法学部ってどんな学部?学ぶこと・向いている人・卒業後の進路と、偏差値の段ごとの大学

大学の図書館で、分厚い法律の本を開いて付箋を貼りながら、夢中で読み込む女子大学生。「卒業生の8割以上は就職」「法学部って どんな学部?」「公務員が多いのが特徴」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

法学部は、文系の学部の中でいちばん「何をするところか」が分かりやすそうに見えて、実はいちばん思い込みで選ばれている学部です。テレビの法律番組、弁護士が活躍するドラマ。でも法学部の毎日は、条文と判例はんれいを細かく読む、地味な勉強です。そして卒業生のほとんどは、法律家ではなく会社員か公務員になります。

学部の選び方の全体は学部はどう選ぶ?に書きました。文系は、学部で就職先がほとんど決まらない、という話です。この記事はその続きです。法学部に絞って、何を学び、どんな人が向いていて、出てどこへ行くのかを、公式の数字で書きます。

3行で法学部

学ぶのは、法律の条文と判例。 憲法・民法・刑法などを、細かく正確に読んで、目の前の事件に当てはめる練習を4年間続けます。

卒業生のほとんどは、法律家にならない。 全国の法学・政治学の卒業生の8割以上は就職。特徴は公務員が多いことで、中央大学の法学部は就職した人の約4人に1人が公務員です。

法学部のある大学は、偏差値の上から下まで並ぶ。 同じ「法学部」でも大学の幅はとても広い。だから学部名より、得意な教科と、受けられる大学の幅で選びます。

目次

法学部で学ぶこと:条文と判例を、細かく正確に読む

大学の階段教室で、私服の男子大学生が分厚い法律の本を開き、眉を寄せて条文をにらみながら納得いかない顔で考え込んでいる挿絵。文字「一語の違いで結論が変わる」

法学部で学ぶ中心は、法律です。特に大事なのが「六法ろっぽう」と呼ばれる6つの法律と、役所の仕事を決める行政法です。

法律何を決めているか身近な例
憲法国のしくみと、一人ひとりの権利選挙、表現の自由
民法人と人との約束・お金・家族売り買い、貸し借り、相続
刑法何が犯罪で、どんな罰になるか万引き、詐欺
商法・会社法会社と商売のルール株式会社のしくみ
民事訴訟法・刑事訴訟法裁判の進め方証拠の出し方、判決まで
行政法役所と国民の関係許可、届出、税金

中学の公民で、憲法の三大原則や裁判のしくみを習ったと思います。法学部は、あれを何十倍も細かくしたものです。

授業は、大教室の講義で条文の読み方と考え方を学び、3年生ごろからはゼミで判例を読みます。判例とは、実際の裁判で裁判所が示した判断のことです。条文は短く書いてあるので、具体的な事件にどう当てはめるかは、過去の判例を読んで考えます。

たとえば、こんな問題を考えます。Aさんが、Bさんに自転車を売る約束をした。渡す前の晩、隣の家からのもらい火で、自転車が燃えてしまった。Aさんのせいでも、Bさんのせいでもない。Bさんは、それでも代金を払わなければいけないか。

答えは、民法の条文に書いてあります。2020年に民法が改正されて、どちらのせいでもなく渡せなくなったときは、買う側は代金の支払いを拒めると、536条にはっきり書かれました。法学部の4年間は、こういう問いに、条文と判例を根拠にして答えを出す練習の連続です。

正直に言うと、地味です。一語の違いで結論が変わるので、「〜できる」と「〜しなければならない」の違いまで細かく読みます。テレビの法律番組のように毎回ドラマがあるわけではありません。

学科の違い:法律学科と政治学科

法学部の中は、いくつかの学科に分かれていることが多いです。たとえば中央大学の法学部は、法律学科・国際企業関係法学科・政治学科の3学科です。法律学科は上の表の法律が中心、政治学科は政治のしくみ・行政・国際関係が中心で、法律の授業は少なめになります。

大学によって、学部の形も違います。千葉大学は法学部ではなく法政経学部という1つの学部で、法律・政治・経済をまとめて学びます。

弁護士・裁判官・検察官になる道(法科大学院、法学部を3年で卒業する法曹コース、予備試験)は、弁護士の記事に詳しく書きました。

法学部に向いている人:好きより「読める・書ける」

放課後の高校の教室で、安房高校の制服の女子高校生が、国語の評論文と公民の教科書を並べて、目を輝かせながら夢中で線を引いている挿絵。文字「国語と社会が得意な人へ」

法学部に向いているのは、次のような人です。

  • 長い文章を、細かく正確に読むのが苦にならない人。 国語の評論文が得意な人は強いです
  • 社会、特に公民と歴史が得意な人。 憲法や裁判のしくみ、法律ができた背景は、社会の延長です
  • ルールを筋道立てて考えるのが好きな人。 「なぜこう決まっているのか」「この場合はどうなるのか」と考え続けられる人
  • 自分の考えを、文章で書いて人を納得させられる人。 大学の試験も、司法試験や公務員試験も、論述が中心です

反対に、しんどくなりやすいのは、テレビやドラマのイメージだけで選んだ人です。学部はどう選ぶ?で書いたとおり、法律番組が面白くて法学部に入り、「思っていたのと違う」となった人を、小池は何人も見てきました。高校生の「好き」は怪しい。得意は強い。

確かめる方法があります。1つ目は、公民の教科書の憲法と裁判のところを、もう一度じっくり読んでみること。面白いと思えるなら、法学部の勉強も楽しめます。2つ目は、本物の裁判を見に行くこと。公開の法廷で行われる裁判は誰でも傍聴ぼうちょうでき、申し込みも身分証もいりません。館山にも千葉地方裁判所の館山支部があります(館山駅から歩いて15分)。

出典:大阪地方裁判所「裁判傍聴Q&A」、千葉地方裁判所「所在地」。傍聴希望者が多い裁判は、傍聴券が要ることがあります。

法学部を出てどこへ行くか:ほとんどは会社員、そして公務員が多い

朝の官庁街で、就活スーツの女子大学生が役所の建物を見上げ、胸を張って晴れやかにほほえみながら歩いている挿絵。文字「公務員という道もある」

まず、全国の数字です。2025年3月に大学を卒業した人のうち、法学・政治学を学んだ人は3万5,424人。大学を卒業した人全体(58万4,304人)の6%です。

法学・政治学の卒業生(2025年3月)人数割合
就職した29,564人83.5%
大学院などに進学した2,065人5.8%
進学も就職もしていない資格試験の勉強を続ける人などを含む3,214人9.1%
卒業生の合計35,424人

出典:文部科学省「学校基本調査」令和7年度 表75「関係学科別状況別卒業者数」(2025年3月卒業)。割合は人数から計算。残りは期間の短い仕事・専修学校への入学など。

法学部を出ても、8割以上は就職します。大学院への進学は5.8%で、商学・経済学(1.9%)よりは多いものの、法律家を目指して法科大学院に進む人は一部です。早稲田大学の法学部でも、法科大学院に進んだのは卒業生の17.6%でした(大学のレベルの群の記事に表があります)。

では、就職した人は何をするのか。法学・政治学だけの内訳は公表されていないので、法学・経済学・社会学をまとめた「社会科学」で見ると、就職した人の36%が事務、35%が営業を含む販売の仕事でした。学部はどう選ぶ?で書いた「文系の多くは営業」は、数字でもそのとおりです。会社の法務部に入って法律を毎日使う人は、ほんの一握りです。

出典:文部科学省「学校基本調査」令和7年度 表79「職業別就職者数」(2025年3月卒業)。社会科学の就職者16万4,355人のうち、事務従事者5万9,018人・販売従事者5万6,834人。

法学部の特徴は、公務員が多いこと

それでも、法学部ならではの特徴があります。公務員になる人が多いことです。同じ大学の中で、学部ごとに比べてみます。

中央大学の学部就職した人のうち公務員
法23%(238人)
経済7%(64人)
商5%(40人)
大学全体10%(485人)

出典:中央大学「数字で見る中央大学」2024年度卒業生(2025年3月卒)の就職状況、2025年4月9日現在。公務員の割合は、学部ごとの就職した人の数で割った小池の計算。

中央大学の法学部の就職先を人数の多い順に並べると、東京都庁47人、裁判所17人、みずほフィナンシャルグループ14人、警視庁13人、国税庁国税局12人。役所と大手の銀行が並びます。全国でも、社会科学の就職者のうち公務は8.7%で、就職者全体の6.5%より高くなっています。

出典:中央大学キャリアセンター「2025年度卒業生の主な就職先」(2026年4月9日現在)。文部科学省「学校基本調査」令和7年度 表78「産業別就職者数」。

理由はシンプルです。役所の仕事は、すべて法律に基づいて行われます。税金を集めるのも、建物の許可を出すのも、法律が根拠です。だから公務員の試験には法律の科目が出て、法学部の授業がそのまま試験勉強になります。法律を毎日の仕事の道具として使い続けたいなら、法律家より先に、公務員という道があります。

法学部が強い試験:司法試験・司法書士・行政書士・公務員

試験受かった人/受けた人合格率
司法試験(2025年)1,581人/3,837人41.2%
司法書士試験(2025年度)751人/14,418人5.2%
行政書士試験(2025年度)7,292人/50,163人14.5%

出典:法務省「令和7年司法試験の採点結果」(2025年11月)、法務省「令和7年度司法書士試験の最終結果について」(2025年11月4日)、行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」(2026年1月28日)。司法書士の合格率は人数から計算。

法学部の4年間で学ぶ憲法・民法・行政法などが、そのまま試験の範囲になる資格がいくつもあります。

  • 司法試験:弁護士・裁判官・検察官になるための試験。受ける前に、法科大学院を出るか予備試験に受かる必要があります。合格率41.2%は、そこを抜けた人の中での数字です
  • 司法書士:土地や建物の登記、会社の登記などの書類を作る法律の専門家。合格率は5.2%で、合格者の平均年齢は42歳。働きながら何年もかけて受かる人が多い試験です
  • 行政書士:役所に出す許可・届出の書類を作る専門家。毎年5万人が受けます

公務員試験も、法学部の勉強と重なります。国家公務員の一般職(大卒程度)の行政区分では、専門試験の16科目から8科目を選んで解きます。そのうち憲法・行政法・民法(2科目)・政治学・行政学の6科目は、法学部の授業そのものです。

出典:人事院「2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」別表「専門試験出題分野及び出題数一覧表」。

ただし、地元の市役所は試験の形が違います。館山市役所の筆記は、高校の5教科が中心です。倍率や高校ごとの合格実績は、こちらの記事にまとめました。

法学部のある大学を、偏差値の段で見る

塾の自習ブースで、学ラン姿の安房高校の男子が、大きな表の一列を上から下まで指でなぞり、目を丸くして驚きながらわくわくしている挿絵。文字「同じ法学部でも幅が広い」

大学カテゴリーの大学の偏差値の地図には、「法」の列があります。その列を上から下まで見ると、こうなります。

地図の段法学部のある大学
65〜72.5東大(文一)・京大・一橋・早稲田・北大・東北大・名大・阪大・九大・慶應・千葉(法政経)・都立大
60〜62.5上智・岡山・広島・明治・立教
55〜57.5学習院・青学・中央・法政・成蹊
50〜52.5成城・國學院・関学・明学・獨協・東洋・専修
45〜47.5日大・駒澤・東経大(現代法)・立正・神奈川
35〜42.5大東・帝京・亜細亜・国士舘・関東学院・東海・駿河台
BF流経・清和

出典:河合塾 Kei-Net 2027年度入試のボーダー偏差値(学部学科ランク)。段は、その法学部の学科の偏差値の真ん中の値。国公立は二次試験の偏差値に+5した高さに置いています(共通テストのぶん)。夜間・第二部は除いています。大学名のリンクは大学図鑑のページ。

早稲田大学の法学部(偏差値67.5)から、偏差値がつかない大学(BF)まで、同じ「法学部」が地図の上から下まで並びます。法学部という名前だけでは、大学のレベルは何も決まらないということです。

千葉県の大学では、千葉大学の法政経学部(西千葉。二次試験の偏差値60.0)、流通経済大学の法学部(入学のときに新松戸か茨城の龍ケ崎のキャンパスを選ぶ)、清和大学の法学部(木更津)があります。

塾生限定

塾生サイトには、この話の続きを塾生だけが読める記事で載せています。塾生サイトで読む

※塾生の方は、まなぶ君と同じID・パスワードで読めます

似た学部との違い:法か、政経か、経済か

大学のオープンキャンパスで、学ラン姿の安房高校の男子が、三方向を指す案内板の前で首をかしげ、どの学部に行くか困って途方にくれている挿絵。文字「法・政経・経済どれにする?」

法学部と迷いやすいのが、政治経済学部と経済学部です。

学部中心に学ぶこと迷ったときの目安
法学部(法律学科)法律の条文と判例国語と社会が得意。公務員も考えている
法学部(政治学科)、政治経済学部政治、行政、国際関係社会のしくみを、広く学びたい
経済学部お金と市場のしくみ。統計やグラフを使う数学が得意

政治を学べるのは、法学部の政治学科と政治経済学部の両方です。違いは、隣にあるのが法律か経済か。早稲田の政治経済学部のように、入試で数学が必要な学部もあります。

迷ったときは、学部はどう選ぶ?の話に戻ってください。文系は、学部で就職先がほとんど決まりません。経済学部でも法律の授業は取れるし、法学部でも経済は学べます。だから決め手は、得意な教科で受けられる大学の幅です。国語と社会が得意なら法学部、数学が得意なら経済学部。公務員を考えているなら、試験科目と授業が重なる法学部が有利です。

塾生限定の表(ぼかし)

塾生限定:安房高校の指定校推薦の枠

塾生はログインして見られます(ID とパスワードは各自のもの)

まとめ

館山の海辺の遊歩道で、安房高校の制服の女子高校生が、法律の本と大学案内を胸に抱え、口を結んで力強くうなずく決意の顔をしている挿絵。文字「学部名より得意と大学の幅」
  • 法学部で学ぶのは、憲法・民法・刑法などの条文と判例。細かく正確に読んで、事件に当てはめる地味な勉強
  • 向いているのは、長い文章を正確に読めて、国語と社会が得意な人。テレビのイメージだけで選ばない
  • 全国の法学・政治学の卒業生の8割以上は就職。多くは事務と営業で、法律家になるのは一部
  • 法学部の特徴は公務員が多いこと。中央大学の法学部は、就職した人の約4人に1人が公務員
  • 司法試験・司法書士・行政書士・公務員試験は、法学部の授業がそのまま試験範囲
  • 法学部のある大学は、偏差値の上から下まで並ぶ。学部名より、得意な教科と受けられる大学の幅で選ぶ

中学生の皆さんは、公民の憲法と裁判の単元を大事にしてください。法学部の入り口は、あそこです。そして国語の評論文を、細かく正確に読む練習を今から積んでおく。それが法学部でも、その先の試験でも、そのまま武器になります。

保護者の方へ。「法学部なら弁護士」と考える必要はありません。法学部を出た人のほとんどは、会社員か公務員として働きます。お子さんが法学部に興味を持ったら、法律の何が面白いのかを聞いて、一緒に裁判の傍聴に行ってみてください。

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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