数学の実力の伸ばし方:図を描く、数字で試す、✕を◯に変える

テストが返ってきた中学校の教室で、赤い丸がたくさん付いた答案を胸の前で持ち、本当に自分の力かと目を丸くする紺ブレザーの女子中学生。「100点は自分の力?」「数学の実力」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

まなぶ君のランキングで数学のバッジを取った皆さん、おめでとうございます。定期テストで80点、90点、100点。実力テストで70点以上。テスト前にやり切った結果です。

これから取りにいく人も、この先を読んでください。

今日は、数学の実力をどう伸ばすのかを話します。先に結論を言います。

数学の実力とは、初めて見る問題を、図を描いて自分で考えられる力。

点数は、その結果として付いてきます。

このページについて
  • 読んでほしい人:中学生本人(数学のバッジを取った人も、これから取りたい人も)と、保護者の方
  • 分かること:数学で世界を動かす会社を作った人の話、自分の数学のチェックの仕方、数学の実力を伸ばす5つのやり方、入社試験に出るフェルミ推定、まなぶ君での練習の仕方
目次

まず、なぜ数学か

高校で差がつく教科のナンバー1。それが数学です。赤点になる人も、苦手意識を持つ人も多い。

逆に、得意な人は数学が大好きです。解けなかった問題をシャワーを浴びながら考えていて、「そっか」とひらめく。風呂から出て解き直したら、解けた。数学はそういう教科です。

大学受験で大事なのは、英語・数学・国語の3教科。数学は思考力を鍛え、複雑な物事を筋道をつけて理解する力を育てます。東進館山校で結果を出している高校生の勝ちパターンは、高1・高2のうちに英語と数学を仕上げること。中学の今は、その土台をつくる時期です。

数学で身につく力が大人になってどう生きるのかは、データで確かめた記事にまとめました。

数学で考えた人が、世界を動かす会社を作った

夜の研究室で、黒板いっぱいに描かれたグラフや図形を前に、法則に気づいて目を輝かせる大人の研究者(架空の人物)。

数学の力で、世界を動かす会社を作った人たちがいます。3つ紹介します。

ジム・シモンズ:データの中から法則を見つけた

1980年代の投資会社の部屋で、何枚ものグラフやモニターの折れ線を前に、同じ形がくり返す所を指でたどって夢中になる、白いひげのジム・シモンズのちびキャラ。「データの中に法則はある?」の文字。

アメリカの数学者です。大学で図形の数学(幾何学)を研究し、ストーニーブルック大学の数学科の学科長も務めました。1978年、のちのルネサンス・テクノロジーズになる投資会社を作ります。

この会社が集めたのは、金融の専門家ではなく、数学者・物理学者・統計の専門家でした。とにかくたくさんのデータを集めて、偶然ではない動きを探し、次にどう動くかを予測する。中学で習う「データの活用」や「確率」の、ずっと先にある数学です。

数字を集めて、試して、法則を見つける。 根っこは、皆さんが問題を解くときと同じです。

ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン:「大事なページ」を数学で決めた

1990年代の大学院の研究室で、ホワイトボードに描いたたくさんの丸(ページ)と矢印のつながりを前に、矢印がいちばん集まる大きな丸を指さしてひらめく、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンのちびキャラ。

Google を作った2人です。スタンフォード大学の大学院で出会いました。ブリンは大学で、数学と計算機科学を学んでいます。

2人は、検索の順位を決めるしくみ「ページランク」を考えました。もとにしたのは、学者の世界の「たくさん引用される論文ほど大事」という考え方です。1998年の論文に書いた考え方は、こうです。たくさんのページからリンクされているページは大事。大事なページからリンクされているページも大事。

「大事なページとは何か」を1行の言葉にして、それを計算できる形にした。下で話す「中心の概念を1行で言う」の、いちばん大きな成功例だと小池は思っています。

ビル・ゲイツ:パンケーキの並べ替えを考えた

1970年代の大学の寮の部屋で、大きさがばらばらに積まれたパンケーキの山とフライ返しを前に、眉をよせて考え込む、大きなめがねの学生時代のビル・ゲイツのちびキャラ。「何回返せばそろう?」の文字。

マイクロソフトを作った人です。ハーバード大学の学生だったころ、授業で出された未解決問題の一つに取り組みました。

大きさがばらばらに積まれたパンケーキを、フライ返しで「上から何枚かをまとめてひっくり返す」ことだけで、大きさ順に並べる。どんな積み方でも、何回ひっくり返せば必ずそろうか。そういう問題です。

ゲイツの考えた手順は、1979年に大学の研究者と一緒に数学の論文になり、約30年、いちばん速い方法の記録を持ち続けました。

手順を自分で考えて、何回で済むかを確かめる。まなぶ君の素因数パズルと同じ種類の頭の使い方です。3枚、4枚のパンケーキで試してみると、手が勝手に考え始めます。

3人に共通すること

3人とも、答えの載っていない問題に、数学で考えて向き合いました。

数学で「自分で考える力」を身につけた人が、世界を動かす会社を作っています。

では、その力はどう伸ばすのか。ここから具体的に話します。

伸ばす前に、自分の数学をチェックする

塾の教室で、「やり方は?」と聞きかけてハッと片手で口を押さえ、しまったという顔をしながら、もう片方の手で鉛筆を持ってノートに図を描こうとする志学館中の制服の男子中学生。「「やり方は?」が口ぐせ?」の文字。

次の口ぐせが出ていたら、パターンで解いているサインです。

  • 「習ってない」
  • 「やり方は?」
  • 「たすの?ひくの?」

逆に、次の質問にすぐ答えられるか試してください。

  • 時速って何?
  • √2×√2 はいくつ? なぜそうなる?

計算はできるのに、意味を聞かれると固まる。それが、いちばん危ないサインです。

塾長 小池

点数はバッジになります。でも、その点数を自分で考えて取ったのか、やり方を覚えて取ったのかは、バッジには出ません。

数学を捨てる話は、高校で科目を選ぶときの話

塾生サイトには「数学を捨てるのもアリ」という記事があります。あれは、高校で大学受験の科目を決めるときの話です。小学校の分数でつまずいたまま来てしまった人や、私立文系に進む人が、数学の代わりに社会を武器にする。本人の得意を見て、小池と相談して決める戦略です。

中学の皆さんは、数学を捨てません。中学までは、幅広く育てる時期。高校入試も5教科です。

そして、あの記事にも書いたとおり、中学の定期テストなら、パターンで解くごまかしの数学でも90点が取れてしまいます。捨てる・捨てないを考える前に、いま取っている点数の中身を確かめてください。

数学の実力を伸ばす5つのやり方

中学校の図書室で、問題文を1行読むごとにノートに線分図や図形を描き込み、夢中で考える館山中の制服の女子中学生。「1行読んだら1行描く」の文字。

ここからは、具体的なやり方です。

1. 中心の概念を1行で言えるようにする

理解の3段階の手描き図解。「なんとなく分かった」→「問題が解ける」→「人に説明できる」と矢印でつながり、最後の「人に説明できる」が青。見出しは「人に説明できて、初めて理解」。

やり方を覚える前に、その言葉の意味を1行で持ちます。

言葉1行で言うと
時速1時間で進む距離
パーセント100個に分けたうちの何個分
かけ算同じ数のものが、何セットあるか
√22乗すると2になる数

√2 が「2乗すると2になる数」だと分かっていれば、√2×√2=2 は計算するまでもありません。√2 を2乗しているのだから、2に決まっています。

概念の芯さえ分かれば、あとは応用です。

1行で言えたら、次は人に説明してみてください。「なんとなく分かった」→「問題が解ける」→「人に説明できる」。3まで行って、初めて理解できたと言えます。

2. 図を描いて、図の上で考える。式は最後

図で考える手順の手描き図解。「1行読む」→「1行分の絵を描く」→「図の上で答えまで」→「式に翻訳する」と矢印でつながり、「図の上で答えまで」が青。見出しは「考える本体は図。式は最後」。

問題文を一気に読まない。1行読んだら、1行分の絵を描く。分かる数を書き込み、求めるものは□にする。

難しく見える文章題も、1行ずつ見れば単純なことしか書いていません。それが3ステップ、4ステップと続くから、ややこしく見えるだけです。「絵を描いても分からない」という人は、たいてい絵を描いていません。

大事なのは、図から式を立てることより、図の上で答えまで考えること。式は、図を翻訳したものです。考える道具の本体は図のほうです。

たとえば木更津高専の一般入試の数学は、図が与えられず、問題文から自分で図を描く力が要ります。塾の絵かき算で育った中学生・高校生は、平均点が30点台になるような数学のテストでも、90点・100点を取ってきます。

3. 分からないときは、数字を入れて試す

数字を入れて試す手描き図解。1+3=4、3+5=8、7+9=16と試すと、矢印の先に青い囲みで「奇数+奇数=いつも偶数」。見出しは「数字を入れて試すと、法則が見える」。

すぐに分からなくても、手を止めない。数字を仮に入れてみる。実験する。何回か試すうちに、法則が見えてきます。

「やり方を教えて」と言いたくなったら、そこがチャンスです。やり方を自分で考えるのが、皆さんの仕事。それが算数であり、数学です。迷路やパズルで「こっちの道、あっちの道」と試しているうちに、自分で法則を見つける。その経験が、次の問題で考える入口になります。

目指すのは、「先生、言わないで。自分で解くから」と言える状態です。

塾長 小池

習っていなくても、知っていることを組み合わせて解くのが楽しい。勉強って、そういうものだと小池は思っています。

4. ✕を◯に変える。途中式を上からたどる

途中式をたどる手描き図解。2x+3=11は○、次の2x=14が青で囲まれ「ここでずれた」「正しくは2x=8」、x=7は×。見出しは「途中式を上からたどって、ずれた行を探す」。

答えが違ったとき、赤で正しい答えを写して終わりにしない。それでは、せっかく間違えたのに1mmも成長しません。

自分の途中式を、上から順にたどります。ここは合っているはず。ここも合っているはず。あ、ここが違った。解答の途中式と自分の途中式を突き合わせて、どこでずれたかを見つけます。

そして、✕だった問題を白紙に書き写して、もう一度解く。◯の問題はやらない。✕だけを2周目、3周目とやる。勉強は2周目からが本番です。

ケアレスミスも実力のうちです。

  • 途中式を書く。図を描く
  • 答えを出したら、見た目でチェックする(明らかに90°より大きい角なのに30°になっていないか)
  • おおよその答えを先に考える(3×1.3 なら「約3」。39 と出たらおかしいと気づける)
  • ありえない答えになっていないか考える(おばあちゃんの歩く速さが時速9000kmになっていないか)

5. 難しい問題は、後回しにしても捨てない

ワークを基礎・応用・C問題の3つに分けた帯の手描き図解。C問題は青で、「あとで」の矢印が付いている。見出しは「C問題は捨てずに、後回し」。

勉強は基礎から。難しい問題は、基礎が◯になってからで構いません。

ただし、学校ワークのC問題や、整理と対策の右下の問題を「どうせ定期テストには出ない」と捨てないこと。実力テストには出ます。入試にも出ます。捨てるのではなく、順番を後にするだけです。

80点を90点に、90点を100点に変えるのは、ここです。

塾生限定

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入社試験に出る「フェルミ推定」をやってみる

館山駅前のベンチで、向かいの小さな美容院を見ながらノートに人数と回数のかけ算の図を描き、得意げにニヤッとする翔凜中の制服(白のセーラー服)の女子中学生。「館山に美容院は何軒ある?」の文字。

「シカゴにピアノの調律師は何人いるか」。物理学者のエンリコ・フェルミが学生に出したとされる問題です。調べずに、知っている数と仮定を組み合わせて、だいたいの数を出す。これをフェルミ推定と呼びます。

フェルミ推定は、外資系のコンサルティング会社などの入社試験(面接)で出ることで知られています。見られているのは、答えが合っているかではありません。どう分けて、どんな数を置いて、筋道を立てたかです。

ここまでの5つのやり方が、そのまま使えます。1つやってみます。

問題:館山市に美容院は何軒ある?

まず自分で見当をつけてから、下の答えを開いてください。

答えと考え方
  1. 館山市の人口を、だいたい4万人と置く
  2. 1人が美容院に行くのは、年に4回と置く → 4万人 × 4回 = 年に16万回
  3. 1軒で1日に8人、年に300日営業と置く → 1軒で年に 8 × 300 = 2,400人
  4. 16万 ÷ 2,400 = 約67 → だいたい70軒

使ったのは、かけ算とわり算だけです。大事なのは、「美容院の数」を「行く人の回数 ÷ 1軒がさばける人数」と1行で言い直したところ。中心の概念を1行で言う、の出番です。

実際の数を調べて、比べてみてください。ケタが合っていれば大成功です。ずれていたら、どの仮定がずれていたかを考える。それが、✕を◯に変えるということです。

次は自分で。「館山市にコンビニは何軒?」「日本の中学生は1日に何本のシャープペンの芯を使う?」。答えのない問題を、数学で考える。起業家たちがやってきたのも、この練習の延長です。

まなぶ君を使っていれば、自動的にこのやり方になる

夜、自分の部屋の机で、タブレットに出た✕の問題を見て悔しそうに歯を食いしばり、紙に線分図を描き直す館山中の制服の男子中学生。「✕の問題が先に来る」の文字。

ここまでのやり方は、まなぶ君に入っています。

やり方まなぶ君では
図を描いて考える・試す「絵描き算」「速さ」(公式を使わず線分図で解く)「表で解く」「素因数パズル」
式を立てる数学の一問一答には、答えではなく「どんな式を立てるか」を聞く問題がある
考え方をたどる解説は授業の板書と同じ形。1行に1ステップ、等号をそろえて、何をしたかを右に添える
✕を◯に変える✕だった問題が先に回ってくる。次に△
テスト範囲に合わせるテスト範囲に合わせて、数学の単元ごとの進み具合が並ぶ
難しい問題に挑む数検・全統中の過去問が解ける。✕だった問題から、同じ形の類題に進める。紙に解いた答案を撮れば採点もできる

紙とまなぶ君の使い分けは、紙(学校ワーク・整理と対策)は学校や自習室で、まなぶ君は家とすき間時間。どちらも「◯✕をつけて✕だけやる」は同じです。

数学は、まなぶ君で解くときも、図は紙に描いてください。「速さ」のページも、紙に線分図を描いて、写真で出す作りになっています。

保護者の方へ:点数より、考えているかを見る

夕方のリビングの食卓で、志学館中の制服の娘が図と途中式でいっぱいのノートを指さして説明し、母親が感心してほっとした顔で見ている。

中学の定期テストの点数や順位の上がり下がりは、それほど気にしなくて大丈夫です。

見てほしいのは、お子さんが自分の頭で考えて勉強しているかどうか。「やり方教えて」が口ぐせになっていないか。ワークやノートに、途中式や図が書いてあるか。そこを見てください。

考えている子は、後から伸びます。

塾生限定

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まとめ

  • 数学は高校で差がつく教科のナンバー1。中学の今が土台づくり
  • 数学で自分で考える力を身につけた人が、世界を動かす会社を作っている
  • 伸ばし方は5つ:中心の概念を1行で言う/図を描いて、式は最後/分からなければ数字を入れて試す/✕を◯に、途中式を上からたどる/難しい問題は後回しにしても捨てない
  • 入社試験で出るフェルミ推定も、この5つの組み合わせ。答えのない問題を、数を置いて筋道で考える
  • まなぶ君を使っていれば、自然にこのやり方になる。紙は学校と自習室、まなぶ君は家とすき間時間

この考え方を全部盛り込んだのが、まなぶ君です。

バッジは、今日までの結果。次は、自分で考えて取った100点を取りにいきましょう!

自分で考える数学を!

ランゲージ・ラボラトリー 小池

塾生限定

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この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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