「それは何だ?」が止まらない。織田信長の学び方

織田信長が、異国から届いた地球儀や時計を前に、夢中で書き取っている

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

※この記事にはアフィリエイトリンクを含みます。

まなぶ君の一問一答のページに、地球儀や時計を前にして、夢中で何かを書いている人がいます。織田信長です。

戦国時代の武将というと、刀や合戦の話になりがちです。でも今日は、信長の「知りたがり」の話をします。

目次

若いころのあだ名は「大うつけ」

戦国時代の町の通りで、着物を片方ぬいだ若い織田信長が柿をかじり、にやりと笑っている。後ろで町の人たちが目を丸くしてひそひそ話している。「みんなと同じは イヤ」の文字。

信長は1534年、尾張(今の愛知県西部)に生まれました。

若いころは、着物を半分ぬいだような格好で町を歩き、柿や瓜をかじりながら出かける。まわりの大人からは「大うつけ(大ばか者)」と呼ばれていました。

ところがこの人、決まりきったやり方を疑うのが得意でした。「みんながそうしているから」では動かない。自分で見て、試して、よければ取り入れる。

塾長 小池

常識を疑う人は、最初はたいてい変わり者あつかいされます。信長もそうでした。

鉄砲を、だれより早くそろえた

野原の木の柵の前で、織田信長が鉄砲を手に得意げに笑っている。後ろに鉄砲を構えた足軽たちが並ぶ。「刀の時代に 鉄砲を選んだ」の文字。

まだ多くの武将が「刀と弓と槍で十分」と考えていたころ、信長は早くから鉄砲をたくさん集め、使い方を工夫しました。

教科書にはこう載っている

1543年、ポルトガル人を乗せた中国の船が種子島(鹿児島県)に流れ着き、鉄砲が伝わった。鉄砲はやがて堺(大阪府)や国友(滋賀県)でさかんにつくられるようになった。

1575年、織田信長は徳川家康と組み、長篠の戦いで大量の鉄砲を有効に使って、武田勝頼の軍を破った。

教科書では、この2つの文です。でも、この2つの文のあいだには32年あります。そのあいだ信長は、鉄砲を集め、撃ち方を工夫し続けていました。

新しい道具は、使い方を学んだ人のものになる。道具そのものより、学ぶ速さで勝った戦いでした。

宣教師を、質問攻めにした

屋敷の広間で、織田信長が身を乗り出して目を輝かせ、南蛮の宣教師にたずねている。宣教師は苦笑いしている。「質問が 止まらない」の文字。

信長のもとには、ポルトガルから来たキリスト教の宣教師、ルイス・フロイスがたびたび訪ねてきました。

フロイスの記録によると、信長はヨーロッパのこと、インドのこと、星や天気のこと、宗教のことを、長い時間、次から次へとたずねたそうです。地球儀を見て、地球が丸いという説明もすぐに理解したと伝わっています。

予想してみよう:フロイスが信長に贈ったお菓子は?

塾長 小池

ヒント:今も売っている、星のような形の小さなお菓子です。

答えを見る

答えは、金平糖(こんぺいとう)。ポルトガル語の「コンフェイト」が名前のもとです。フラスコ(ガラスのびん)に入った金平糖を贈ったと伝わっています。

ほかにも、ビロードの帽子やマント。信長はめずらしい品を面白がって受け取り、身につけてみました。ただし、目覚まし時計だけは「手入れが難しくて、ここでは壊れてしまう」と断ったといいます。面白がるけれど、使えないものは使えないと見きわめる。そこも信長らしいところです。

聞いたことを、町づくりに使った

信長は、見て聞いたことを、そのまま試しました。

教科書にはこう載っている

織田信長は、琵琶湖のほとりに安土城を築いた。城下では楽市・楽座の政策をとり、市の税をなくし、座の特権を廃止して、だれでも自由に商工業ができるようにした。また、各地の関所を廃止して、人や物が行き来しやすくした。

教科書では、これで全部です。1つずつ、中身を見ていきます。

楽市・楽座

城下町の市で、店がずらりと並び、商人や町の人でにぎわっている。手前で織田信長が満足げにうなずいて市を見わたしている。「だれでも 店を出してよし」の文字。

そのころ、市で商売をするには税をおさめたり、「座」という同業者の組合に入ったりしなければなりませんでした。座に入れない人は、売りたくても売れません。

信長はこの決まりをなくし、だれでも自由に商売できるようにしました。商人が集まれば、品物もお金も集まる。安土の城下町は、にぎやかな町になりました。

関所をなくす

道をふさぐ木の関所の前で、織田信長が眉をつり上げて門を指さし、足軽たちが門を引き倒している。荷物を背負った商人たちが通れるようになって驚いている。「通るたびに お金を取るな」の文字。

そのころの道には、あちこちに関所があり、通るたびに通行料を取られていました。荷物を運ぶ商人にとっては、進むほどお金が減っていく道です。

信長は関所をなくし、人や物が自由に行き来できるようにしました。物が動けば、商売はもっとさかんになります。楽市・楽座と関所の廃止は、セットで効くしくみでした。

安土城

湖のほとりの山の上に、金色にかがやく高い天守の安土城がそびえている。手前で織田信長が胸を張り、ワクワクした目で天守を見上げている。「見た人が 腰をぬかした城」の文字。

1576年、信長は琵琶湖のほとりの安土(滋賀県)に城を築き始めました。山の上にそびえる高い天主(天守)は、いちばん上が金色、その下が朱色の八角形だったと伝わっています。

それまでの城は、戦いのための「とりで」でした。安土城は、天下に力を見せるための城です。訪れた宣教師たちも、その美しさを書き残しています。

塾長 小池

楽市・楽座、関所、安土城。一問一答ではバラバラの3問ですが、どれも「人と物とお金を集める」ための1本の作戦でした。

やってみよう:「それは何?」を3つ書く

教室で、男子中学生がノートに書き取りをしていて、その横から織田信長が教科書をのぞき込み、目を輝かせて指さしている。「知らない言葉 3つ見つけた?」の文字。

信長のまねは、刀がなくてもできます。今日1日で、

  1. 教科書や一問一答で、知らなかった言葉を3つ見つける
  2. それぞれ「それは何?」と自分に聞いて、1行で説明を書く
  3. 書けなかった1つだけ、まなぶ君の一問一答でもう一度解く

たとえば
楽市・楽座 → だれでも自由に商売できるようにしたしくみ。
関所 → 通る人や荷物からお金を取った場所。

塾長 小池

「わからない」を見つけた日は、損した日ではありません。信長にとっては、いちばん楽しい日でした。

信長に会える漫画とゲーム

信長をもっと知りたくなったら、漫画とゲームが近道です。教科書の2行が、何十巻ぶんの物語になります。上ほど読みやすく、下ほど大人向けに並べました。

塾長 小池

漫画やゲームで先に出会った人物は、教科書に出てきたとき「あ、知ってる人だ」になります。それだけで、覚える速さが変わります。

信長協奏曲(石井あゆみ)

勉強が苦手な高校生サブローが、戦国時代にタイムスリップ。体の弱い本物の信長に頼まれて、信長として生きることになります。歴史をほとんど知らないサブローが、桶狭間、長篠、本能寺へと進んでいく。読み進めるうちに、出来事の順番が自然に頭に入ります。

少年漫画なので、小学校高学年から読めます。全24巻で完結(最終巻は2026年10月9日発売)。

信長の忍び(重野なおき)

信長にほれこんだ少女の忍者・千鳥の目から、信長の一生を4コマ漫画で描きます。笑いながら読めるのに、出来事は年表どおり。信長の一生をひと通り追いたい人の1冊目に向いています。

小学校高学年から。全23巻で完結。アニメにもなっています。

信長のシェフ(梶川卓郎・西村ミツル)

現代の料理人ケンが戦国時代に飛ばされ、信長の料理人になります。料理で外交や戦いを動かしていく話です。南蛮の料理や当時の食べ物が次々に出てくるので、この記事の金平糖の話が好きな人にはぴったりです。

小学校高学年から。全37巻で完結。

センゴク(宮下英樹)

主人公は、信長に仕えた武将・仙石権兵衛秀久。美濃の斎藤家の家来から始まり、信長・秀吉のもとで戦国を生き抜きます。長篠の戦いや桶狭間を、新しい研究をもとに描き直しているのが特徴です。上の「教科書にはこう載っている」と比べながら読むと、歴史は史料の読み方で変わることが分かります。

青年漫画で、戦いの描写が激しく大人向けの場面もあるので、中学生以上。『センゴク』『センゴク天正記』『センゴク一統記』『センゴク権兵衛』の4部で完結しています。

へうげもの(山田芳裕)

主人公は、信長に仕えた武将・古田織部。出世したい気持ちと、茶わんなどの名品がほしい気持ちのあいだで揺れ続けます。信長からは世界を見る目を、千利休からは美しさの深さを学んでいく。茶の湯、千利休、桃山文化。教科書の文化の単元が、そこで生きた人の話になります。

青年漫画で大人向けのギャグもあるので、中学生以上。全25巻で完結。手塚治虫文化賞マンガ大賞を受けています。

ゲーム:信長の野望(コーエーテクモゲームス)

大名になって国を治め、天下統一を目指すゲームです。1983年から続くシリーズで、遊ぶうちに、どの大名がどこにいて、どの国がどこにあるかが地図で頭に入ります。いま遊べるのは『信長の野望・新生 with パワーアップキット』(全年齢対象)。

スマホの『信長の野望 出陣』は、実際に歩いて城や名所を集める位置情報ゲームです。近所の史跡と結びつけて覚えられます。

ゲーム:戦国無双5(コーエーテクモゲームス)

若いころの「尾張のうつけ」信長と、明智光秀の2人が主人公のアクションゲームです。桶狭間から本能寺まで、2人の関係を追いかけながら戦います。

12歳以上対象(CERO B)なので、中学生から。ゲームならではの脚色も多いので、本当はどうだったかは教科書で確かめてください。そのひと手間が、いちばんの勉強です。

コーエーテクモゲームス(Nintendo Switch)

もっと深く:コテンラジオで聞く

夕方、車の後部座席で館山中の制服を着た中学生がイヤホンで歴史のポッドキャストを聞き、頭の上に鎧の武士や着物の女性、城の場面が浮かんで、目を輝かせている挿絵

コテンラジオ(COTEN RADIO)は、歴史が大好きな深井龍之介ふかいりゅうのすけさん・ヤンヤンさんと、歴史が苦手な樋口さんの3人が、1人の人物を何回にも分けてじっくり語る歴史のポッドキャストです。教科書では1行で終わる出来事の裏にある、人間くさい話が聞けます。

この記事の人物には「織田信長編」(全12回)があります。2〜5回目で武士の始まりから室町幕府の混乱までをさかのぼり、信長本人が出てくるのは6回目(生まれと父の話)から。桶狭間の戦いは7回目、信長の政策の話は10回目「天下人 織田信長の政治力」です。この記事の楽市・楽座を思い出しながら聞いてください。「大うつけ」と呼ばれた若者が、なぜ天下に手をかけられたのか。教科書の2行の裏側を、3人の掛け合いで追いかけられます。本能寺の変は、続きの「秀吉・家康編」の4回目で聞けます。

まずは1回目だけ聞いてみてください。おもしろければ、次の回が勝手に聞きたくなります。

聞くなら Voicy(アプリでもブラウザでも聞けます)がおすすめです。YouTube のように次のおすすめ動画が画面に出てこないので、気が散らずに話だけを追えます。ほかのアプリで聞くなら、Apple Podcasts/Spotifyでも聞けます。

音だけなので、通学の車の中や、寝る前の時間にそのまま聞けます。画面を見なくていいのが、ラジオのいいところです。

一問一答も、「それは何だ?」から

一問一答は、答えを覚える作業に見えます。でも本当は、知らないものに出会う場所です。

知らない言葉が出てきたら、信長のように面白がって、解説まで読んでみてください。1問ずつ知っていくことが、そのまま世界を広げることになります。

学んだ者が、世を変える。まずは今日の1問から。

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

目次