高校生の進路の選び方:やりたいことがなくても「選べる入口」を取る

海の見える分かれ道で、安房高校の制服の女子高校生が道しるべを見上げて考えている。「やりたいことがなくても大丈夫」「高校生の進路の選び方」「『選べる入口』を取る」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

進路希望調査の「将来つきたい職業」「志望学部」の欄が埋まらない。周りは「看護」「先生」と書いているのに、自分だけ決まっていない気がして焦る。そんな高校生に向けて書きます。

先に言い切ります。やりたいことが決まっていない人ほど、あとで選び直せる「入口」を取りに行けばいい。決まっていないのはダメなことではありません。決まっていないなら、決まっていないなりの選び方があります。

この記事は「進路の選び方」シリーズの入口です。高校3年間の分かれ道ごとに、詳しい記事へつないでいます。分かれ道に立つたびに、ここに戻ってきてください。

目次

「やりたいことがない」は、高校生でいちばん多い悩み

夜の自分の部屋で、安房高校の制服の女子高校生が白紙の進路希望調査の紙とスマートフォンを前に、途方にくれている挿絵。文字「やりたいことが決まらない」

まず安心してほしいのは、やりたいことが決まっていない高校生のほうが普通だということです。木更津高校の先輩にインタビューしたときも、こう言っていました。

「目標大学が中学から決まっている人はいない。夢とか学部とか普通決まってないから安心して」

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小池自身もそうでした。高3になって、将来なりたい職業を決めて、そこから逆算して専門か大学か、どの学部かを決めるものだと思っていた。でも、肝心の職業が決まらない。だから、その手前も決まらない。そこで止まっていました。

そんなときに出会ったのが、大学を紹介する本の「やりたいことから逆算して大学を選ばなくてもいい。行ってから考えればいい」という言葉です。モヤモヤが吹き飛びました。そこから腹をくくって、高3の10月から1日12時間勉強しました。

職業の名前から探すと、だいたい外れる

大きな円「世の中の仕事」の中に、小さな円「館山から見える仕事」(学校の先生・看護師・市役所)と、何を作るかを決める人・世界中から資源を仕入れる人・新しいサービスを考える人を置いた手描き図解。見出しは「館山から見える仕事は、ほんの一部」。

「なりたい仕事」を思い浮かべてみてください。学校の先生、看護師、市役所、保育士、美容師、ゲームを作る人。その多くは、館山で毎日目にする仕事か、テレビやスマホで見た仕事ではないでしょうか。

でも、館山から見える仕事は、世の中のほんの一部です。会社の中で何を作るかを決める人、世界中から資源を仕入れる人、新しいサービスを考える人。毎日の生活では目に入らない仕事のほうが、ずっと多い。知らない仕事は、なりたい仕事の候補にすら上がりません。

だから、職業の名前から逆算すると、知っている狭い範囲の中で選ぶことになります。それより、自分は何に夢中になってきたか、何をしているときに楽しいかという価値観から探すほうが当たります。やり方は、AIに聞かれながら自分の「好き」の奥を探した記事に書きました。

やりたいことは変わる。だから横に動ける入口を取る

「大学」から「最初の仕事」へ進み、そこから「上に動く」で何を作るかを決める仕事(上流)へ、「横に動く」で別の仕事・別の業界へ矢印が伸びる手描き図解。見出しは「大学は、上にも横にも動ける入口」。

思い出してほしいのですが、4歳のころに「何になりたい」と聞かれたら、仮面ライダーかプリキュアと答えていたはずです。それから10年ちょっとで、なりたいものは何度も変わった。今の答えが最後の答えだと考える理由は、どこにもありません。

実際、10代で決めたことを40年続ける人は少ないです。「思っていたのと違った」「数年やったら飽きた」「体力がきつくなってきた」「現場じゃなくて、企画する側に回りたい」。こういう気持ちは、途中で必ずと言っていいほど出てきます。飽きっぽいからではなく、人は変わるからです。

だから小池が進路で見ているのは、「その仕事に就けるか」だけではありません。10年後に気が変わったとき、動ける入口かどうか。

動き方中身
上に動く決まったものを形にする仕事(下流)から、何を作るかを決める仕事(上流)へ
横に動く同じ業界の別の仕事へ、あるいはまったく別の業界へ

大学を出ると、この2つの道が最初から開いています。行ける業界の幅も一気に広がるし、大学ではインターンなどで実際に試してから選べる。だから、決まっていない人ほど、できるだけ上の大学という入口を取りに行く。小池はそう考えています。

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好きより、求められていることをやり切る

東進館山校の自習ブースで、学ランの男子高校生が英語の長文に歯を食いしばって食らいつき、背景に洋装と袴姿の明治の人たちが淡く浮かぶ挿絵。文字「必要だから やり切る」

「好きなことを見つけなさい」と言われても、高校生の「好き」はまだ無いか、浅いのが普通です。好きを探して立ち止まっているうちに、時間だけが過ぎていきます。

明治の人たちは、好きで英語をやったわけではありません。国が外国に飲み込まれないために、必要だからやった。福沢諭吉も津田梅子も夏目漱石も、求められたことをやり切った先で、自分の仕事を見つけました。

高校生にとって、目の前で求められているのは英語と数学です。本当の好きは、やり切ったその先で見つかる。

欲望で考えてもいい

「人の役に立ちたい」のようなきれいな理由でなくていいです。自由に働きたい。お金を稼ぎたい。認められたい。好きなものを極めたい。どれか1つでも当てはまれば、それが仕事を選ぶ入口になります。そして、どの欲望を叶えるにも、お金か、自分で選べる立場が要ります。

高校3年間の分かれ道の地図:いつ、何を決めるか

高1の秋(文系か理系か)、高1の冬まで(推薦か一般か)、高2(国立か私立か)、高2の夏(学部)、高2の冬〜高3の春(お金)、高3の12月(志望校)の6つの分かれ道を1本の道に並べた手描き図解。見出しは「高校3年間の分かれ道」。

高校3年間には、決める順番があります。どの分かれ道でも、基準は一つ。「あとで選べる側に立てるか」です。

時期分かれ道決め手詳しい記事
高1の秋文系か理系か数学をあと2年続けられるか学部の選び方(文系・理系)
高1の冬まで推薦か一般か評定と模試のずれを見て、早く決め打つ推薦か一般か
高2国立か私立か働く場所と教科数国立か私立か
高2の夏学部学部名より、4年間で会える人と機会学部の選び方
高2の冬〜高3の春お金4年間の総額と、使える支援館山から大学へ行くお金
高3の12月志望校受験科目は今決め、学校は最後に決める志望校は高3の12月でいい

入試のしくみそのものは大学入試のしくみ、学年ごとの山場は大学受験の3年間の記事にまとめています。先輩が実際にどう絞ったかは、安房高から現役で早慶に受かった先輩の話が分かりやすいです。

学年のどのあたりにいれば、どの大学に届くのか。安房高校・木更津高校の進学実績で確かめられます。

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決まらない今日やることは、英語と数学

東進館山校の自習ブースで、木更津高校の制服の女子高校生が英語と数学の問題集を広げ、没頭している挿絵。文字「英語と数学は止めない」

志望校をガチガチに決めるのは、高3の12月でいい。どこまで伸びるかは最後まで分からないからです。でも、それまでにやることは、もう決まっています。

迷っているあいだは、英語と数学を止めない。英語はどの大学・どの学部でも要る。数学をやめた瞬間に、国立・理系・数学が要る私立の扉が閉まります。英数が仕上がっていれば、文系にも理系にも、国立にも私立にも転べる。決まらない人ほど、英数が保険になります。

中学・高校の6年間で何をどこまでやるかは、6カ年プランの「高校生プラン」にまとめています。

小池の考え:選ぶのは自分。選べる立場をつくる

夜のダイニングで、翔凜高校の制服の女子高校生が自分の言葉で進路を話して晴れやかな笑顔を見せ、向かいの母親がうなずいている挿絵。文字「決めるのは自分」

「親がこう言っていたから、ここにする」。進路の話で、こう言う生徒をよく見ます。親や先生の言葉は、きっかけとしてはいいんです。でも、結論を決めるのは自分です。言われたことのどこに自分が惹かれたのかを、自分の言葉にしてほしい。

選ぶのは自分。そして、選べるのは選べる立場にいる人だけです。高校の3年間は、その立場をつくる時間だと小池は思っています。

塾長 小池

やりたいことが決まっていないのは、まだ選択肢が残っているということ。選択肢を減らさないように、目の前の英語と数学をやり切りましょう!

保護者の方へ

高校生の保護者が子どもに言いがちな言葉の1位は「好きなことをしなさい」で、57.1%。一方で、高校生の14.4%は「それだけで終わらないでほしい」と思っています(リクルート・全国高等学校PTA連合会「高校生と保護者の進路に関する意識調査2025」)。

「好きなことをしなさい」で話を終えずに、渡してほしいことが3つあります。

  • どの入口を取っておくかを一緒に話す(あとで選べる側に立てるか)
  • 英語と数学だけは止めさせない
  • いろいろな大人に会わせる。館山で見える仕事の外を見せる

中学生へ

高校選びも同じです。やりたいことが決まっていないなら、あとで選べる幅が広い高校へ。どの高校に行くかで、その先の進路がどう変わるかは、中3の進路の記事にまとめています。

まとめ

朝の海沿いの道で、志学館高校の制服の男子高校生がワクワクした顔で前を向いて歩き出している挿絵。文字「あとで選べる側に立つ」
  • やりたいことが決まっていない高校生のほうが普通
  • 職業の名前から探すと、知っている狭い範囲で選ぶことになる。価値観から探す
  • やりたいことは変わる。上にも横にも動ける入口(できるだけ上の大学)を取る
  • 好きを探して立ち止まるより、求められていること(英語と数学)をやり切る
  • 高校3年間の分かれ道は、どれも「あとで選べる側に立てるか」で決める
  • 決めるのは自分。親や先生の言葉はきっかけ

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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