中学生の国語の勉強法:語彙力と、筆者の主張をつかむ読み方

家の机で、国語の文章にえんぴつで印を付けながら読み、何かに気づいてはっとする館山中の制服の女子中学生。「国語は読み方で決まる」の文字。

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ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

「国語って、何を勉強すればいいか分からない」。中学生から一番よく聞く声です。英語や数学と違って、覚えることがはっきりしないからです。

そもそも国語は、相手が何を言いたいかを正しくつかむ科目です。

先生の説明を聞く。友だちのLINEを読む。大人になれば、上司の指示を聞き、お客さんの話を聞き、契約書を読む。どれも「相手は結局、何が言いたいのか」をつかむ力です。

国語は、テストのためだけの教科ではありません。人生でめちゃくちゃ役に立つ教科です。

でも、国語の力は2本でできています。語彙力と、論理的な読解力。この2本を鍛えれば、国語は勉強した分だけ点が上がる教科になります。

このページについて
  • 読んでほしい人:中学生(とくに長文読解で点が取れない人)と保護者の方
  • 分かること:国語の勉強で鍛えるべき2つの力/「音として読む」のをやめる/問題を解くときの大前提2つ/筆者の主張のつかみ方(例文つき)/おすすめの参考書3冊

なぜ国語がすべての教科の土台になるのかは、こちらに書きました。

目次

国語の力は「語彙力」と「論理的な読解力」の2本

国語の力を屋根にした2本の柱の手描き図解。左の柱は「語彙力(言葉を知っている)」、右の青い柱は「論理的な読解力(筆者の主張をつかむ)」。見出しは「国語の力は、2本の柱でできている」。

1本目は語彙力。文章に出てくる言葉の意味が分からなければ、どんなに読み方を工夫しても読めません。

2本目は論理的な読解力。小池の言う読解力とは、筆者の主張をつかむ力のことです。説明文・論説文は、筆者が「自分はこう考える」と言うために書いた文章です。テストの設問も、ほとんどが「筆者は結局何が言いたいのか」を、形を変えて聞いています。

この記事では、まず「音として読んでいるだけ」になっていないかを確かめます。次に問題を解くときの大前提を2つ。そのあと、筆者の主張をつかむ読み方を例文で説明します。最後に語彙力の鍛え方と、おすすめの参考書です。

この記事で使う例文

小池が書いた短い文章です。①〜⑤は段落の番号です。

例文

① 道に迷わないことは、よいことだと考えられている。地図アプリを使えば、初めての町でも目的地まで最短で着ける。時間もむだにならない。

② しかし、迷わないことで失っているものがある。それは、自分の頭で町の形をつかむ力だ。

③ たとえば、駅から学校まで毎日アプリの矢印どおりに歩いている人は、一本となりの道に何があるかを知らない。彼らは移動しているのではなく、運ばれているのだ。

④ 迷った人は違う。曲がる角をまちがえ、引き返し、知らない店の前を通る。そうしているうちに、町全体の地図が頭の中にできあがっていく。

⑤ つまり、迷うことは遠回りではない。自分の中に地図をつくるための、いちばんの近道なのである。

文章を「音」として読んでいるだけになっていないか

家の食卓で国語の文章を読み終えたところで「どんな話だった?」と聞かれ、何も出てこずに目が点になって固まる館山中の制服の男子中学生。頭の上には空っぽの白い吹き出し。「どんな話 だった?」の文字。

国語ができない人の多くは、文章の意味を理解せずに、ただ音として読んでいるだけです。目は字を追っている。頭の中で声も出ている。でも、意味が頭に入っていない。

だから、読み終わったあとに「どんな話だった?」と聞かれても、説明できません。1週間後に「先週読んだあの話って、どんな話だったっけ?」と聞かれても、説明できない。これは、理解していない証拠です。

理解できていない状態で何本読んでも、自分の知識にも知恵にもなりません。国語の問題を解く時間が、ただの作業になってしまいます。

読み終わったら「どんな話だった?」と自分に聞く

確かめ方はかんたんです。読み終わったら、本文を見ずに、どんな話だったかを1〜2文で言ってみます。

上の例文なら、こうです。

地図アプリどおりに歩くと、町のことが頭に残らない。迷ったほうが、自分の中に町の地図ができる。だから迷うのは無駄じゃない、という話。

これが言えれば、理解して読めています。言えなければ、音として読んでいただけです。もう一度、段落ごとに「何を言っているのか」を確かめながら読み直します。そのやり方を、ここから順に説明します。

問題を解くときの大前提2つ

学校の図書室の机で、国語の問題の本文を指でたどりながら読み、傍線部の少し先に答えを見つけてはっと目を見開く館山中の制服の女子中学生。「答えは 2〜3行先に」の文字。

大前提1:本文を読みながら解く。設問に出会ったら2〜3行先まで読む

点が取れない人に多いのが、2つの極端です。

  • 本文を最後まで一気に読んでから、設問に戻る(読んでいるうちに前の内容を忘れる)
  • 設問を先に読んで、本文から「それっぽい言葉」を探して埋める(本文を読んでいない)

どちらもダメです。本文を頭から読みながら、設問に出会ったところで解く。これが基本です。

とくに2つ目。本文を読まずに問題だけ解こうとするのは、国語の本質を見失っています。国語は、筆者が何を言いたいかをつかむ科目です。本文を読まずに答えを探すのは、相手の話を聞かずに返事だけするのと同じ。たまたま点が取れても、読む力は何もつきません。

ただし、傍線部に出会った瞬間に解き始めてはいけません。設問に出会ったら、その2〜3行先までは読んでから解く。答えの手がかりは、傍線部のすぐ後ろに書いてあることが多いからです。

例:傍線部のすぐ後ろに答えがある

例文の②に、こんな設問がついていたとします。

問 傍線部「迷わないことで失っているもの」とは何か。

傍線部だけを見て考え込むと、「時間?」「楽しさ?」と想像で答えを作ってしまいます。でも、1行先を読むとこう書いてあります。

それは、自分の頭で町の形をつかむ力だ。

答えは「自分の頭で町の形をつかむ力」。本文が答えを教えてくれています。国語の答えは、自分の頭の中ではなく本文の中にあります。

大前提2:分かりにくい言葉は、自分の言葉に置き換えながら読む

夜の自分の部屋の机で、国語の教科書の難しい一文の横に、えんぴつで自分の言葉を書き込むことに夢中になっている館山中の制服の男子中学生。「つまり、 こういうこと」の文字。

文章には、そのままだと意味が入ってこない言い方がよく出てきます。そこで止まらずに、分かりやすい自分の言葉に置き換えてから先に進みます。

例:「移動しているのではなく、運ばれている」

例文の③にこうあります。

彼らは移動しているのではなく、運ばれているのだ。

人は歩いているのに「運ばれている」。言葉どおりに読むと、意味が分かりません。自分の言葉に置き換えてみます。

本文の言葉自分の言葉に置き換えると
移動している自分で道を選んで歩いている
運ばれているアプリの矢印に、言われるままに連れていかれている

こう置き換えると、「自分では何も考えずに歩いている」という意味だと分かります。②の「自分の頭で町の形をつかむ力」がない、という話とつながりました。

置き換えたら、本文に書き込んでおきます。記述問題で「どういうことか説明しなさい」と聞かれたときは、この置き換えがそのまま答えの材料になります。

筆者の主張は「抽象」の中にある

抽象と具体の手描き図解。上の青い箱が「抽象(まとめた言い方=筆者の主張)」、その下に「具体」の箱が3つ(例・エピソード・データ)ぶら下がっている。見出しは「筆者の主張は、抽象の中にある」。

ここから、筆者の主張のつかみ方です。

文章は、抽象と具体でできています。

  • 抽象:まとめた言い方。「迷うことは、自分の中に地図をつくる近道だ」
  • 具体:例・エピソード・データ。「曲がる角をまちがえ、引き返し、知らない店の前を通る」

筆者の主張は、抽象の中にあります。 具体は、主張を分かってもらうための材料です。

例文を抽象と具体に分けると、こうなります。

段落抽象か具体か中身
②抽象迷わないと、自分の頭で町の形をつかむ力を失う
③具体アプリどおりに歩く人は、となりの道を知らない
④具体迷った人の頭には、町の地図ができる
⑤抽象迷うことは、自分の中に地図をつくる近道だ

③と④は、読んでいて一番イメージしやすい段落です。でも、そこに主張は書いてありません。主張は②と⑤にあります。

もう1つ大事なのは、主張は言い方を変えて何度も出てくることです。②と⑤は、同じことを別の言葉で言っています。筆者は一番言いたいことを何度も書く。だから、似たことを言っている抽象の文を見つけたら、それが主張です。

「具体例の部分を答えなさい」「筆者の考えを書きなさい」という設問は、抽象と具体を分けられているかを試しています。

一般論と筆者の意見を分ける

一般論と筆者の意見の対比の手描き図解。左の「一般論(多くの人はこう考える)」から、オレンジの「しかし」の矢印が、右の青い「筆者の意見(でも、筆者はこう考える)」へ向かう。見出しは「筆者の意見は「しかし」の後ろ」。

筆者の主張は、対比で語られることが多いです。とくに多いのが、一般論(世の中でふつうに言われていること)を先に出して、それに「しかし」と自分の意見をぶつける形です。

例文で言うと、こうです。

段落中身
一般論①道に迷わないことは、よいことだ
筆者の意見②⑤迷うことこそ、自分の中に地図をつくる近道だ

①を読んで「迷わないのはいいことだ」と思った人は、そこで筆者の主張を取りちがえます。①は筆者の意見ではなく、筆者がこれからひっくり返すための一般論です。

一般論と筆者の意見を見分けるには、合図になる言葉に印をつけながら読みます。

何の合図か言葉
一般論〜と考えられている/〜と言われる/多くの人は/ふつうは/確かに
筆者の意見しかし/だが/ところが/つまり/〜のではないか/〜なのである
具体たとえば/実際に/〜の場合

とくに「確かに〜。しかし〜」の形は、テストの文章に必ずと言っていいほど出てきます。「確かに」の後ろは一般論、「しかし」の後ろが筆者の意見です。

段落ごとに「この段落は何のためにあるのか」をまとめる

放課後の教室の席で、本文の段落の横に一言ずつメモを書き込んだプリントを見て、流れがつかめて得意げに笑う館山中の制服の女子中学生。「段落ごとに 一言メモ」の文字。

ここまでの読み方を、段落ごとにやります。1つの段落を読み終えたら、「結局この段落は何のために、何を言っているのか」を短くまとめて、本文の横にメモします。

例文なら、こうなります。

段落この段落は何のため?一言で
①一般論を出す迷わないのはいいこと、と言われている
②筆者の主張を出すでも迷わないと、町をつかむ力を失う
③主張の具体例アプリどおりの人は、となりの道を知らない
④③と対比する具体例迷った人の頭には地図ができる
⑤主張をくり返してまとめる迷うことは近道

メモを縦に読むと、文章全体の流れが見えます。「一般論 → 反論として主張 → 例 → 対比の例 → 主張のまとめ」。テストに出る説明文の多くは、この形のどれかです。そして、このメモをつなげたものが、そのまま「どんな話だった?」の答えになります。1週間たっても説明できるのは、こうやって中身をつかんで読んだ文章です。

このメモがあると、

  • 「筆者の主張をまとめなさい」→ ②と⑤をつなげれば書ける
  • 「③段落の役割は何か」→ メモにそのまま書いてある
  • 「本文の内容に合うものを選びなさい」→ 選択肢が一般論側の話か、筆者の意見側の話かで切れる

という具合に、設問のほとんどに答えられます。

最初は時間がかかります。でも、段落ごとに「何のため?」を考える習慣がつくと、メモを書かなくても頭の中で整理しながら読めるようになります。

語彙力の鍛え方:知らない言葉を、その場で自分のものにする

電車の座席で、知らない言葉にむっと眉を寄せながらスマホの辞書アプリで調べ、小さなノートに意味を書き込む館山中の制服の男子中学生。「知らない言葉は その日のうちに」の文字。

読み方をいくら身につけても、言葉を知らなければ読めません。語彙力は、量を積むしかない力です。

分からない言葉に印をつけて、その日のうちに調べる

文章を読んでいて分からない言葉があったら、印をつけておきます。読み終わったら調べて、意味を自分の言葉で書き直す。大前提2の「置き換え」と同じです。辞書の説明を丸写ししても、覚えません。

漢字は意味でつかむ

漢字は、形だけ覚えると忘れます。1文字ずつの意味をつかむと、知らない熟語の意味も推測できるようになります。漢字の覚え方は、こちらに書きました。

まなぶ君の国語の一問一答で、教科書の語句を覚える

教科書に出てくる語句は、まなぶ君の国語の一問一答で練習できます。定期テストの範囲に合わせて出てくるので、テスト前にそのまま使えます。

おすすめの参考書3冊

休日のリビングの低いテーブルで、国語の参考書を開き、本文に丸や線の印を付けながらワクワクと読み進める館山中の制服の女子中学生。「印を付けて 読み通す」の文字。

この記事の読み方を、自分で1冊やり通して身につけたい人におすすめの参考書です。

説明文の読み方:『合格する国語の授業 説明文・論説文入門編』

中学受験専門塾ジーニアスの松本亘正先生の本です(実務教育出版)。中学受験向けですが、中学生が読み方の基本を入れるのにちょうどいい1冊です。

この記事で説明した「対比(しかし)」「確かに〜しかし」「つまり」「主張と具体例」を、1章に1つずつ練習します。いいところは、どの言葉に何の印を付けるかまで決まっていることです。本文に印を付けながら読むので、音として読むだけにはなりません。

物語文の読み方:『合格する国語の授業 物語文入門編』

同じシリーズの物語文編です。物語文で読むのは、筆者の主張ではなく、登場人物の気持ちの変化です。マイナスの気持ちが、何かのきっかけでプラスに変わる。その「変化の前・きっかけ・変化の後」をつかむ手順が書いてあります。説明文編とセットで使うと、国語の文章の2種類がそろいます。

もう一段上へ:柳生好之『ゼロから覚醒 はじめよう現代文』

スタディサプリの現代文の講師、柳生好之先生の本です(かんき出版)。大学入試の現代文の超入門書で、中3から高校生向けです。

センスや感覚ではなく、文の形(主語・述語・つなぎの言葉)を手がかりに、誰が読んでも同じ答えになる読み方を教えてくれます。例題 → 実践問題 → ポイントのくり返しで、最後まで読み通せる作りです。ジーニアスの2冊を終えた人、高校の現代文に備えたい人に。

まとめ

この記事のポイント5つを並べた手描き図解。1「読んだら『どんな話?』と自分に聞く」、2「読みながら解く・2〜3行先まで読む」、3「自分の言葉に置き換える」、4「主張は抽象と『しかし』の後ろ」(青)、5「段落ごとに『何のため?』をメモ」。見出しは「国語は、読み方で点が上がる」。
  • 国語の力は、語彙力と論理的な読解力の2本
  • 読み終わったら「どんな話だった?」と自分に聞く。言えなければ音として読んでいただけ
  • 本文を読みながら解く。設問に出会ったら2〜3行先まで読む
  • 分かりにくい言葉は、自分の言葉に置き換えて書き込む
  • 筆者の主張は抽象の中にある。一般論と「しかし」の後ろの意見を分ける
  • 段落ごとに「何のため?」を一言でメモする

国語は、センスの教科ではありません。読み方を知っているかどうかです。

ランゲージ・ラボラトリー 小池

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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