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ランゲージ・ラボラトリーの小池です。
「国語って、何を勉強すればいいか分からない」。中学生から一番よく聞く声です。英語や数学と違って、覚えることがはっきりしないからです。
そもそも国語は、相手が何を言いたいかを正しくつかむ科目です。
先生の説明を聞く。友だちのLINEを読む。大人になれば、上司の指示を聞き、お客さんの話を聞き、契約書を読む。どれも「相手は結局、何が言いたいのか」をつかむ力です。
国語は、テストのためだけの教科ではありません。人生でめちゃくちゃ役に立つ教科です。
でも、国語の力は2本でできています。語彙力と、論理的な読解力。この2本を鍛えれば、国語は勉強した分だけ点が上がる教科になります。
なぜ国語がすべての教科の土台になるのかは、こちらに書きました。




1本目は語彙力。文章に出てくる言葉の意味が分からなければ、どんなに読み方を工夫しても読めません。
2本目は論理的な読解力。小池の言う読解力とは、筆者の主張をつかむ力のことです。説明文・論説文は、筆者が「自分はこう考える」と言うために書いた文章です。テストの設問も、ほとんどが「筆者は結局何が言いたいのか」を、形を変えて聞いています。
この記事では、まず「音として読んでいるだけ」になっていないかを確かめます。次に問題を解くときの大前提を2つ。そのあと、筆者の主張をつかむ読み方を例文で説明します。最後に語彙力の鍛え方と、おすすめの参考書です。
小池が書いた短い文章です。①〜⑤は段落の番号です。
① 道に迷わないことは、よいことだと考えられている。地図アプリを使えば、初めての町でも目的地まで最短で着ける。時間もむだにならない。
② しかし、迷わないことで失っているものがある。それは、自分の頭で町の形をつかむ力だ。
③ たとえば、駅から学校まで毎日アプリの矢印どおりに歩いている人は、一本となりの道に何があるかを知らない。彼らは移動しているのではなく、運ばれているのだ。
④ 迷った人は違う。曲がる角をまちがえ、引き返し、知らない店の前を通る。そうしているうちに、町全体の地図が頭の中にできあがっていく。
⑤ つまり、迷うことは遠回りではない。自分の中に地図をつくるための、いちばんの近道なのである。


国語ができない人の多くは、文章の意味を理解せずに、ただ音として読んでいるだけです。目は字を追っている。頭の中で声も出ている。でも、意味が頭に入っていない。
だから、読み終わったあとに「どんな話だった?」と聞かれても、説明できません。1週間後に「先週読んだあの話って、どんな話だったっけ?」と聞かれても、説明できない。これは、理解していない証拠です。
理解できていない状態で何本読んでも、自分の知識にも知恵にもなりません。国語の問題を解く時間が、ただの作業になってしまいます。
確かめ方はかんたんです。読み終わったら、本文を見ずに、どんな話だったかを1〜2文で言ってみます。
上の例文なら、こうです。
地図アプリどおりに歩くと、町のことが頭に残らない。迷ったほうが、自分の中に町の地図ができる。だから迷うのは無駄じゃない、という話。
これが言えれば、理解して読めています。言えなければ、音として読んでいただけです。もう一度、段落ごとに「何を言っているのか」を確かめながら読み直します。そのやり方を、ここから順に説明します。


点が取れない人に多いのが、2つの極端です。
どちらもダメです。本文を頭から読みながら、設問に出会ったところで解く。これが基本です。
とくに2つ目。本文を読まずに問題だけ解こうとするのは、国語の本質を見失っています。国語は、筆者が何を言いたいかをつかむ科目です。本文を読まずに答えを探すのは、相手の話を聞かずに返事だけするのと同じ。たまたま点が取れても、読む力は何もつきません。
ただし、傍線部に出会った瞬間に解き始めてはいけません。設問に出会ったら、その2〜3行先までは読んでから解く。答えの手がかりは、傍線部のすぐ後ろに書いてあることが多いからです。
例:傍線部のすぐ後ろに答えがある
例文の②に、こんな設問がついていたとします。
問 傍線部「迷わないことで失っているもの」とは何か。
傍線部だけを見て考え込むと、「時間?」「楽しさ?」と想像で答えを作ってしまいます。でも、1行先を読むとこう書いてあります。
それは、自分の頭で町の形をつかむ力だ。
答えは「自分の頭で町の形をつかむ力」。本文が答えを教えてくれています。国語の答えは、自分の頭の中ではなく本文の中にあります。


文章には、そのままだと意味が入ってこない言い方がよく出てきます。そこで止まらずに、分かりやすい自分の言葉に置き換えてから先に進みます。
例:「移動しているのではなく、運ばれている」
例文の③にこうあります。
彼らは移動しているのではなく、運ばれているのだ。
人は歩いているのに「運ばれている」。言葉どおりに読むと、意味が分かりません。自分の言葉に置き換えてみます。
| 本文の言葉 | 自分の言葉に置き換えると |
|---|---|
| 移動している | 自分で道を選んで歩いている |
| 運ばれている | アプリの矢印に、言われるままに連れていかれている |
こう置き換えると、「自分では何も考えずに歩いている」という意味だと分かります。②の「自分の頭で町の形をつかむ力」がない、という話とつながりました。
置き換えたら、本文に書き込んでおきます。記述問題で「どういうことか説明しなさい」と聞かれたときは、この置き換えがそのまま答えの材料になります。


ここから、筆者の主張のつかみ方です。
文章は、抽象と具体でできています。
筆者の主張は、抽象の中にあります。 具体は、主張を分かってもらうための材料です。
例文を抽象と具体に分けると、こうなります。
| 段落 | 抽象か具体か | 中身 |
|---|---|---|
| ② | 抽象 | 迷わないと、自分の頭で町の形をつかむ力を失う |
| ③ | 具体 | アプリどおりに歩く人は、となりの道を知らない |
| ④ | 具体 | 迷った人の頭には、町の地図ができる |
| ⑤ | 抽象 | 迷うことは、自分の中に地図をつくる近道だ |
③と④は、読んでいて一番イメージしやすい段落です。でも、そこに主張は書いてありません。主張は②と⑤にあります。
もう1つ大事なのは、主張は言い方を変えて何度も出てくることです。②と⑤は、同じことを別の言葉で言っています。筆者は一番言いたいことを何度も書く。だから、似たことを言っている抽象の文を見つけたら、それが主張です。
「具体例の部分を答えなさい」「筆者の考えを書きなさい」という設問は、抽象と具体を分けられているかを試しています。


筆者の主張は、対比で語られることが多いです。とくに多いのが、一般論(世の中でふつうに言われていること)を先に出して、それに「しかし」と自分の意見をぶつける形です。
例文で言うと、こうです。
| 段落 | 中身 | |
|---|---|---|
| 一般論 | ① | 道に迷わないことは、よいことだ |
| 筆者の意見 | ②⑤ | 迷うことこそ、自分の中に地図をつくる近道だ |
①を読んで「迷わないのはいいことだ」と思った人は、そこで筆者の主張を取りちがえます。①は筆者の意見ではなく、筆者がこれからひっくり返すための一般論です。
一般論と筆者の意見を見分けるには、合図になる言葉に印をつけながら読みます。
| 何の合図か | 言葉 |
|---|---|
| 一般論 | 〜と考えられている/〜と言われる/多くの人は/ふつうは/確かに |
| 筆者の意見 | しかし/だが/ところが/つまり/〜のではないか/〜なのである |
| 具体 | たとえば/実際に/〜の場合 |
とくに「確かに〜。しかし〜」の形は、テストの文章に必ずと言っていいほど出てきます。「確かに」の後ろは一般論、「しかし」の後ろが筆者の意見です。


ここまでの読み方を、段落ごとにやります。1つの段落を読み終えたら、「結局この段落は何のために、何を言っているのか」を短くまとめて、本文の横にメモします。
例文なら、こうなります。
| 段落 | この段落は何のため? | 一言で |
|---|---|---|
| ① | 一般論を出す | 迷わないのはいいこと、と言われている |
| ② | 筆者の主張を出す | でも迷わないと、町をつかむ力を失う |
| ③ | 主張の具体例 | アプリどおりの人は、となりの道を知らない |
| ④ | ③と対比する具体例 | 迷った人の頭には地図ができる |
| ⑤ | 主張をくり返してまとめる | 迷うことは近道 |
メモを縦に読むと、文章全体の流れが見えます。「一般論 → 反論として主張 → 例 → 対比の例 → 主張のまとめ」。テストに出る説明文の多くは、この形のどれかです。そして、このメモをつなげたものが、そのまま「どんな話だった?」の答えになります。1週間たっても説明できるのは、こうやって中身をつかんで読んだ文章です。
このメモがあると、
という具合に、設問のほとんどに答えられます。
最初は時間がかかります。でも、段落ごとに「何のため?」を考える習慣がつくと、メモを書かなくても頭の中で整理しながら読めるようになります。


読み方をいくら身につけても、言葉を知らなければ読めません。語彙力は、量を積むしかない力です。
文章を読んでいて分からない言葉があったら、印をつけておきます。読み終わったら調べて、意味を自分の言葉で書き直す。大前提2の「置き換え」と同じです。辞書の説明を丸写ししても、覚えません。
漢字は、形だけ覚えると忘れます。1文字ずつの意味をつかむと、知らない熟語の意味も推測できるようになります。漢字の覚え方は、こちらに書きました。


教科書に出てくる語句は、まなぶ君の国語の一問一答で練習できます。定期テストの範囲に合わせて出てくるので、テスト前にそのまま使えます。


この記事の読み方を、自分で1冊やり通して身につけたい人におすすめの参考書です。
中学受験専門塾ジーニアスの松本亘正先生の本です(実務教育出版)。中学受験向けですが、中学生が読み方の基本を入れるのにちょうどいい1冊です。
この記事で説明した「対比(しかし)」「確かに〜しかし」「つまり」「主張と具体例」を、1章に1つずつ練習します。いいところは、どの言葉に何の印を付けるかまで決まっていることです。本文に印を付けながら読むので、音として読むだけにはなりません。
同じシリーズの物語文編です。物語文で読むのは、筆者の主張ではなく、登場人物の気持ちの変化です。マイナスの気持ちが、何かのきっかけでプラスに変わる。その「変化の前・きっかけ・変化の後」をつかむ手順が書いてあります。説明文編とセットで使うと、国語の文章の2種類がそろいます。
スタディサプリの現代文の講師、柳生好之先生の本です(かんき出版)。大学入試の現代文の超入門書で、中3から高校生向けです。
センスや感覚ではなく、文の形(主語・述語・つなぎの言葉)を手がかりに、誰が読んでも同じ答えになる読み方を教えてくれます。例題 → 実践問題 → ポイントのくり返しで、最後まで読み通せる作りです。ジーニアスの2冊を終えた人、高校の現代文に備えたい人に。




国語は、センスの教科ではありません。読み方を知っているかどうかです。
ランゲージ・ラボラトリー 小池





ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて