仕事の選び方:「やりがい・お金・生活」のどこを大事にするかを先に決める

館山の海沿いの遊歩道で、安房高校の制服の女子高校生があごに指を当てて考えている。頭の上に、ハート・コイン・家の3つのアイコンが浮かぶ。「やりがい・お金・生活」「仕事の選び方」「どこを大事にするか決める」の文字。

ランゲージ・ラボラトリーの小池です。

この記事は、きれいごとは抜きで、率直に書きます。

小池は塾を始める前、2007年から約4年、リクルートという会社で、IT業界の会社を担当する営業と、転職の支援をしていました。転職したい人の経歴や年収を見ながら、その人がなぜ今の会社を辞めたいのかを聞く仕事です。人が何に不満を持って会社を辞めるのかを、たくさん見てきました。

その経験から言えることがあります。仕事は「やりがい」「お金」「生活」の3つで見る。そして、3つのうちどこを大事にするかを、自分で先に決めておく。これができている人ほど、選んだあとで迷いません。

目次

仕事は「やりがい・お金・生活」の3つで見る

仕事を見る3つの観点の手描き図解。「やりがい(人によって違う)」は青で、その下に「クチコミ・調査で測る」。「お金(初任給・年収)」と「生活(休日・残業・転勤)」は「数字で比べられる」とくくられている。見出しは「やりがいは主観、でも測る工夫もある」。

仕事を選ぶときに見るのは、この3つです。

観点中身比べ方
やりがい仕事そのものの手ごたえ。楽しい、誇らしい、もっとやりたいと思えるか人によって感じ方が違う。自分で知るしかない
お金初任給、年収、上がり方、ボーナス数字で比べられる
生活年間休日、残業時間、転勤の有無、勤務地、体力数字で比べられる

3つは性質が違います。

お金と生活は、数字にできます。初任給は何円か、年間休日は何日か、残業は月に何時間か、転勤はあるか。求人票や国の統計を見れば、会社どうし・業界どうしで比べられます。

お金と生活は、ここを見る

見る数字全国の目安
初任給(月額)大学卒26.2万円、専門学校卒23.1万円、高校卒20.7万円
年間休日労働者1人あたり平均116.6日。従業員1,000人以上の会社は平均117.7日、30〜99人の会社は111.2日
有給休暇を取れた日数平均12.1日(もらえた日数の66.9%)
残業・転勤・勤務地求人票と会社の説明会で、必ず確かめる

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(初任給は2025年の新規学卒者、男女計)、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(年間休日と有給休暇は2024年の1年間。会社の規模別は1企業あたりの平均)

お金は、ある額までは幸せに直結する

お金の話で、もう1つ知っておいてほしいことがあります。「年収が800万円くらいを超えると、お金が増えても幸せはそれほど増えない」という話です。元になった研究があります。

ノーベル経済学賞を取ったカーネマンたちが、アメリカで45万件を超えるアンケートを調べた研究(2010年)です。年収が上がるほど、毎日の気分(楽しい、ストレスが少ない)はよくなる。ところが、年収7.5万ドル(円に直すと、為替によって700万〜800万円ほど)を超えると、それ以上はよくならなかった。一方で、「自分の人生に満足しているか」という評価は、年収が上がるほど上がり続けました。

日本にも数字があります。内閣府が約1万人に聞いた調査では、世帯(家族みんな)の年収が高いほど、生活の満足度は上がります。

世帯の年収生活の満足度(10点満点)
100万円未満5.01
100万〜300万円5.20
300万〜500万円5.68
500万〜700万円5.91
700万〜1,000万円6.24
1,000万〜2,000万円6.52
2,000万〜3,000万円6.84

出典:内閣府「『満足度・生活の質に関する調査』に関する第1次報告書」(2019年5月、回答者10,293人)。3,000万円を超える段は答えた人が少ない(合わせて68人)ため、表から外した

上がり方を見てください。300万円の段から上の段に上がると、満足度が0.5点近く跳ね上がります。報告書も、年収300万円を境に大きく上がると書いています。家賃・食費・光熱費が払えて、少し余裕が出るかどうか。ここまでは、お金がそのまま毎日の安心につながります。それに比べて、1,000万〜2,000万円の段から2,000万〜3,000万円の段へは、年収が1,000万円ほど増えて0.3点です。

ただし、研究によって見方は分かれます。2021年には「7.5万ドルを超えても幸せは上がり続ける」という研究が出て、2023年にカーネマンとその研究者が一緒にデータを調べ直しました。結論は、毎日がつらいと感じている人(全体の15〜20%)は年収10万ドルあたりで頭打ちになり、それ以外の多くの人は上がり続ける、でした。ただ、この「上がり続ける」は、年収が2倍になるごとに同じだけ上がる、という意味です。300万円から600万円に増えたときと同じだけ幸せを増やすには、次は600万円から1,200万円へ、600万円増やす必要がある。お金が増えるほどには、幸せは増えない。ここはどの研究も同じです。

出典:Kahneman & Deaton「High income improves evaluation of life but not emotional well-being」PNAS(2010年)、Killingsworth「Experienced well-being rises with income, even above $75,000 per year」PNAS(2021年)、Killingsworth, Kahneman & Mellers「Income and emotional well-being: A conflict resolved」PNAS(2023年)

だから、ある程度まではお金を追い求めるのは大事です。そこまでいかないと、お金の心配が毎日の生活に直結し、幸せと大きく関係するからです。でも、ある程度を超えると、増え方ほどには幸せは増えず、意外と満足します。そこから先は、やりがいや生活を大事にする選び方もできます。

小池の実感としても、これはとてもよく分かります。ある程度までは追いかける価値があるし、ある程度いったら、意外と満足するものです。

やりがいは、人によって感じ方が違う

やりがいは、主観しゅかんが強い。同じ仕事でも、ある人は「最高に楽しい」と言い、別の人は「つらいだけ」と言う。感じ方が、人によって違うからです。

例えば、学校の先生。国際調査では、日本の小中学校の先生の約9割が「教える仕事に満足している」と答えています。でも同じ職場に、長い勤務時間に疲つかれて辞めていく先生もいます。同じ「生徒が伸びた」という出来事に、燃える人もいれば、そこまで心が動かない人もいる。

出典:OECD「国際教員指導環境調査(TALIS 2024)」(2025年10月公表)

それでも、やりがいを数字にしようとする取り組みはあります。社員へのアンケートで毎年「働きがいのある会社」を選んでいるGreat Place to Work®の調査や、社員が会社を点数づけするOpenWorkの「社員の士気」「20代成長環境」といった項目です。会社どうしを比べる参考になります。

ただ、点数は働いている人たちの平均です。自分がどこでやりがいを感じるかは、自分で知るしかありません。だから、やりがいは「どの仕事にやりがいがあるか」ではなく、自分はどういうときにやりがいを感じるかを知っておく必要があります。そのための物差しは、後半の節で並べます。

3つとも高い職場はある。ただし、入るのが難しい

東京のガラス張りの大きなオフィスビルの入口に、就活スーツの大学生が長い列を作り、列の後ろの女子大学生が肩を落として見上げている挿絵。「人気が集まり、入口は狭い」の文字。

まず、3つとも高い職場はあります。給料が高く、休みも取りやすく、働く人の満足度も高い。そういう会社は実在します。

業界の平均で見ても、お金と休みの両方が上の業界と、両方が下の業界があります。

業界月の給料(平均)有給休暇の取得率
電気・ガス・熱供給・水道業44.4万円(業界別で最も高い)75.2%(業界別で最も高い)
全体の平均34.1万円66.9%
宿泊業・飲食サービス業27.7万円(業界別で最も低い)50.7%(業界別で最も低い)

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(一般労働者の2025年6月分の所定内給与額。残業代とボーナスは入っていない)、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(2024年の1年間の取得率)。業界の平均なので、同じ業界でも会社によって大きく違います。

ただし、3つとも高い職場には、人気が集中します。人気の大企業は倍率が100倍を超え、面接の前に大学名で絞しぼられることもある。いい職場ほど、入口が狭い。ここは、率直に知っておいてください。

その入口を通るための話は、就職の基礎の記事にまとめています。

大手企業と中小企業の差

3つとも高い職場は、多くが大手企業です。率直に言うと、大手企業と中小企業には、はっきりした差があります。

  • 給料が高い:月の給料の平均は、従業員1,000人以上の会社で38.5万円、10〜99人の会社で30.6万円(後の「上流か下流か」の節の表)。休みも、年間休日は1,000人以上の会社の平均117.7日に対して30〜99人の会社は111.2日(最初の節の表)。有給休暇の取得率も69.0%と64.9%で、大きな会社のほうが高い
  • 大きな仕事ができる:何万人・何百万人に届く商品やサービス、国をまたぐ取引。やりがいの物差しの「スケールの大きさ」に当たる
  • 同期が多く、仲間が多い:同じ年に入社する人が何十人、何百人といる。相談できる相手、競い合う相手が最初からいる
  • 研修がしっかりしている:入社してすぐの研修から、何年目かごとの研修まで、育てる仕組みが整っている

出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(有給休暇の取得率は2024年の1年間、1,000人以上と30〜99人の会社)

この差は、中学の公民でも習います。日本の会社のほとんどは中小企業で、企業の数の99.7%、働く人の約7割(69.7%)が中小企業です。そして、賃金や設備などで大企業との間に差がある。教科書で「格差」として出てくる話は、皆さんがこれから選ぶ仕事の話そのものです。

出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果」(2023年12月公表。令和3年経済センサス‐活動調査をもとにした集計)

もちろん、中小企業にも、若いうちから任される・社長との距離が近いといった良さはあります。ただ、給料・休み・仕事の大きさ・仲間・研修の5つでは、大手が上です。どんな大手企業が働く人に人気なのかは、次の節の転職人気30社の表で見られます。

3つとも低い職場もある。まず見分けて避ける

大学の就職相談コーナーの机で、男子大学生が求人票の紙を手に持ち、眉をひそめてむっとした顔でにらんでいる挿絵。紙の上には大きなハートやキラキラだけが描かれている。「数字がない 求人票」の文字。

逆に、3つとも低い職場もあります。給料は低く、休みは少なく、仕事にも手ごたえがない。選ぶときにいちばん先にやるのは、ここを見分けて避けることです。

転職の支援をしていたとき、転職理由でいちばんよく聞いたのは「年収を上げたい」でした。「年収が下がってもいいから、やりたい仕事に移りたい」という人は、ほとんどいなかった。大人は、お金にも生活にも困っている。働き始めてから気づいても、抜け出すのは大変です。

見分けるときは、求人票と説明会でここを見ます。

  • 給料がどう上がっていくのか、先輩の例で説明できるか
  • 年間休日と残業時間が、数字ではっきり書いてあるか
  • 「やりがい」「アットホーム」「夢」の言葉ばかりで、数字が少なくないか
  • 一年中、同じ仕事の募集を出していないか(人が定着ていちゃくしていない合図)

求人票の外で、働いている人の声を見る

求人票は、会社が自分で書いたものです。いいことが多めに書いてあって当然。だから、働いている人・働いていた人の目で見た評価も、合わせて見てください。

1つ目は、社員のクチコミサイトです。OpenWorkや転職会議では、実際に働いた人が会社を評価しています。OpenWork なら「待遇面の満足度」「社員の士気」「20代成長環境」「人事評価の適正感」など8つの項目の点数で比べられます。どの項目も点数が低い会社、給料と残業への不満が何人からも出ている会社は、3つとも低い職場の合図です。ただ、クチコミは不満を持って辞めた人の声が集まりやすいので、1件の悪口ではなく、同じ不満が何度も出ていないかを見ます。

2つ目は、人気企業のランキングです。学生が選ぶ就職人気ランキングと、社会人が選ぶ転職人気ランキングがあります。小池が信用しているのは、転職のほうです。学生の人気は、知っている会社・広告でよく見る会社に引っぱられやすい。社会人は、実際に働いた目で、給料や働き方まで知ったうえで選んでいます。

下の表は、doda の「転職人気企業ランキング2025」の上位30社です。社会人が「もし転職するなら、どこで働きたいか」を選んだ結果で、知名度で選ばれやすい就職人気ランキングより、働く側から見た実態に近い。

順位会社名業界
1トヨタ自動車自動車
2グーグルIT
3ソニー電機・エンタメ
4楽天グループネット通販・金融
5キーエンスセンサー・計測機器
6任天堂ゲーム
7パナソニック電機
8アマゾンジャパンネット通販
9Apple JapanIT・電機
10伊藤忠商事総合商社
11三菱商事総合商社
12ソフトバンク通信
13本田技研工業(Honda)自動車
14味の素食品
15全日本空輸(ANA)航空
16サントリーホールディングス飲料
17東日本電信電話(NTT東日本)通信
18ファーストリテイリング衣料品(ユニクロ)
19西日本電信電話(NTT西日本)通信
20日本航空(JAL)航空
20日本マイクロソフトIT
22リクルートホールディングス人材・情報サービス
23LINEヤフーIT
24オリエンタルランドテーマパーク(ディズニー)
25東日本旅客鉄道(JR東日本)鉄道
26三井物産総合商社
27資生堂化粧品
28明治食品
29イオン小売
30アクセンチュアコンサルティング

出典:doda「転職人気企業ランキング2025」(パーソルキャリア、2025年6月発表。調査は2025年2月12〜18日、22〜59歳の正社員5,074人。20位は2社が同じ順位)。業界は小池が短くまとめたもの。

どの会社も、やりがい・お金・生活のどれかが高く評価されている会社です。そして、どれも入るのが難しい。「3つとも高い職場は、入るのが難しい」の、いちばん分かりやすい実例です。

出典:OpenWork「社員クチコミについて」、Great Place To Work® Institute Japan「働きがいのある会社」調査(2026年10月5日に確認)

好きな仕事ほど、気をつけてください。「好きでやっているんだから」と、低い給料と長い時間を当たり前にする職場があります。これを、やりがい搾取さくしゅと言います。

塾長 小池

「やりがいがあるから給料は安くていい」は、雇う側が言うと危ない言葉です。やりがいは、自分で感じるもの。人から押おし付けられるものではありません。

多くの職場は、どこかが高ければどこかが低い

3つの型の手描き図解。「やりがい・お金型」はやりがいとお金が高く生活が低い、「バランス型」は3つが同じ高さ、「生活重視型」は生活が高くお金が低い棒グラフ。見出しは「どこを大事にするかで、3つの型」。

3つとも高い職場と、3つとも低い職場の間に、たくさんの職場があります。そして、その多くは、どこかが高ければ、どこかが低い。給料は高いけれど忙しい。休みは多いけれど給料は上がりにくい。やりがいは大きいけれど、生活は不規則。

だから、自分がどこを大事にするかを先に決めておくと、選びやすくなります。大きく分けると、3つの型があります。

型大事にするもの後回しにするもの例えば
やりがい・お金型大きな仕事、高い給料、早く成長すること生活。若いうちは残業も転勤も受け入れる東京の大企業、商社、外資系の会社、医師
バランス型3つを少しずつ飛び抜けた給料も、飛び抜けた自由な時間もない地方の大きな会社、メーカーの工場や研究所
生活重視型決まった時間に帰れる、休みが多い、地元で暮らす大きな昇給と、大きな仕事地元の会社、残業の少ない職場

どれが正しい、はありません。大事なのは、自分で決めることです。

率直に言うと、お金を取るなら、生活を削る時期があります。小池が東京のリクルートで働いていたころ、周りの仕事ができる人たちは、毎日夜遅くまで働くのが当たり前でした。そのかわり、そこで上がった「当たり前の基準」と、20代で身につけた力は、一生ものの財産になります。

そして、型は一生同じではありません。20代はやりがい・お金型で走り、子どもが生まれたら生活重視型に切り替える人もいます。小池自身、東京の会社員の働き方から、館山に戻って塾を始めました。

転職の相談を受けていて感じたのは、辞めたい理由が「職場が悪い」だけでなく、「自分が大事にしたいものと職場が合っていない」ことも多い、ということです。生活を大事にしたい人が、毎晩遅くまで働く職場にいる。大きな仕事がしたい人が、決まった作業だけを任されている。入る前に自分の型を決めておけば、避けられたずれです。

やりがいの感じ方は、人によって違う:4つの物差し

夜の自分の部屋で、安房高校の詰襟の男子高校生が、頭のまわりに浮かぶ4つの場面(大きな橋、ありがとうと握手する場面、試験管、設計図と金づち)に目を輝かせて見入っている挿絵。「どんなときに 燃える?」の文字。

やりがいに戻ります。自分がどういうときにやりがいを感じるのかは、次の4つの物差しで考えると見えてきます。

物差しこういうときに燃える当てはまる仕事の例
スケールの大きさ何万人、何百万人に届く仕事、国や街を動かす仕事鉄道や電力などのインフラ、総合商社、国の役所、大きな建物を建てる建設会社
人の役に立つ実感目の前の相手に「ありがとう」と言われる。相手の顔が見える看護師、学校の先生、美容師、介護、塾の先生
自分の力を発揮する自分の腕や頭で勝負して、結果が自分に返ってくる研究者、エンジニア、弁護士、成果が数字で出る営業
上流か下流か何を作るか決めたいか、手を動かして形にしたいか上流=企画・設計・プロデューサー/下流=製造・施工・現場のスタッフ

スケールの大きい仕事は、相手の顔が見えにくい。相手の顔が見える仕事は、1人で届けられる人数に限りがある。ここでも、どこかを取ればどこかが薄くなります。

小池の場合は、「自分で決めて、工夫できること」にやりがいを感じます。会社員のころ、決まった時間に決まった作業を回し続けるのがつらかった。今の塾は、生徒の顔が見えて、やり方を自分で決めて、工夫した結果がすぐに返ってくる。小池にとっては、ここがいちばん燃えるところです。

上流か下流か:好みは認める。でも現実は知っておく

工房の作業台で木の部品を組み立てていた若い職人が手を止め、ガラス越しに見える2階の会議室で企画を話し合う人たちを、少しさびしそうに考えこんで見上げている挿絵。「決める側と、作る側」の文字。

4つ目の物差しの、上流と下流。ここは率直に書きます。

仕事には、何を作るかを決める上流と、決まったものを形にする下流があります。

上流下流
仕事企画する、設計する、お金を集める、チームをまとめる作る、組み立てる、届ける、現場を回す
例商品企画、建物の設計、ゲームやアニメのプロデューサー工場での製造、建設の職人、お店のスタッフ、アニメの絵を描く人

手を動かして、目の前の物が形になっていくのがいちばん楽しい。そういう人は確かにいます。下流が合う人がいるのは、好みとして当然です。そして、下流の仕事がなければ、世の中は1日も回りません。

そのうえで、現実も書いておきます。下流は、代わりになる人が多い。そのぶん給料が上がりにくく、過酷かこくになりやすい。AIやロボットに置き換わっていくのも、下流の仕事からです。

お金の面でも、上流は給料が高い傾向があります。「上流か下流か」で仕事を分けて比べた国の統計はありません。ただ、近い数字はあります。決める立場(役職)と、仕事を発注する側になりやすい大きな会社の数字です。

比べるもの月の給料(平均)
部長級63.6万円
課長級52.9万円
係長級39.9万円
従業員1,000人以上の会社38.5万円
従業員100〜999人の会社32.6万円
従業員10〜99人の会社30.6万円

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(一般労働者の2025年6月分の所定内給与額、男女計。残業代とボーナスは入っていない。役職別は雇用期間の定めのない人)。部長級は、役職のない人の約2倍。

同じ業界でも、仕事を発注する元請けは大きな会社、引き受ける下請けは小さな会社であることが多い。テレビ局と番組制作会社のように、同じ「テレビの仕事」で給料が倍ほど違う例もあります(専門学校の記事に書きました)。

そして、上流に上がれる入口は、大学を通る道が多い。下流から入って上流へ上がる人もいますが、その道は細い。だから、今「作る側が好き」な人ほど、上流にも動ける入口を取っておいてほしい。好きな仕事を、長く続けるためです。

自分の型を見つける5つの問い

図書館の窓ぎわの机で、安房高校の制服の女子高校生がノートに夢中で書きこみ、頭の上に海辺の家・都会のビル・時計・コインの小さなアイコンが浮かんでいる挿絵。「30歳の自分は、どこにいる?」の文字。

ここまで読んだら、次の5つをノートに書き出してみてください。答えは人によって違うので、正解はありません。

  • 30歳の自分は、どこに住んで、平日の夜に何をしていたいか
  • 今までで「時間を忘れた」のは、何をしていたときか。そのとき、誰のために、何を作っていたか
  • 「ありがとう」と「すごいね」と「任せた」。言われていちばんうれしいのはどれか
  • 給料が月5万円高いのと、毎日1時間早く帰れるのと、どちらを取るか
  • 決める側と作る側、文化祭や部活でワクワクしたのはどちらだったか

1つ目と4つ目で、お金と生活のどちらに寄っているかが見えます。2つ目・3つ目・5つ目で、やりがいの感じ方が見えます。

塾長 小池

書いた答えは、1年後にもう一度書いてみてください。変わっていたら、それは成長した証拠です。型は、何度決め直してもいい。

まとめ:型が決まったら、大学と学部を選ぶ

朝の館山駅前で、安房高校の詰襟の男子高校生がリュックを背負い、すっきりした明るい笑顔で前を向いて歩き出している挿絵。「型が決まれば、道が選べる」の文字。
  • 仕事は「やりがい・お金・生活」の3つで見る
  • お金と生活は数字で比べられる。やりがいは、自分がどういうときに感じるかを知る
  • 3つとも高い職場はある。ただし人気が集中して、入るのが難しい
  • 3つとも低い職場もある。まず見分けて避ける
  • 多くの職場は、どこかが高ければどこかが低い。だから自分の型を先に決める
  • 上流か下流かは好み。ただ、上流に上がれる入口は大学を通る道が多い

自分の型が見えてきたら、次は、その型に合う仕事に近づける大学と学部を選ぶ番です。大学選びの記事を、上から順に読んでください。

業界ごとの中身は、仕事選びの記事で、会社・入り方・給料まで数字で見られます。

この記事を書いた人

小池哲平のアバター 小池哲平 ランゲージ・ラボラトリー塾長

ランゲージ・ラボラトリー塾長、東進衛星予備校 館山校オーナー。安房郡白浜町(今の南房総市白浜町)に生まれ、白浜中から安房高校へ。高2で学年82人中81位まで落ちたところから、浪人して慶應義塾大学経済学部に合格しました。リクルートで4年働いたあと2011年に1993年開校の塾を先代から引き継ぎ、2015年から館山で小中学生を教えています。2026年卒の中学3年生は30名中8名が学年1位。志学館高校のSS特待には3年続けて合格者を出しています(2024年4名・2025年5名・2026年6名)。東進館山校は2026年の共通テストで平均+218.4点(千葉県内1位)。館山・南房総の高校入試を、塾で見てきた事実と数字で書いています。
塾長のプロフィール ランゲージ・ラボラトリーについて

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