理科の実力の伸ばし方:生活で見て、図で考えて、単元ごとにやり直す

冬の日差しが部屋の奥まで差し込むリビングで、湿度計を手に取ってのぞきこみ、不思議そうに目を輝かせる紺ブレザーの女子中学生。「教科書は 家にある?」「理科の実力」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

まなぶ君のランキングで理科のバッジを取った皆さん、おめでとうございます。定期テストで80点、90点、100点。実力テストで70点以上。テスト前にやり切った結果です。

これから取りにいく人も、この先を読んでください。

今日は、理科の実力をどう伸ばすのかを話します。先に結論を言います。

理科は、生活の中で見たことを、図を描いて考える教科。

そして、理科にはもう一つ、いいところがあります。単元ごとに、やり直しが効く。

このページについて
  • 読んでほしい人:中学生本人(理科のバッジを取った人も、これから取りたい人も)と、保護者の方
  • 分かること:生活の中にある理科の見つけ方(保護者の方向け)、理科の計算が小学生の算数でできている話、図を描いて考えるやり方、単元ごとのやり直し方、まなぶ君での練習の仕方
目次

伸ばす前に、自分の理科をチェックする

塾の教室で、理科のワークの計算問題を前に鉛筆を止め、眉を下げて途方にくれる志学館中の制服の男子中学生。「公式を 忘れたら?」の文字。

次の質問に答えられるか、試してください。

  • 冬は、日差しが部屋の奥まで届く。夏は届かない。なぜ?
  • 湿度60%。何の60%?
  • 水90gに食塩10gを溶かした。何%の食塩水?

3つ目、「11%」と答えた人。それは、10÷90をした答えです。正しくは10%。どこで間違えたのかは、この先で話します。

用語は書けるのに、「なぜ?」と聞かれると固まる。計算は、公式を思い出せないと手が止まる。それが、理科を暗記だけでやっているサインです。

理科の教科書は、おうちの中にある

夕暮れのキャンプ場で、焚き火の上にふわっと舞い上がるティッシュを、父親と並んで目を見開いて見上げる私服の中学生の女の子。「なぜ 浮くの?」の文字。

この節は、保護者の方に特に読んでほしいところです。

理科は、体験から学ぶ教科です。理科の教科書に出てくることは、おうちの中や、身の回りでたくさん起きています。

生活の中で見ることつながる単元学年
部屋の湿度計。冬は湿度が下がる天気(湿度・飽和水蒸気量)中2
冬の朝、窓の内側がぬれている天気(露点)中2
冬は、日差しが部屋の奥まで届く地球と宇宙(太陽の高さ)中3
透明な氷を削ると、かき氷は白くなる光(乱反射)中1
焚き火の上で、ティッシュがふわっと浮く天気(あたためられた空気の上昇)中2
砂糖は熱いお湯ほどよく溶ける。食塩はあまり変わらない水溶液(溶解度)中1
夏の午後、もくもくの雲のあとに夕立天気(積乱雲)中2

湿度計1つで、理科と算数がつながる

たとえば、家に湿度計を1つ置いてみてください。

「今日は湿度が低いね。加湿器をつけようか」。ここから、話を広げられます。

  • 60%って、何の60%?
  • 冬は、なぜ部屋が乾くの?

湿度は、空気がふくむことのできる水蒸気の量(いっぱいまで)に対して、実際にふくまれている水蒸気が何%か。そして、空気がふくめる水蒸気の量は、気温が高いほど多くなります。だから、冬に暖房で部屋を温めると、水蒸気の量は同じでも、いっぱいまでの量が増えて、湿度は下がる。冬の部屋が乾く理由です。

これが、中2の天気の単元。そして「何の何%?」は、小5の割合そのものです。

冬の日差しは、なぜ奥まで届く?

南向きの大きな窓がある家は多い。冬、日差しが部屋の奥まで届いて、暖かいからです。

太陽が一番高くなるときの高さ(南中高度)は、季節で変わります。館山あたりでは、夏至のころは約78度。ほぼ真上です。冬至のころは約32度。低い角度から差し込むので、光が部屋の奥まで入る。夏は高いので、ひさしで日差しがさえぎられる。中3の「地球と宇宙」の話です。

体験がないと、授業でつながらない

授業で、小池が「焚き火の上にティッシュをふわっとやると、空に浮くでしょ」と話したことがあります。

返ってきたのは、「やったことありません。キャンプに行ったことがありません」。

かき氷の話をしても、「かき氷、作ったことありません」。

体験があれば、授業の説明を聞いた瞬間に「あ、あれのことか」となります。体験がないと、説明はただの言葉のまま。覚えるしかなくなります。

日常生活を、丁寧に楽しむ。 それが、理科の一番の土台です。

動画で見るのと、自分でやるのは、何が違う?

焚き火も、かき氷も、動画なら今すぐ見られます。それなのに、なぜ本物がいいのか。

1963年、アメリカの研究者が子猫で実験をしました。暗い所で育てた子猫を2匹ずつ、メリーゴーラウンドのような装置につなぎます。1匹は、自分の足で床を歩ける。もう1匹は、カゴに乗せられて、1匹目が歩くとおりに運ばれるだけ。2匹が見る景色は、まったく同じです。

結果は、はっきり分かれました。自分で歩いた子猫は、段差の手前で止まり、近づいてくる物をよけた。カゴで運ばれただけの子猫は、段差を避けず、近づいてくる物もよけなかった。同じものを見ていたのに、です。

見ているだけでは、感覚は育たない。 自分で体を動かして、その結果が目や手に返ってくる。そのくり返しで、頭の中に「こうしたら、こうなる」が育ちます。

動画の焚き火は、カゴの子猫と同じです。本物の焚き火なら、顔に熱さが来る。煙のにおいがする。ティッシュをもう1枚、今度は少し離して落としてみる。思ったのと違うことが起きる。この「自分でやって、返ってくる」が、授業で「あ、あれのことか」となる土台になります。

ただし、バーチャルがだめなわけではありません。電流や原子のように、目に見えないものは別です。アメリカの大学で、電気の実験を本物の電球と導線でやるクラスと、電子の流れが見えるシミュレーションでやるクラスを比べた研究があります(2005年)。シミュレーションのクラスのほうが、しくみの理解でも、本物の回路を組み立てるテストでも、成績がよかった。

本物で、体の感覚を作る。見えないものは、画面で見る。順番は、まず本物です。

保護者の方にお願いしたいこと

特別な実験道具は要りません。

  • 子どもが「なんで?」と言ったら、チャンス。すぐに答えを言わず、「なんでだろうね」と一緒に考える
  • 子どもが「やりたい」と言ったことは、なるべくやらせる。危ない、じれったいと取り上げたくなる場面こそ、学びが大きい
  • 料理、キャンプ、BBQ、星を見る。理科の体験は、遊びの中にたくさんある
  • 湿度計や温度計を、見えるところに置いておく

勉強させたいという意図が見えると、子どもは嫌になります。教えるより、一緒に面白がってください。

塾生限定

塾生サイトには、この話の続きを塾生だけが読める記事で載せています。塾生サイトで読む

※塾生の方は、まなぶ君と同じID・パスワードで読めます

理科の計算は、ほとんど小学生の算数

塾の自習ブースで、ノートに線分図を描いた瞬間に答えが見えて、ハッと目を見開く翔凜中の制服の男子中学生。「45分で36km 時速は?」の文字。

理科には計算問題があります。ここで苦手意識を持つ人が多い。

でも、中身を見てください。

中学理科の計算学年使っている算数
質量パーセント濃度中1割合(小5)
密度中1単位量あたりの大きさ(小5)
地震のゆれが伝わる速さ中1速さ(小5)
湿度中2割合(小5)
電流・電圧(オームの法則)中2比例(小6)
化学変化と質量中2比(小6)
圧力中2単位量あたりの大きさ・面積の単位(1m²=10000cm²)
物体の運動の速さ中3速さ(小5)

理科の計算は、ほとんど小学生の算数です。 新しく覚える公式は、実は多くありません。

高校入試の理科に、小学生の速さが出た

2023年の千葉県公立高校入試の理科に、こんな計算がありました。

「45分で36km進んだ。時速は何km?」

小5以上なら解けます。線分図を描きます。

  • 45分は、60分の4分の3。だから、線分を4つに区切る
  • 3つ分で36km。1つ分(15分)は、36÷3=12km
  • 60分は4つ分。12×4=48km
時間15分30分45分60分
進んだきょり12km24km36km48km

答えは時速48km。

さらに、時速の意味が分かっていれば、選択肢だけで解けます。45分で36km進むなら、60分ではそれより少し増えるだけ。36より小さい選択肢は、ありえない。2倍以上の80も、おかしい。残るのは48。2〜3秒です。

これを「みはじ」の図に当てはめて解いていると、こうはいきません。

公式に当てはめず、図を描いて考える

家の台所で、塩を溶かした計量カップの横のノートに帯の図を描き、夢中になって考える館山中の制服の男子中学生。「全体は どこ?」の文字。

理科の計算でつまずく人は、公式の形だけを覚えています。「くもわ」「みはじ」。公式を忘れたら、もう解けない。

図を描く人は、公式を忘れても解けます。

食塩水は、全体がいくつかを見る

さっきのチェックの3問目です。水90gに食塩10gを溶かした。

図を描きます。1本の帯を描いて、全体を「食塩水 100g」。その帯を「水 90g」と「食塩 10g」に区切る。全体は、水と食塩を合わせた100gです。

10÷100で、10%。

10÷90をしてしまうのは、「全体」がどこかを見ていないからです。図を描けば、全体がひと目で分かります。

湿度は、だいたいの見当をつけてから計算する

湿度も同じです。気温20℃の空気は、1m³あたり17.3gまで水蒸気をふくめる。実際には6.9gふくんでいる。

17.3を1本の線にして、6.9がどこまでかを描くと、真ん中より少し下。だから、だいたい40%ぐらい。

計算すると、6.9÷17.3=約0.4。40%です。

ここで計算を間違えて「4%」になった人も、図を描いていれば「あれ、40%ぐらいのはず」と自分で気づけます。

ケアレスミスと言っているもののほとんどは、ミスではなく、図を描いていないことが原因。

小学生のうちに、図を描く習慣を

図を描いて考える習慣は、小学生の算数で身につけるのが一番です。割合、速さ、比。小学生の算数で図を描いてきた人にとって、理科の計算はサービス問題になります。

まなぶ君には、小4〜小6向けの「速さ 線分図ラボ」があります。紙に線分図をかいて写真を出すと、答え合わせと、図がのび縮みする解説が開きます。中学生でも、速さや割合があやしいと感じたら、ここに戻ってください。

理科は、単元ごとにやり直しが効く

館山駅前で、返ってきた理科のテストを片手に握って悔しさに唇をかみながら、もう片方の手で次の単元の教科書を開く館山中の制服の女子中学生。「電流で こけても?」の文字。

ここが、理科のいちばんのいいところです。

数学は積み上げの教科です。中1の方程式でつまずくと、中2の連立方程式も、中3の二次方程式も苦しくなる。前に戻らないと、先に進めません。

理科は、分野が4つに分かれていて、単元が変わると話がガラッと変わります。

分野中1中2中3
生物いろいろな生物とその共通点生物のからだのつくりとはたらき生命の連続性
化学身のまわりの物質化学変化と原子・分子化学変化とイオン
物理光・音・力電流とその利用運動とエネルギー
地学大地の変化天気とその変化地球と宇宙

電流でつまずいても、次の天気は新しいスタート。前の単元が分からなくても、今の単元は今日からやり直せます。

最悪、どこかの単元で崩れても、その単元だけやり直せばいい。

しかも、理科の暗記は短い時間で取り返せます。塾で測ったことがあります。ふつうにやれば30分かかる単元が、一問一答なら7分で終わりました。中1理科の全単元の復習が、2時間で終わったこともあります。

実力テストや入試は、全単元が範囲です。だからこそ、苦手な単元を1つずつ選んで、つぶしていけばいい。

ただし、2つだけ注意があります。

  • 同じ分野は、学年をまたいでつながっている。中1の「身のまわりの物質」があやしいまま、中2の「化学変化」に入ると苦しい。やり直すなら、同じ分野の前の学年から
  • 計算でつまずいているなら、戻る先は理科ではなく、小学生の算数。割合・速さ・比を図で考え直す
塾長 小池

理科は、何度でもやり直せる教科です。前の単元でつまずいたことは、今の単元をあきらめる理由になりません。

テストの点に変える:覚えるところと、考えるところを分ける

理科のテスト勉強は、覚えるところと考えるところで、やり方を変えます。

  • 覚えるところ(用語・名前・しくみ):一問一答で、書かずに答えを隠して○×をつける。✕だけを2周目、3周目と回して、全部○にする。スピードを上げる
  • 考えるところ(計算・グラフ):ここだけは、あえてゆっくり。図を描いて、1問ずつ解く
  • 仕上げは、自分に聞き方を変えて聞く。「単子葉類の植物はどれ?」ではなく、「単子葉類の植物を、知っているだけ言える?」。選択肢があると、分かっていなくても消去法で当たってしまうからです

まなぶ君を使っていれば、自動的にこのやり方になる

夜の自分の部屋の机で、タブレットのまなぶ君で理科の一問一答をやり切り、小さくガッツポーズで笑う私服の中学生の男の子。「苦手な単元 だけ回す」の文字。

ここまでのやり方は、まなぶ君に入っています。

やり方まなぶ君では
用語を思い出す理科の一問一答。✕だった問題が先に回ってくる
テスト範囲に合わせる学校のテスト範囲に合わせて、理科の単元が出てくる
単元ごとにやり直す苦手な単元を選んで、その単元だけ回せる
しくみを読む教科書のページ。理科は生物・化学・物理・地学の分野と、学年で絞れる
算数に戻る速さ 線分図ラボ(小4〜小6)。紙に線分図をかいて写真で出す

紙とまなぶ君の使い分けは、紙(学校ワーク・塾のプリント)は学校や自習室で、計算と図をじっくり。まなぶ君は家とすき間時間で、思い出す練習をくり返す。どちらも「○×をつけて✕だけやる」は同じです。

まとめ

  • 理科は、生活の中で見たことを、図を描いて考える教科
  • おうちの中に理科の教科書がある。湿度計、冬の日差し、かき氷、焚き火。体験があると、授業とつながる
  • 保護者の方へ:子どもの「なんで?」がチャンス。教えるより、一緒に面白がる
  • 理科の計算は、ほとんど小学生の算数。割合・速さ・比
  • 公式に当てはめず、図を描く。全体はどこか、だいたいいくつかを先に見る
  • 理科は、単元ごとにやり直しが効く。最悪、崩れた単元だけやり直せばいい
  • 覚えるところは○×で速く、考えるところは図でゆっくり

バッジは、今日までの結果。次は、家の湿度計を見て、「何の何%?」を1つ考えてみてください。

生活で見て、図で考える理科を!

ランゲージ・ラボラトリー 小池

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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