文系か理系か:選ぶのは科目だけじゃない。大学4年間の過ごし方が変わる

秋の安房高校の教室で、紺のセーターの高1の女子が文理選択の用紙を手に、何かに気づいたように目を見開いている。「高1の秋、文理選択の用紙」「文系か 理系か」「変わるのは大学4年間」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

高1の秋、文理選択の用紙が配られます。多くの人は「数学が苦手だから文系」「理科が好きだから理系」と、科目で決めます。

でも、文系か理系かで変わるのは、高校の時間割だけではありません。大学の4年間の過ごし方と、その先の仕事の選び方が、まるごと変わります。

理系は、学部を選んだ時点で進む方向がかなり決まります。難関大学なら、ほとんどの人が大学院まで行きます。授業も研究も忙しく、真面目に授業をこなす学生が多い。

文系は、学部で就職先が決まりません。多くは営業から始まるぶん、いろんな業界の会社に行けます。授業の外の時間も多く、インターン、サークル、自分のビジネスと、好きなことに時間を使えます。

この記事では、その違いを数字と小池の大学時代の話で比べます。

目次

理系は、学部を選んだ時点で方向が決まる

大学の工学部の実習室で、作業着の上着を羽織った茶髪の大学生が、小さなロボットアームの部品をドライバーで組み立てるのに夢中になっている。「機械工学科なら、機械の設計」の文字。

理系の学部・学科は、そのまま仕事の中身につながっています。機械工学科なら機械の設計、電気電子なら電機や電力、応用化学なら化学メーカーや素材、建築学科なら建設や設計事務所。学んだ専門を使って働くのが理系です。

だから、学部選びがそのまま進路選びになります。大学に入ってから「やっぱり金融に行きたい」「マスコミに行きたい」と方向を変えることもできますが、せっかく学んだ専門を使わない道になります。

学科と研究室が就職先を決めるしくみは、学部はどう選ぶ?文系は学部で就職が決まらない、理系は決まるに書きました。

難関大の理系は、ほとんどが大学院まで行く

理系でもう1つ知っておいてほしいのが、大学院です。難関大学の理系は、4年で卒業して就職する人のほうが少数派です。

大学・学部大学院へ進む人
東京大学 理学部 物理学科94.1%
東京大学 工学部 応用化学科94.0%
東京大学 工学部 機械工学科79.1%
早稲田大学 基幹・創造・先進理工学部約7割
東京大学 経済学部 経営学科(文系)3.3%
東京大学 経済学部 経済学科(文系)17.9%

出典:東京大学は大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」(2024年度の学部卒業者、河合塾 Kei-Net の掲載より)。早稲田大学は理工学術院の公式ページ(2026年3月の卒業・修了者)。

全国で見ても、学部を出て大学院へ進む人は、理学で43%、工学で38%。人文科学は5%、社会科学は3%です(文部科学省「学校基本調査」、2022年春の卒業者)。

つまり、難関大の理系に行くということは、大学4年+大学院2年の、6年間の学生生活を選ぶということです。メーカーの研究職や開発職は、大学院を出た人が中心。理系で上を目指すなら、6年を前提に考えてください。

理系の大学生活:実験と出席と研究室で、忙しい

夜の大学の化学の研究室で、白衣を着た大学生の女子が、実験器具とレポートの山を前に、ほおづえをついてぐったりしている。「4年生からは、研究室が中心」の文字。

理系の大学生は、とにかく忙しい。実験やレポートがあり、出席を取る授業も多い。4年生になれば研究室に入り、研究が生活の中心になります。大学院に進めば、その研究がさらに2年続きます。

だから理系では、大学で遊びまくるというより、真面目に授業をこなす学生が多いのが実態です。

小池は文系(慶應の経済学部)でした。もし理系に行っていたら、授業と実験に追われて、大学時代に自由に動くのは難しかったと思います。下に書くネットショップも、たぶん作れていません。

もちろん、これは悪いことではありません。専門の力を6年かけて身につけるから、メーカーの研究・開発のような、専門がなければ就けない仕事に就ける。忙しさは、その力を手に入れる代わりです。

文系は、学部で就職が決まらない。だから、いろんな会社に行ける

大学の体育館の合同企業説明会の会場で、私服の茶髪の大学生の女子が、ずらりと並ぶいろいろな業界の会社のブースを見回し、目を輝かせている。「学部を問わず、どの業界へも」の文字。

文系は、ほとんどの人が営業から社会人をスタートします。お客さんと話して、自社の商品やサービスを売る仕事です。法学部でも経済学部でも文学部でも、配属は営業になることが多い。

ここだけ聞くと「営業しかないのか」と思うかもしれません。でも裏を返すと、どの学部からでも、どの業界の会社にも行けるということです。商社、銀行、広告、IT、メーカー、テレビ局。営業はどんな会社にもある仕事なので、文系は会社と業界を広く選べます。

理系が「学んだ専門を使える会社」に絞られやすいのに対して、文系は入口が広い。これが文系の強みです。

どんな業界にどんな会社があるかは、仕事の地図にまとめています。

文系の大学生活:授業に出ない学生も多い。その時間で何をするか

一人暮らしの部屋で、HTMLの本を何冊も積んだ机に向かう私服の茶髪の大学生が、自分で作り直したネットショップの売上が伸びたのを見て、ガッツポーズで喜んでいる。「月30万円が、月400万円に」の文字。

文系の授業は、出席を取らないものが多い。小池の大学では、だいたい7割の授業が出席を取りませんでした。大事なのは試験で、授業で先生が話す内容は、その先生の本にだいたい書いてあります。

だから、文系にはあまり授業に出ていない学生も多い。小池もそうでした。友達に代返を頼んだこともあります。

じゃあ授業に出ずに何をしているか。インターンで企業に入って働く人。サークルに熱中する人。旅行や遊びで青春を謳歌する人。自分の好きなことを自由にやれる時間が、文系にはたっぷりあります。

小池の場合は、起業したかった。だから自分でビジネスをやりました。母が楽天に出していたネットショップのサイトを、本を10冊買ってきて、大学をサボって自分で作り直した。10日でHTMLを覚え、売上は月30万円から月400万円まで伸びました。

正直に言うと、サボりすぎて留年もしています。自由な時間は、何に使うかを自分で決めないと、ただ消えていく時間にもなる。それでも、自分でビジネスをやった経験は、今の塾の経営にそのままつながっています。

大学生活の自由さは、大学生活は最高に楽しい!に詳しく書きました。

塾生限定

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どちらを選ぶか:数学を続けられるかと、どんな4年間を過ごしたいか

比べると、こうなります。

理系文系
進む方向学部・学科でかなり決まる学部ではほとんど決まらない
大学院難関大はほとんどが進む(6年)ほとんど進まない(4年)
授業実験・レポート・出席が多い出席を取らない授業が多い
大学生活授業と研究で忙しい授業の外の時間が多い
就職専門を使う会社・職種へ多くは営業から、業界は広く選べる

選ぶときの1つ目の決め手は、数学をあと2年続けられるかです。数学をやめた瞬間に、国立大学と理系の学部、数学が必要な私立の学部の扉が閉まります。

2つ目が、この記事で書いたどんな大学4年間を過ごしたいか。専門の力を6年かけて身につけ、それを使って働きたいなら理系。授業の外の時間で、インターンやビジネスや好きなことに打ち込みたいなら文系。

どちらが上ということはありません。自分の4年間を、どちらの形で使いたいかで選んでください。

まとめ

夕方の館山の海辺の遊歩道で、黒い詰襟の高1の男子が、文理選択の用紙を握りしめ、口をきゅっと結んできりっと前を見すえている。「数学を続けるか、どんな4年間か」の文字。
  • 文理選択で変わるのは、高校の科目だけではない。大学4年間の過ごし方と仕事の選び方が変わる
  • 理系は学部・学科で方向が決まる。難関大の理系はほとんどが大学院まで進み、6年の学生生活になる
  • 理系は実験・出席・研究で忙しく、真面目に授業をこなす学生が多い
  • 文系は多くが営業から始まるぶん、どの学部からでもいろんな業界の会社に行ける
  • 文系は出席を取らない授業が多く、インターン・サークル・自分のビジネスなど、好きなことに時間を使える
  • 決め手は、数学をあと2年続けられるかと、どんな4年間を過ごしたいか

ランゲージ・ラボラトリー 小池

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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