6歳で海を渡った女の子。津田梅子と英語

津田梅子が、地球儀と海を背に、英語の本を開いて語りかけている

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

まなぶ君の英検のページで、英語の本を開いて語りかけている女性。津田梅子です。今の5000円札の顔、と言えばわかる人も多いと思います。

この人が英語を学びはじめたのは、6歳のときでした。

目次

6歳、ひとりでアメリカへ

大きな船のデッキで、小さな女の子の津田梅子が手すりにつかまり、海のかなたを目を輝かせて見つめている。「小さな 大航海」の文字。

1871年(明治4年)の冬。明治政府は、アメリカやヨーロッパのしくみを学ぶために、岩倉具視を中心とした大きな使節団を送り出します。その船に、5人の女の子が乗っていました。日本で初めての女子留学生です。

いちばん年下が、満6歳の梅子でした。

予想してみよう:アメリカまで、船で何日?

塾長 小池

飛行機なら半日。では、帆と蒸気で進む船だと?

答えを見る

答えは、横浜からサンフランシスコまで約3週間。そこからさらに大陸を横断して、首都ワシントンへ向かいました。

梅子はワシントンの近くに住むランマン夫妻の家にあずけられ、そこで11年暮らします。学校に通い、英語で考え、英語で友だちと笑う毎日でした。

帰ってきたら、日本語が出てこない

畳の部屋で、津田梅子が家族の女性と向かい合い、言葉が出てこなくて頭に手をやり、照れ笑いしている。「日本語が 出ない」の文字。

1882年、17歳で日本に帰ってきた梅子は、大きな問題にぶつかります。

日本語を、ほとんど忘れていたのです。家族と話すのにも苦労しました。

もう1つの問題は、仕事でした。アメリカで学んできたのに、当時の日本には、女性がその力を生かせる仕事がほとんどありませんでした。

塾長 小池

言葉は、使わないと忘れる。6歳からの11年でも忘れます。だから英語も、毎日少しずつ触れるのがいちばんです。

もう一度留学して、カエルの研究

大学の研究室で、津田梅子が顕微鏡をのぞき込み、目を輝かせている。机にはカエルの卵の入ったガラス皿が並ぶ。「カエルの卵に 夢中」の文字。

梅子はあきらめませんでした。24歳でもう一度アメリカへわたり、ブリンマー大学で生物学を学びます。

研究したのは、カエルの卵の育ち方。先生といっしょに書いた論文は、イギリスの学術雑誌にのりました。のちにノーベル賞をとるトーマス・モーガンが、そのときの先生です。

大学からは、残って研究を続けないかと誘われます。それでも梅子は日本に帰ることを選びました。日本の女性が学べる場所をつくるためです。

35歳で、学校をつくる

1900年、梅子は東京に女子英学塾を開きます。今の津田塾大学です。生徒はたった10人からのスタートでした。

めざしたのは、英語を「覚える」だけの学校ではなく、英語を使って自分の考えを持ち、社会で働ける女性を育てる学校でした。

自分で選んだ道ではなかった

6歳の梅子が海を渡ったのは、自分で選んだからではありません。明治政府(北海道開拓使)が女子留学生を募集し、父の津田仙が応募しました。英語は、国に求められて学んだものでした。

日本語を忘れ、帰ってきても仕事がない。それでも梅子は、与えられた場所で学び切りました。その先で見つけたのが、女性が学べる学校をつくるという、梅子にしかできない仕事です。

塾長 小池

「好きなことを見つけなさい」と言われても、困る人は多いと思います。梅子も最初から好きを持っていたわけではありません。求められたことをやり切った先で、自分の仕事を見つけました。

やってみよう:5000円札と、英語で3文

学校の図書室で、女子中学生がノートに英語を書いていて、その横で津田梅子がにこにこ励ましている。「今日の自分を 英語で3文」の文字。

今日できることを2つ。

  1. おうちの人に5000円札を見せてもらう。梅子の顔と、裏の絵を見てみる
  2. 梅子のように、今日の自分のことを英語で3文書いてみる

たとえば
I got up at six.(6時に起きた)
I studied English for 30 minutes.(英語を30分勉強した)
I want to go to America.(アメリカに行きたい)

塾長 小池

3文でいいんです。英検のライティングも面接も、自分のことを英語で言えるところから始まります。

もっと深く:コテンラジオで聞く

夕方、車の後部座席で館山中の制服を着た中学生がイヤホンで歴史のポッドキャストを聞き、頭の上に鎧の武士や着物の女性、城の場面が浮かんで、目を輝かせている挿絵

コテンラジオ(COTEN RADIO)は、歴史が大好きな深井龍之介ふかいりゅうのすけさん・ヤンヤンさんと、歴史が苦手な樋口さんの3人が、1人の人物を何回にも分けてじっくり語る歴史のポッドキャストです。教科書では1行で終わる出来事の裏にある、人間くさい話が聞けます。

津田梅子のシリーズは、コテンラジオにはまだありません。代わりに勧めるのは「ヘレン・ケラーとアン・サリヴァン編」(全8回)です。見えない・聞こえない・話せない少女ヘレンと、家庭教師のサリヴァン先生の物語で、梅子が学んだのと同じ時代のアメリカが舞台です。言葉を1つ手に入れるたびに世界が広がっていく話なので、この記事の「英語は言葉を手に入れる一歩」とそのままつながります。わがままだった少女が、5回目の「コミュ力MAX!」までにどう変わるのか。教える人と学ぶ人のぶつかり合いが聞けます。

まずは1回目だけ聞いてみてください。おもしろければ、次の回が勝手に聞きたくなります。

聞くなら Voicy(アプリでもブラウザでも聞けます)がおすすめです。YouTube のように次のおすすめ動画が画面に出てこないので、気が散らずに話だけを追えます。ほかのアプリで聞くなら、Apple Podcasts/Spotifyでも聞けます。

音だけなので、通学の車の中や、寝る前の時間にそのまま聞けます。画面を見なくていいのが、ラジオのいいところです。

英検も、言葉を手に入れる一歩

梅子が英語を学んだのは、試験のためではありませんでした。英語で学び、英語で考え、その力で新しい場所をつくるためでした。

英検の単語1つ、1文の聞き取り1つも同じです。手に入れた言葉の数だけ、行ける場所が増えます。

6歳の梅子は、海の向こうへひとりで出かけました。皆さんが出かける先は、まず今日の1問です。

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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