館山で働きたい人ほど大学選びが大事:一度出て、戻るという道

館山駅のホームで、安房高校の学ランの男子高校生が大きなかばんを肩に、電車に乗る前に町をふり返っている。「地元が好きな高校生へ」「館山で働きたいなら」「一度出て、戻る道」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

「地元が好き」「家族の近くにいたい」。だから「大学は行かなくてもいいかな」「行くとしても家から通えるところで」。そう考え始めた高校生に向けて書きます。

先に言い切ります。館山で働きたいなら、なおさら大学で入口を取る。地元で長く、安定して、やりがいを持って働ける仕事は数が限られていて、その入口の多くは大学で決まるからです。

目次

「地元で働きたい」は、悪くない

館山の北条海岸で、安房高校の制服の女子高校生が海風に髪をなびかせ、穏やかに海を眺めている挿絵。文字「地元で働きたい」

高校2年生の44.6%が「地元で働きたい」と答えています(リクルート・全国高等学校PTA連合会「高校生と保護者の進路に関する意識調査2025」)。半分近い高校生が、同じことを考えている。

小池もそれは悪くないと思っています。小池自身、東京で働いたあとに館山に戻ってきて、塾を始めました。館山は海も山も近く、家族との時間も取りやすい。いい場所です。

問題は、「地元で働きたい」から「だから勉強しなくていい」に話が飛んでしまうこと。ここが逆です。

地元で高卒・中小企業で働いたときの、お金のリアル

手取り約21万円(30代前半)の帯を、生活費約15.5万円(家賃・食費・光熱費・通信費・日用品・車の維持費)と残り約5.5万円に分けた手描き図解。高卒・従業員10〜99人の会社の場合。見出しは「手取り約21万円、残りは約5.5万円」。

地域の中小企業に高卒で就職した場合を、国の統計で見てみます。

年代月収の目安(高卒・従業員10〜99人の会社)
30代前半手取り約21万円(額面 約27万円)
40代前半手取り約23万円(額面 約29万円)

額面は全国・男女計の平均(厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』)。残業代とボーナスは入っていません。手取りは税金と社会保険料を引いた概算です。

館山で車を持って一人暮らしをすると、家賃・食費・光熱費・通信費・日用品・車の維持費で月に約15.5万円かかります。手取り21万円から引くと、残りは約5.5万円。ここから服を買い、遊び、貯金をすることになります。くわしい内訳と、家族4人の場合は中3の進路の記事に書きました。

田舎は、お金で見ると実は豊かに暮らせます。家賃が安く、車も持てる。ただ、仕事の種類が限られる。会社に勤めるだけだと、給料は上がりにくい。だから、どの仕事に就くかが大事になります。

館山で働ける仕事の地図

市役所・町役場・県庁は採用試験、学校の先生は4年制大学で教員免許、看護師は看護の大学か専門学校+国家試験、薬剤師は6年制の薬学部+国家試験、地元の銀行・大きな会社は大学を出て就職、自分で商売は技術と経験を身につけてから独立、と仕事と入口を並べた手描き図解。見出しは「館山で長く働ける仕事の入口」。

館山・南房総で、長く安定して働ける仕事を並べてみます。

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自分で商売技術と経験を身につけてから独立3年東京修行説

安房地域には亀田総合病院をはじめ15の病院があり、医療の仕事は地元に多くあります。安房高校の卒業生(令和7年度の進路状況)でも、公務員の合格が26、看護専門学校への進学が8ありました。高校を出てすぐ地元で働く道もあります。

ただ、表を見ると分かるように、先生・看護・薬剤師・銀行のような仕事は、大学が入口です。そして同じ仕事でも、大学から入るか専門学校や高卒から入るかで、入った後の伸び方が変わります。看護師なら、初任給の差は小さくても、30代からの出世や給料で差がつく。公務員も、高卒区分と大卒区分で採用試験が分かれています。

その入口は大学で決まる:千葉大・看護・教職

大学の実習室で、スクラブ姿の看護学生と、スーツ姿の教育学部の学生が、真剣なまなざしで実習に打ち込んでいる挿絵。文字「入口は大学で決まる」

千葉県で安定して働きたいなら、館山から見た現実的な最高目標は千葉大学です。県庁・千葉銀行・学校の先生と、千葉で働く道に強い大学です(小池の見立て)。

千葉県で中学校の先生になるなら、代表は千葉大学教育学部。安房高校なら、学年でおよそ上位30〜40番が目安です(小池の見立て)。高校3年間、学年の上のほうに居続けないと届きません。

看護も、大学に行くか専門学校に行くかを選べます。どちらからでも看護師にはなれますが、入った後に差がつくのは、複雑なことを理解する力と、自分で考えて動く力です。勉強には、その要素がたくさん入っています。

つまり、「地元志向だから勉強しなくていい」は逆です。地元で選べる仕事が少ないからこそ、その少ない入口を取れる位置にいる必要があります。

塾生限定

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小池の「3年東京修行説」:基準を上げてから選ぶ

夜の東京のオフィスで、スーツ姿の若い社会人がくたくたになりながらも資料を握りしめ、窓の外にビルの夜景が広がる挿絵。文字「東京で3年修行」

では、ずっと館山にいればいいのか。小池は、一度外に出ることをすすめています。

18歳から25歳くらい、いちばん多感な時期に、東京で3年間修行する。大きな会社で給料をもらいながら、技術と仕事の仕方を覚える。そして3年たったら、選べばいい。

  • そのまま東京で働き続ける
  • 田舎に戻って、リモートで東京の仕事をする
  • 田舎で、自分の小さな商売を始める
  • 地元の会社や役所に転職する

大事なのは、若いうちに「一番高い基準」を体に入れておくことです。ずっと館山にいると、館山の当たり前が自分の当たり前になる。東京で一流の人たちの中に3年いると、一流の当たり前が自分の当たり前になる。基準さえ入っていれば、そのあとどこで何をしても通用します。

そして、東京の大きな会社に入る入口も、大学です。大学で東京に出て、そのまま東京で働いて、基準を上げてから戻る。これが「一度出て、戻る」道です。

東京の技術を持ち帰ると、田舎は強い:小池の塾の場合

館山の塾の教室で、塾長の小池が館山中の制服の中学生に授業をし、生徒が分かった瞬間に満面の笑みを見せている挿絵。文字「東京の技術を田舎で」

小池は大学を出て、東京のリクルートという会社で営業をしていました。周りには、ものすごく仕事ができる人がたくさんいた。毎日夜遅くまで働くのが当たり前。新しいことを学び続けるのが当たり前。その東京で、自分の中の「当たり前の基準」が上がりました。

そして館山に戻って、塾を始めました。東京では「普通」だったことが、地方では「すごい」になる。田舎は仕事の種類が少ないぶん、東京では当たり前の技術やサービスがまだ無いことが多く、同じことをしているライバルも少ない。家賃も安い。

だから、東京で身につけた技術を持ち帰って田舎で仕事をすると、強い。お金もしっかり稼げて、広い家・車・海のある田舎の暮らしも楽しめる。東京と田舎のいいとこ取りができます。小池の塾は、その実例です。

塾長 小池

館山の教育を良くしたい、というのが今の小池の仕事です。それができているのは、一度外に出て、基準を上げてから戻ってきたからだと思っています。

小池の考え:地元が好きな人ほど、選べる立場をつくる

館山へ向かう電車の窓際で、スーツケースを持った若い社会人が車窓に海が見えてきてワクワクしている挿絵。文字「一度出て、戻る」

地元が好きなのは、すばらしいことです。だからこそ、その地元で「この仕事がしたい」と思ったときに、選べる立場にいてほしい。

地元の仕事の入口は少ない。少ないから、取れる位置にいる人が取っていきます。英語と数学を止めずに、できるだけ上の大学という入口を取る。一度出て、基準を上げて、戻る。戻るかどうかも、そのときの自分で選べばいい。

保護者の方へ

「できれば戻ってきてほしい」という気持ちと、「一度外に出す」ことは両立します。いったん外に出して入口を取らせるのが、地元で選べる仕事に就く近道です。

中学生へ

地元に残りたい人ほど、どの高校に行くかが効きます。高校ごとに卒業後の進路は大きく違います。高校3年間でいつ何を決めるかは、進路の選び方の記事にまとめました。

高校生の進路の選び方:やりたいことがなくても「選べる入口」を取る

まとめ

館山(高校)から大学で東京へ、東京で3年修行、そして館山に戻る、とUの字の道でつないだ手描き図解。見出しは「一度出て、基準を上げて、戻る」。
  • 「地元で働きたい」は悪くない。でも「だから勉強しなくていい」は逆
  • 高卒・中小企業の手取りは30代前半で約21万円。田舎は暮らしは豊かでも、仕事の種類が限られる
  • 先生・看護・薬剤師・銀行など、地元で長く働ける仕事の入口は大学
  • 18〜25歳で一度東京に出て、基準を上げてから選ぶ(3年東京修行説)
  • 東京の技術を持ち帰ると、ライバルの少ない田舎は強い

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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