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ランゲージ・ラボラトリーの小池です。
国語力はすべての学力の土台。
人は言葉を使って物事を考え、言葉を使って表現をします。それだけではありません。目に見えているものは、みんな同じように見えていると思うかもしれませんが、実は語彙力に左右されています。


例えば、日本人は青と紺を区別します。「紺」という言葉を持っているからです。言葉を持っていないものは、目に入っていても区別できません。
算数の文章題が解けない子の多くは、計算ができないのではなく、文章がイメージできていません。「問題の意味がわからない」と言います。
問題文に「飛び石があります」と書かれていたときに、飛び石を知らない子どもは問題の意味を理解できません。ですが、飛び石=少しずつ離れて置かれた石であることが分かっている子は、絵や図を描きながら問題を解くことができます。
| 言葉 | 知らない子 | 知っている子 |
|---|---|---|
| 紺 | 青にしか見えない | 青と紺を見分けられる |
| 飛び石 | 問題の意味がわからない | 絵や図を描いて解ける |
言葉を1つ知るたびに、見える世界が1つ細かくなります。語彙は、ものを見るための道具です。


難関中学に受かる子は、結局国語力が高い子。これは小池が塾の現場で見てきた実感です。
国立情報学研究所の新井紀子さんは『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社、2018年)で、中高生が教科書の文を正確に読めるかを調べたテスト(リーディングスキルテスト)の結果を紹介しています。たとえば「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」という1文を読んで、「Alexandraの愛称は( )である」の空欄を選ぶ問題。答えは Alex ですが、正しく選べた中学生は37.9%、高校生でも64.6%でした。
そしてこの読む力は、進学した高校の偏差値と強く結びついていました。難関中学そのものを調べたデータではありませんが、「正確に読める子ほど上の学校に進む」という点は、小池の実感と同じです。
読む力は、ほかの教科の点数とも結びついています。広島県東広島市の中学3年生を調べた研究では、同じテストの点が高い生徒ほど、全国学力・学習状況調査の国語だけでなく、数学や理科の正答率も高い傾向が出ています(間瀬茂夫・冨安慎吾「リーディングスキルテストと学力調査の相関からとらえた読解力に関する研究」全国大学国語教育学会、2019年)。
難関中に合格している人は国語力が高いので、中学高校でサボりまくって全然勉強しなかったとしても、いざ本腰を入れて勉強しだすとものすごい勢いで伸びます。
渋幕や麻布中に受かっているような人たちが、中高では全く勉強しなかった、勉強したのは受験の1年間だけとよく言いますが、それはもともとの国語力がなせる技なのです。
ビリギャルも、中学受験をして私立の中高一貫校に合格しています。中学高校で遊びまくり、全く勉強していなかったのでしょうが、いざ本腰を入れて勉強したら、偏差値を40上げて慶應義塾大学に現役で合格しました。
塾の現場で生徒たちを教えていても、理解力の差を痛感することがあります。「あと5分で休憩だよ。」と言ったときに「え、もう休憩?」と早とちりする子たちがいますが、話を聞いていないのではなくて、文章として捉えていないんだなぁと感じます。
国語力=理解力だと思うので、国語力がなければ、穴の開いたバケツに水をいくら注いでいっても、水がどんどんと抜け落ちていきます。
まずは国語力を磨く。そして相手の話をきちんと理解できる力を身につける。これがいちばん大事だと思います。








塾の現場にいると、いろいろなことを目にします。小さい頃から英語をずっとやってきて、英語が大好きで、英語に自信があるというお子さんがいます。発音もきれいだし、単語もたくさん知っています。
それに対し、英会話などはやったことがなく、学校の英語しかやったことがない子もいます。発音はカタカナ英語で、とてもきれいとは言えませんし、自分は英語ができないと若干コンプレックスを持っています。でも、国語力が高くて、頭がいいなと感じる子は、1年で追いつき2年目に抜かします。3年目には大差をつけてぶち抜きます。
| いつ | 幼稚園から英語の子 | 中学から英語・国語力が高い子 |
|---|---|---|
| 中学入学 | 発音がきれい。単語もたくさん知っている | カタカナ英語。英語にコンプレックス |
| 1年目 | リードしている | 追いつく |
| 2年目 | 抜かれる | 抜く |
| 3年目 | 差が開く | 大差をつける |
幼稚園から中2までで、ざっと8年。
国語力が高い子は、他の人が8年かけて学ぶ内容をたったの2年で学ぶことができます。
帰国子女で英語がペラペラの高校生に大学入試レベルのテストをやらせると、60から70点止まりの子も多いです。大学入試の英語は、精読力や要約力といった他の要素が必要になっていきます。論理的思考力や頭の良さが問われるのが大学入試の英語です。
自分の子どもが英語を少々流暢に話せればいいと思っているのであれば別ですが、考える力をつけたいと思っているのであれば、まずは国語力を鍛えることが大事だと思います。


社会に出ると、仕事のほとんどは言葉でできています。上司の指示を聞く。マニュアルを読む。お客さんに説明する。メールやLINEで報告する。どれも国語力です。
「あと5分で休憩だよ」を「もう休憩」と受け取る子は、職場でも同じことをします。「明日の10時までに、AとBを比べた資料を1枚で」と言われて、Aだけの資料を3枚作ってしまう。本人は一生懸命やっているのに、評価されない。これが一番もったいない。
契約書や保険の説明、スマホの料金プランも同じです。書いてあることを正確に読めない人は、知らないうちに損をします。
AIが何でも答えてくれる時代になっても、この話は変わりません。AIに何を聞くかを言葉にするのも、返ってきた答えが正しいかを読んで判断するのも、自分の国語力です。




親が「マジうざい」とか「ヤバい」といった崩し言葉を使っていると、当然子どもも真似をするようになります。子どもは親の言葉をコピーしてそのまま使いますからね。
「ヤバい」は便利な言葉です。おいしいも、こわいも、すごいも、全部「ヤバい」で済んでしまう。済んでしまうから、言い分ける言葉が育ちません。家の中で「おいしい」「びっくりした」「こわかった」と言い分けるだけで、子どもの言葉は変わります。
伸びる子どもは、言葉に対する感度が高く、表現も正確です。
言葉の数は日常の体験から増やすのが基本です。日常の中に溶け込んでいる言葉を実体験として少しずつすくい取り、摂取して語彙力を身につけていくしかありません。
「夏の終わりの早朝、露を置いた草の上に座ればお尻が濡れる」という文章を読んだとき、実際にお尻を濡らした経験がない子どもは、知識の域を出ることができません。ですが、実際の体験がある子どもは、「あれか」と自分のお尻が濡れたときのことを思い出し、豊かな連想力を働かせることができるでしょう。
国語力は子どもが経験の中で主体的に勝ち取る部分が大きいので、親は子どもにたくさんの旅行や外遊びをさせてほしいと思います。実際に体で経験し、それを自分の言葉で言語化していくのです。
小学生の低学年ぐらいまでは、見聞きする言葉に強い興味を持っています。「それなあに」と子どもが質問してきたら、きちんと答えてあげたいところです。
もちろん、親にだって答えられないこともあると思います。そのときは一緒に調べて、解説してあげるといいと思います。
我が家ではめんどくさいのでアレクサに質問することもあります。アレクサがいい回答をくれることもありますが、基本的にはWikipediaから引っ張ってくるので、子どもには説明が難しいです。だから一緒に聞いてあげて、「ああ、そういうことね」と、かみくだいて解説をしてあげます。スマホでChatGPTに聞くのもとてもいいと思います。ChatGPTの解説はなかなか気が利いていますよ。




ランゲージ・ラボラトリーでは、学んだ内容を白紙に書き出して説明をする、隣の座席に座っている子にペアワークで説明する、などの取り組みをよくします。
問題が解けるようになったらわかったわけではなくて、自分の言葉で人に説明できるようになって初めてきちんと理解しているからです。
この前、木更津高校に通うA君から相談を受けました。高校の数学って難しいです、というのです。東進の授業を受けていて、最初の概念説明で理解ができるんですが、その後の問題演習で応用してそれを使って解けません。もちろんその問題の解説はその後にあるので、それで理解はできるんですが…。
非常にレベルの高い相談です。A君は中学までは概念説明を受けたら、それを基にしていろんなパターンの問題をすぐに解けてしまったのです。1つの概念を理解して、100問の問題が解けるという状態です。
| 段階 | どんな状態か |
|---|---|
| 1. なんとなくわかった | 説明を聞いて、うなずける |
| 2. 問題が解ける | 習った形の問題なら解ける |
| 3. 人に説明できる | なぜそうなるかを、自分の言葉で言える。形が変わっても解ける |
と3つの段階に分かれているとしたら、3まで行って初めて理解できていると言えます。
中学の数学は、1の「なんとなくわかった」でも2まで届きました。高校の数学は、1つの概念から出てくる問題の幅が広く、形も変わります。だから1のまま演習に進むと、手が止まる。概念説明を聞いたら、問題に入る前に、白紙に自分の言葉で説明を書いてみる。なぜその式になるのか、どんなときに使うのかを言えるようになってから問題に入る。遠回りに見えて、これが一番の近道です。


人に説明するときに脳みそをすごく使います。説明しているときに、分かった気になっていたことが「あれ、そういえばなんでこことここってつながるのかな」と疑問になって出てくることがよくあります。説明してみるというのは、相手のためというより、一番自分のためになっているのです。
相手の説明をそのまま丸暗記しようとするのではなくて、一度自分の言葉に置き換えてみることが大切です。他人に説明してその人を十分に納得させられたとき、初めて理解したと言えるのです。






言葉の数は日常の体験から増やすのが基本、と書きました。ただ、体験できることには限りがあります。江戸時代には行けないし、南極にも簡単には行けません。他人の頭の中をのぞくこともできません。
それを代わりに体験させてくれるのが本です。物語を読むと、登場人物と一緒に怒ったり、悔しがったりします。そのとき、知らなかった言葉が気持ちとセットで入ってきます。本は、体験の数を増やす道具です。
漫画も立派な入口です。小池も、漫画から歴史やものの考え方をたくさん学んできました。まなぶ君にも、時代ごとに読める歴史マンガのコーナーがあります。何を読めばいいか迷ったら、塾でおすすめしている本から選んでください。




ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
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