「天は人の上に…」の続き、知ってる? 福沢諭吉と学問のすゝめ

福沢諭吉が、机に積んだ本とランプのそばで本を読んでいる

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

まなぶ君の宿題のページで、ランプのそばで本を読んでいる人。福沢諭吉です。少し前まで1万円札の顔でした。

この人の本『学問のすゝめ』の最初の一文は、たぶん聞いたことがあると思います。

学問のすゝめ(初編)の書き出し
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云えり。

「人はみんな平等」という意味で覚えている人が多いはずです。でも実は、この文には続きがあります。そして福沢が本当に言いたかったのは、続きのほうでした。

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有名な一文には、続きがある

本の並んだ書斎で、福沢諭吉が開いた本の右半分を紙でそっと隠し、いたずらっぽく笑って人差し指を口にあてている。「その先に 何が?」の文字。

よく見ると、文の終わりが「と云えり」になっています。「と言われている」という意味です。つまり「人はみな平等だと、言われている」。

そのあと福沢は、こう続けます。「それなのに、世の中を見ると、かしこい人とおろかな人、豊かな人と貧しい人がいる。このちがいはどこから来るのか」。

予想してみよう:福沢の答えは?

塾長 小池

生まれた家? 運? 頭のよさ? 福沢の答えは、もっとシンプルです。

答えを見る

答えは、まなぶ君のバナーに書いてある言葉です。本の中では、こう書かれています。

学問のすゝめ(初編)
されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり。

かしこい人とおろかな人のちがいは、学んだか、学ばなかったかで決まる。生まれではなく、学ぶかどうか。これが本の中心です。

「門閥制度は親のかたき」

福沢は1835年、大坂(今の大阪)で、中津藩(今の大分県)の身分の低い武士の家に生まれました。

当時は、家の身分で一生が決まる時代です。学問が好きだった父親も、身分のせいで才能を生かせないまま亡くなりました。福沢はのちに自伝で「門閥制度は親のかたきでござる」と書いています。

生まれで決まる世の中は、おかしい。学べば変われる。『学問のすゝめ』は、その怒りと希望から生まれた本でした。

枕を使ったことがない

夜明けの座敷で、福沢諭吉が積んだ本の上につっぷして気持ちよさそうに眠っている。ろうそくは燃えつき、部屋のすみには使われていない枕。「机で ねむる毎日」の文字。

20歳のころ、福沢は大坂の緒方洪庵の塾(適塾)でオランダ語を学びます。

このころの勉強ぶりがすごい。自伝によると、夜はいつも机で本を読みながら眠ってしまうので、枕を使って寝たことがなかったそうです。ある日、病気で寝ようとして、はじめて枕がないことに気づいたといいます。

塾長 小池

まねしなくていいです。寝るときは布団で寝てください。ただ、それくらい面白かったんだと思います。

横浜で、オランダ語が通じない

開港したばかりの港町の通りで、福沢諭吉が分厚い本を胸にかかえ、まわりの外国風の看板を見上げて口をぽかんと開けている。「読めない! 通じない!」の文字。

1859年、横浜が外国に開かれたと聞いて、福沢は見物に行きます。オランダ語には自信がありました。

ところが、看板も話し言葉もまったく読めない。使われていたのは英語でした。何年もかけたオランダ語が、世界ではもう主役ではなかったのです。

福沢は落ちこんだあと、すぐに英語を一から学びはじめます。翌年には咸臨丸でアメリカへわたりました。

塾長 小池

何年もやったことが役に立たないとわかったら、次の日から切りかえる。ここが福沢のいちばんすごいところだと思います。

好きだから、ではなかった

福沢は、英語が好きだったから選んだのではありません。これからの日本に必要なのが英語だったから、選びました。自分の好みより、世の中が求めていることを取ったのです。

そして英語で西洋の本を読みこんだ先で、自分の塾を慶應義塾と名づけて育て、『学問のすゝめ』を書きます。福沢の一生の仕事は、求められたことをやり切った、その先にありました。

塾長 小池

「好きなことをやれ」とよく言われます。でも、好きなことはまだ無くていい。今求められていること、目の前の勉強をやり切る。本当の好きは、その中で見つかります。

やってみよう:宿題で「学んだ」ことを1つ書く

学校の教室で、男子中学生がノートの間違えた問題を解き直し、その隣で福沢諭吉がノートの大きな丸を指してうなずいている。「まちがいを もう一度!」の文字。

福沢のいう「学ぶ」は、ページを埋めることではありません。できなかったことが、できるようになることです。

  1. 今日の宿題で、まちがえた問題を1つ選ぶ
  2. 解説を読んで、なぜまちがえたかを1行で書く
  3. 何も見ないで、もう一度解く。できたら、それが今日「学んだ」こと

たとえば
まちがえた:3a−(a−2)=2a−2
なぜ:かっこの前がマイナスなのに、−2の符号を変えなかった
もう一度:3a−a+2=2a+2 ◯

もっと深く:コテンラジオで聞く

夕方、車の後部座席で館山中の制服を着た中学生がイヤホンで歴史のポッドキャストを聞き、頭の上に鎧の武士や着物の女性、城の場面が浮かんで、目を輝かせている挿絵

コテンラジオ(COTEN RADIO)は、歴史が大好きな深井龍之介ふかいりゅうのすけさん・ヤンヤンさんと、歴史が苦手な樋口さんの3人が、1人の人物を何回にも分けてじっくり語る歴史のポッドキャストです。教科書では1行で終わる出来事の裏にある、人間くさい話が聞けます。

福沢諭吉のシリーズは、コテンラジオにはまだありません。代わりに「教育の歴史編」(全13回)を勧めます。1回目の副題は「人間は何のために学ぶのか?」。『学問のすゝめ』が問いかけたことと、そのまま重なります。8回目で日本の教育の移り変わり、最後の13回目で今の学校のしくみ(近代の公教育)ができるまでが語られます。福沢が生きた時代の話です。古代ギリシャのソクラテスから始まり、ヨーロッパ・中国・イスラームと、世界の人が何のために学んできたかを旅するシリーズです。宿題をやる理由を、2000年分の歴史から考えられます。

まずは1回目だけ聞いてみてください。おもしろければ、次の回が勝手に聞きたくなります。

聞くなら Voicy(アプリでもブラウザでも聞けます)がおすすめです。YouTube のように次のおすすめ動画が画面に出てこないので、気が散らずに話だけを追えます。ほかのアプリで聞くなら、Apple Podcasts/Spotifyでも聞けます。

音だけなので、通学の車の中や、寝る前の時間にそのまま聞けます。画面を見なくていいのが、ラジオのいいところです。

宿題は、学ぶか学ばないかの分かれ道

『学問のすゝめ』は、当時およそ340万部売れたといわれます。日本の人口が3500万人ほどの時代です。多くの人が「学べば変われる」という言葉に希望を見ました。

宿題は、毎日やってくる小さな「学ぶか、学ばないか」です。まちがえた1問を、できる1問に変える。それを積んだ人と積まなかった人の差が、福沢のいう「賢人と愚人との別」です。

生まれは選べない。でも、学ぶかどうかは選べます。

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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