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ランゲージ・ラボラトリーの小池です。
「将来、何をやりたい?」
こう聞かれて、すぐに答えられる中学生は多くありません。答えられても「ゲームを作りたい」「サッカー選手」のように、職業の名前が出てくることがほとんど。
でも、職業の名前から探すと、だいたい外れます。中学生が知っている仕事は、世の中の仕事のほんの一部だから。
先に分かっておくべきなのは、自分はどんなときに夢中になるのか、どんな場所なら力が出るのか。
小池は先日、これをAI(Claude)に話を聞いてもらいながらやってみました。この歳になって、自分でも気づいていなかったことが次々に言葉になりました。
今日は、そのやりとりを全部見せます。AIの見立てが外れて、小池が言い直して、少しずつ見えてきた過程こそ、いちばん見てほしいところです。まなぶ君に、同じことができる「じぶんノート」を作りました。


最初に、小学生のころに一番熱中したことを話しました。








小学校のころ、少年野球にものすごく熱中した。やればやるほど上達したし、3番・ピッチャーのエースになれて、弱かったチームがだんだん勝てるようになっていったのが面白かった。当時は野球そのものが好きだと思っていたけど、中学に入って怪我をして、チームの中心じゃなくなったら、あまり楽しくなくなったんだよね。












好きが消えたときを見ると、何が好きだったかが分かります。楽しくなくなったのは、野球をやめたときではなく「中心でなくなったとき」。だとすると、好きだったのは野球そのものより、こっちかもしれません。
| 書いたこと | |
|---|---|
| 表面の好き | 野球 |
| 奥の好き | 小さくてもいいから、自分が中心になって、自分の力で結果を出すこと |
| それが分かった出来事 | 中学で怪我をして中心でなくなったら、野球が楽しくなくなった |
ここでまず1つ目の発見。自分では「野球が好き」だとずっと思っていたのに、好きだったのは「中心で結果を出すこと」でした。
皆さんも「〇〇が好き」と思っているものがあったら、それが楽しくなくなった瞬間を思い出してみてください。そこに、本当の好きが隠れています。


1つの思い出だけだと、どうしても表面で止まります。AIは「ほかにも夢中になったことは?」と聞いてきました。小池は、庭で3〜4人でやっていた野球の話、大学で草野球チームを作った話、受験で古文を捨てた話をしました。








庭では3〜4人しかいないから、ルールを工夫してた。ベースは一塁だけ、フェアゾーンを5〜10度くらいまで狭くして、カウントは1ストライク1ボールから、近所の家のほうに打ったらアウト。大学の草野球では、みんなが「練習してからじゃないと無理」って言うのに、先にグラウンドを押さえて試合を組んだ。やってみたら、それなりに試合になった。












エピソードを横に並べて、それぞれで何をしていたかに印を付けてみます。
| エピソード | 中心に立つ | ルールや作戦をつくる | まず動く | 目標から逆算 |
|---|---|---|---|---|
| 少年野球のエース | ○ | |||
| 庭の3〜4人野球 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 大学の草野球 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 受験で古文を捨てる | ○ | ○ | ○ | |
| 名古屋旅行のために3万円貯金 | ○ |












何度も出てくるのは「目標から逆算」と「ルールや作戦をつくる」。野球という言葉は、もう表に出てきません。キャラで言うと「作戦を立てて、自分で試合を組むエース」。選手兼監督です。
並べた瞬間、野球が消えました。これが2つ目の発見です。1つの思い出を深く掘るより、いくつかの思い出を横に並べて、何度も出てくるものを探すほうが、自分の芯に近づけます。


次に話したのは、小学生のころのキャンプと誕生日会です。ここで、AIの見立てが初めて外れます。








3〜4家族で、毎年のようにバスを借りてキャンプに行ってた。大人たちはずっと宴会、子どもは原っぱで野球やドッジボール、探検。何が楽しかったのかよく分からないけど、めちゃくちゃ楽しかった。












「よく分からない」は普通です。言葉を貸すので、近いものを選んでください(いくつでも)。
小池が選んだのは「非日常」「みんなが集まる場」「仲良くなること」。
AIがいちばん自信を持っていたのは「大人の目がない自由」でした。大人が宴会をしている間に、子どもだけで勝手に遊ぶ。塾で小池が言っている「やり方は教えない、自分で走らせる」につながる、という読みです。
でも、小池は選びませんでした。












「大人の目がない自由」は選ばれませんでした。この見立ては外れです。選ばれた3つと、今の家の話(子どもの友達が集まれるように設計した家)を合わせると、見えてくるのは「人が集まって熱くなれる場を、自分でつくる」ことかもしれません。
ここが、この自己分析でいちばん面白かったところです。AIの見立ては外れます。 でも、外れたものを「違う」と言えると、自分の答えがはっきりします。選ばなかったカードも、ちゃんと情報になる。
AIは「全部のエピソードに『仲間と』が入っている」と言いました。小池は、それも違うと思いました。








確かに仲間と何かをやるのはすごく楽しい。でも一人の時間も好きなんだよね。一人でAIに向かって何かを作るとか、DIYで大工をやるとか。とにかく何かを作るのが好き。












「楽しかった思い出は?」と聞いたので、人と一緒の話ばかり集まっていました。聞き方が偏っていました。並べ直すと、共通しているのは人数ではなく「つくる」です。
| 仲間と | 一人で |
|---|---|
| 庭野球のルールをつくる | AIでまなぶ君をつくる |
| 草野球の試合をつくる | DIYで家具や部屋をつくる |
| 海で、材料もレシピもない変な汁をつくる | 受験で、自分の勉強のやり方をつくる |
| 友達が集まれる家をつくる |
2回目の外れで、芯が「つくる」に決まりました。
仲間とやるときは、場やルールを仕掛けて、みんなの反応を見る「仕掛け人」。一人のときは、没頭してものをつくる「つくり手」。 やり方は2つあるけれど、動詞は同じ。
AIは次に、谷(楽しくなかった時期)を聞いてきました。「話したくなければ飛ばしていいよ」と添えて。








中学は空気感が好きじゃなかった。頑張ってる人を馬鹿にする空気があって、体育のサッカーで走ってると「必死になって汗かいて、馬鹿らしい」って言う子が多かった。「あいつ調子乗ってるよな」って、出る杭を打つ空気がすごくつらかった。高校はそんなことなくて、みんなが一生懸命で清々しかった。「自分は自分、人は人」。それぞれの世界を持っている人が多かった。








会社員時代もつらかった。朝何時に行って、夜何時までいなきゃいけない。企業と人の間に入って日程調整するとか、システムでやればいいのに、って思う仕事が虚しかった。企業の人から話を聞くのは楽しいのに、それを文章にまとめるのにものすごく時間がかかる。












谷を並べると、力が出る場所と出ない場所が見えてきます。
| 力が出る場 | 力が出ない場 |
|---|---|
| 本気が普通の場所(高校) | 頑張る人を笑う場所(中学) |
| 「自分は自分、人は人」 | 「調子乗ってる」と出る杭を打つ |
| 自分で決めて工夫できる | 時間に縛られ、機械でできる作業を人が回し続ける(会社員) |












会社員のとき欲しかった「録音して、文字にして、人は話を聞くことに集中する」仕組みは、今つくろうとしている「話した言葉をAIが整理するノート」とそっくりです。谷が、今の仕事の設計図になっています。
言われてみて驚きました。つらかった会社員時代の「こうだったらいいのに」が、そのまま今まなぶ君でつくっているものになっていました。
そして、ここまでの山と谷をつなぐと、こんなグラフになりました。


高2のとき、小池は学年で下から2番でした。そこから高3で逆転合格できたのは、野球で「やればうまくなる」を経験していたから。前の山が、次の谷を越える力になっていました。




最後は強みです。AIは「強みごとにエピソードを2つ以上」「その強みで困ったことは?」と聞いてきました。
| 強み | エピソード | 裏返すと |
|---|---|---|
| ハマって深掘り | 野球の漫画とゲーム、受験の勉強法、AI、DIY | ハマっているときに別の用事が入ると、イライラして逃げたくなる |
| 選択と集中 | 古文を捨てて早慶上智一本。テニスはサーブだけを磨いてチーム1番にし、まず団体戦のレギュラーに | それしかできない。古文を捨てた分、教養が薄い |
| 常識にとらわれない | 9人いなくても野球をする。練習より先に試合。大学の授業をサボってHTMLを勉強し、サイトを作る | コツコツ授業に出る感覚が薄く、留年した |












1つ仮説があります。「選択と集中」の裏返し(教養が薄い、受験の英語がテクニカルに寄った)が、今の小池先生の考え方とちょうど逆向きです。今、生徒に「教養」「本質」「パターン暗記をしない」と言っているのは、自分が取りこぼしたものを、生徒に取りこぼさせないためではないですか?








うん、当たっていると思う。本質を理解していない部分は、授業をしていても説明できないし、表面的に伝えるだけだと面白い授業ができない。「ごまかしながらやってるな」って思う教科や部分だってある。そうすると生徒の熱狂も生まれない。自分がサボった分が、今の自分に返ってきている。だからこそ、本を読んだり、ラジオを聞いたりして努力してるんだけどね。
ここが、いちばん深いところでした。弱みの自覚から、その人の価値観が生まれる。 小池が塾でしつこく「本質」と言い続けている理由を、AIとの会話で初めて自分の言葉で説明できました。
会話の最後に、ノートはこうまとまりました。
| 中身 | |
|---|---|
| 芯の動詞 | つくる(ルール・試合・場・家・勉強のやり方・まなぶ君) |
| キャラ | 仕掛け人(仲間と企んで、真ん中で反応を見る)/つくり手(一人で没頭する) |
| 強み | ハマって深掘り、選択と集中、常識にとらわれない |
| 力が出る場 | 本気が普通/自分は自分、人は人/自分で決めて工夫できる |
| 力が出ない場 | 頑張る人を笑う/時間に縛られ、機械でできる作業を人が回し続ける |
| 動機 | 自分のためにやるとき、いちばん力が出る |
最後の行も大事です。「人の役に立つ仕事がしたい」が立派な答えだと思われがちですが、小池は自分のためにやるときに力が出ます。どちらが正しいということはありません。自分はどっちなのかを知っていることが大事。
ここまでで見えてきた、芯の動詞・強み・力が出る場・動機。これをまとめたものが、自分の価値観です。職業の名前から探すのではなく、この価値観に合う仕事を探す。順番が逆です。
この価値観から、AIに「生きる働き方」を業界をまたいで出してもらいました。答えではなく、「試しに見てみる候補」です。
| 働き方 | 仕事の例 | 生きる強み |
|---|---|---|
| 事業をつくる | 起業、新規事業の責任者、塾・教室の経営 | 選択と集中、常識にとらわれない |
| 仕組みや遊びのルールをつくる | ゲームのプランナー、レベルデザイン、プロダクトマネージャー | 庭野球のルール作りは、ゲームデザインそのもの |
| 手を動かしてつくる | エンジニア、Web制作、建築・設計 | ハマって深掘り(HTML、AI、DIY) |
| 作戦を立てる | 戦略企画、スポーツのアナリスト | 選択と集中、目標から逆算 |
どれも「つくる」側、つまり何をつくるか自分で決める上流の仕事です。
そして、合う働き方と合わない働き方を並べると、こうなります。
| 力が出る働き方 | 力が出にくい働き方 |
|---|---|
| 事業や仕組み、遊びのルールをつくる | 調整や、決まった作業を回すのが中心 |
| 自分で決めて工夫できる | 決まった時間に縛られる |
| 本気が普通の仲間がいる | 頑張る人を笑う空気 |
| 自分のためにやれる | 「誰かのため」だけが理由になる |
右の列は、会社員のときにつらかった仕事とぴったり重なります。左の列の先に、今の塾とまなぶ君があります。
15歳でこの価値観が分かっていたら、もう少し早くここにたどり着けたかもしれません。職業の名前は、価値観が見えてからで十分です。大学に行けば、いろんな業界をインターンで実際に試してから選べます。そのときに、この価値観が物差しになります。


最後に、AIに「教科書に出てくる偉人に例えると?」と聞いてみました。












いちばん近いのは、福沢諭吉かもしれません。
| 小池のノート | 福沢諭吉 |
|---|---|
| 塾をつくる(仕掛け人) | 蘭学の塾を開き、のちの慶應義塾をつくった |
| 選択と集中・常識にとらわれない | 必死に学んだオランダ語が、開港した横浜でほとんど通じないと知ると、すぐに英語に切り替えた |
| 本質・教養を大事にする | 『学問のすゝめ』で、暮らしに役立つ学問を自分で学ぶ大切さを説いた |
| 自分で決める・自分のために | 「独立自尊」。人に頼らず、自分の考えで立つことを大事にした |












もう1人挙げるなら、織田信長。楽市楽座で、誰でも商売ができる市場という「場」をつくりました。常識にとらわれず、新しいやり方を次々に試した人です。
オランダ語をあっさり捨てて英語に乗り換えた話は、小池が古文を捨てて早慶上智に絞った話と、少し似ています。ちなみに小池は、その慶應義塾の卒業生。偶然ですが、ちょっとうれしい。
偉人に例えると、自分の芯が一言で言えるようになります。歴史の授業で習う人たちも、みんな「何かに夢中になった普通の人」でした。
| 分かったこと | なぜ大事か |
|---|---|
| 自分の言葉で、思い出を話すだけでいい | 「強みは?」と聞かれても出てこない。出来事を話せば、AIが整理してくれる |
| AIの見立ては外れる。それでいい | 「違う」と言い直すたびに、自分の答えがはっきりする。選ばなかったカードも情報になる |
| 表で返ってくると、自分が見える | 文章の塊では気づけなかった共通点が、並べた瞬間に見える |


小池とAIがやったことを、まなぶ君でできるようにしました。それが「じぶんノート」です。


1回で全部やらなくて大丈夫です。スマホのキーボードのマイクで、しゃべって入れてもOK。書いたことは、皆さん本人と先生しか読めません。話したくないことは飛ばしてかまいません。
学年が上がるたびに書き足していくと、中1の自分と中3の自分を並べられます。答えが変わるのは当たり前。変わった理由まで含めて、それが皆さんの財産になります。高校入試の面接や、推薦の志望理由を書くときにも、そのまま使えます。


やりたいことは、職業の名前の前に。まずは、自分の価値観から。
ランゲージ・ラボラトリー 小池
ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて