しています。ずれている部分もあると思いますが、分析の仕方のイメージを持っていただいて、ご家庭でやっていただければと思います。

ご家庭でやる際には、まず本人が分析→親御さんの意見を加えて、本人と話し合うの手順がいいと思います。

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この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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