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ランゲージ・ラボラトリーの小池です。
「こんなの将来使わないでしょ」
「親がうるさいから、やってるだけ」
中学生になると、こう思う人が一気に増えます。
でも、今ならはっきり言えます。勉強は、誰かにやらされているものではありません。自分がワクワクする仕事を、自分で選んで、楽しく続けるためにやっているもの。
今日はその話と、「こんなの使わない」への小池の答えをします。
いきなりですが、皆さんは将来どんな仕事をしてみたいですか。
どれもいいと思います。そして、こういう仕事はどれも、皆さんにやれるチャンスがあります。 ゲーム会社で働いている人も、アニメを作っている人も、社長も、みんな元は普通の中学生でした。




ただ、1つ知っておいてほしいことがあります。
やりたいことは、変わります。
4歳のころ、「大きくなったら何になりたい?」と聞かれて、仮面ライダーとかプリキュアとか答えていませんでしたか。小学生になってサッカー選手、ユーチューバー、ケーキ屋さん。たぶん、何回も変わってきたはずです。
15歳から大学を卒業する22歳までの7年間も、同じくらい変わります。知らなかった仕事を知る。好きだったものに飽きる。新しく夢中になるものが出てくる。それが普通です。
だから、「やりたいことがまだない」も全然OK。むしろ今の答えが最後だと思わない方がいい。
大事なのは、やりたいことが決まったときに、そこへ行ける自分でいることです。
たとえば今、アニメを作る仕事がしたいとします。いちばん近道に見えるのは、アニメの専門学校に行くこと。実際、専門学校を出てアニメの仕事に就くことはできます。
ただ、その先の数字を見てください。
アニメ業界で、20〜24歳の平均年収は200万円。絵を描く仕事の入口である「動画」の平均年収は228万円です(日本アニメーター・演出協会、2026年)。月にすると20万円いかない。そこから東京で家賃と食費を払います。
そして、業界に入った人のうち、4年以内に約4人に1人、8年以内に約7割が辞めています(日本総研の試算、2024年)。
好きで、やりたくて入った仕事のはずなのに。なぜ続かないのか。
入口で任されるのが、下流の仕事だから。
仕事には「上流」と「下流」があります。
下流の仕事は、量が多くて激務です。しかも「アニメが好きで、絵が描ける人」は毎年たくさん入ってくるので、代わりがいくらでもいる。 給料は上がりにくく、使い捨てっぽくなってしまう。これからAIに置き換わっていくのも、下流の仕事からです。
もう1つ、専門学校の怖いところ。アニメの専門学校を出ると、アニメ以外の道に移りにくい。 途中で「思っていたのと違った」と感じても、選び直すのが大変です。やりたいことは変わるのに。


じゃあ、どうするか。小池の考えは、大学に行くこと。
大学を出ると、行ける業界の幅が一気に広がります。
しかも、どれも上流の仕事に入れる入口です。自分で「何をやるか」を決められて、お金もきちんともらえる。
さらにいいのは、大学では、実際に試してから選べること。
大学3年生くらいになると、「インターン」があります。会社に行って、何日か実際にその仕事を体験させてもらう仕組みです。ゲーム会社のインターンに行ってみる。商社にも行ってみる。行ってみたら「思ってたのと違った」とわかることもあるし、「全然興味なかったけど、これ面白い」と見つかることもある。
いろいろ経験してから、選べる。 中学生の今、1つに決め打ちしなくていい理由は、ここにあります。




大学に行くには、もちろん勉強が要ります。好きな業界の上流に行くなら、せめて最低でもMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)以上を目指してほしいです。学歴は、会社が入口で使う足切りの目安になります。
でも、本質は学歴ではありません。
会社が本当に見ているのは、目の前のことに没頭して、最後までやり切れる人かどうか。 そして、それを自分から楽しんでやれるかどうか。
好きなゲーム会社に入っても、仕事の中身は地味な作業の連続です。そこで「やらされてる」と思いながら言われたことだけやる人と、「どうせやるなら面白くしてやろう」と自分から動く人。上に行くのは、もちろん後者です。
そして、その姿勢は中学生の今の勉強の姿勢と、そっくり同じ。
勉強の姿勢が、そのまま仕事の姿勢になります。 今、勉強を「やらされるもの」にしてしまうと、好きな仕事に就いても、同じように「やらされる」働き方になってしまう。逆に、今の勉強を自分のものにできた人は、どの業界に行っても強い。
学歴は、その「やり切ってきた記録」の1つにすぎません。


最初の「こんなの将来使わないでしょ」に、正面から答えます。
半分は、当たっています。買い物の計算は、小学5年生までの算数で足ります。x²+5x+6 を (x+2)(x+3) に因数分解する大人は、ほとんどいません。
ただ、勉強の目的は2つあります。
「使わない」と言うとき、見ているのは表面の目的だけです。鍛えているのは知識そのものより、考える力のほう。
たとえば数学。三角関数をそのまま仕事で使う人は、一部です。でも、スマホの料金プラン、家を買うか借りるか、どの大学に行くか。大事なことを決めるたびに、数字をもとに自分の頭で考える力を使います。この力が弱いと、人のうわさや、声の大きい人の意見に振り回されます。
国語・英語・理科・社会で鍛えている力と、小池が仕事で因数分解の考え方をどう使っているかは、人間力の記事の「因数分解は使わない。でも、因数分解の考え方は毎日使う」にまとめました。
この言葉がいちばん増えるのは、中学2年生です。理由はだいたい4つ。
どれも自然なことです。だから保護者の方も、お子さんが「使わなくね?」と言い出したら、叱るより「表面の目的と、本当の目的があってね」と話してあげてください。


では、実際に働いている大人は、どの教科が役に立ったと言っているのか。2つの調査を並べます。マイナビは2015年に社会人471人へ「中学の授業で、一番人生の役に立っている科目」を、オリコンは2007年に20〜40代の働く人900人へ「社会に出てから役立った科目」を聞いたものです。
| マイナビ(2015年) | オリコン(2007年) | |
|---|---|---|
| 1位 | 国語 27.8% | 国語 29.6% |
| 2位 | 英語 20.4% | 英語 26.9% |
| 3位 | 数学 18.0% | 数学 26.2% |
8年あいた2つの調査で、上位3つは同じ国語・英語・数学です。
中学生のうちは「これからは英語さえできれば」と思いがちです。英会話教室の広告を毎日のように見ていれば、無理もありません。でもそれは、まだ働いたことがない人のイメージです。働いてみた人の答えは、国語がいちばん上。数学も英語とほぼ並びます。
そして、この3教科は、私立高校の入試の3教科と同じです。会社の就職試験でよく使われる SPI も、中身は「言葉の力」と「数の力」、つまり国語と数学の延長です(くわしくは人間力の記事)。高校も会社も、役に立つ力を持っている人がほしい。だから、その力を試験で見ます。
「外国で働きたいから、英語だけやればいい」。これもよく聞きます。
日本に働きに来ている外国の人を思い浮かべてください。日本語が話せるだけだと、選べる仕事は限られます。外国に行けば、その国の言葉が話せるのは当たり前。言葉の上に、何ができるかで勝負が決まります。
外国で働く日本人の多くは、世界に拠点を持つ大きな会社の社員です。トヨタ、三菱商事、Google。こうした会社に入るのは、ほとんどが難関大学の卒業生。英語だけでなく、国語も数学もできる人たちです。
小池の中学の同級生80人のうち、英語を使って働いているのは3人です。車のデザイナー、脳外科医、住宅会社で海外の木を扱う開発の仕事。3人とも、英語だけでなく全教科ができました。


アメリカの高校では、1960〜70年代に選べる科目が一気に増えました。すると、生徒は易しい科目を選ぶようになった。1964年に12%だった「大学に行くための勉強をしないコース」の生徒は、1979年には42%になりました。
1983年、レーガン政権の教育長官がつくった委員会が『危機に立つ国家』という報告書を出します。そこには、17歳の約13%が読み書きを十分にできないこと、大学入試の共通テスト(SAT)の平均点が1963年から1980年まで下がり続けたことが書かれていました。そして、原因の1つを前菜やデザートがメインの料理と取り違えられやすい、カフェテリアのような授業の選び方だとしました。
報告書が出した答えは、高校の4年間で「英語4年、数学3年、理科3年、社会3年」を全員に学ばせること。好きなものだけを選べる形から、基本の教科に戻したのです。
5歳の子に「好きなものを食べていいよ」と言えば、お菓子とアイスを選びます。栄養のことを知らないからです。働いたことのない中学生が、役に立つ科目を自分で選んで絞り込むのも、同じことです。
「外国の教育はすごい」というニュースを見ることがあります。でも、15歳の学力を国ごとに比べる国際調査(PISA、2022年)で、日本はこうなっています。
| 分野 | OECD加盟37か国の中 | 81か国・地域の中 |
|---|---|---|
| 数学 | 1位 | 5位 |
| 読解力 | 2位 | 3位 |
| 科学 | 1位 | 2位 |
皆さんが今やっている5教科は、世界で通用する基礎です。外国の教育がよく見えても、日本の中学の勉強で手を抜いていい理由にはなりません。






もう一度、最初の話に戻ります。
「親に言われたからやってる」
「こんなの意味ない」
そう感じるのは自然なことです。でも本当は、皆さんが今やっている勉強は、将来の自分が、好きな仕事を選んで、楽しく、ちゃんと稼ぎながら続けるための準備です。
まとめると:
やりたいことが見つかったとき、そこに行ける自分でいてください。
勉強は、誰のためでもない。自分のため。一緒にやっていきましょう!
ランゲージ・ラボラトリー 小池










ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて